創部70年目にして初めて全国の舞台に名乗りを挙げた大阪工業大。1回戦で全国大会常連の創価大に1対6で敗れ、初出場初勝利とはならなかったが、7回表に主将・田中浩平(4年・近大付)の適時打で大会初得点を奪い、確かな足跡を残した。野球人生最後と…

 創部70年目にして初めて全国の舞台に名乗りを挙げた大阪工業大。1回戦で全国大会常連の創価大に1対6で敗れ、初出場初勝利とはならなかったが、7回表に主将・田中浩平(4年・近大付)の適時打で大会初得点を奪い、確かな足跡を残した。

野球人生最後となる試合で大学として全国大会初得点となる適時打を放った田中浩平

 先発のマウンドを任されたのは近畿学生リーグでチーム最多の4勝を挙げた深田樹暉(3年・近江)。初回は決め球のフォークが冴え渡り、三者三振と最高の立ち上がりを見せる。

 だが、3回裏に二死三塁のピンチを招くと、2番・下小牧淳也(4年・日大三)に甘く入ったフォークを捉えられ、先制の2ラン本塁打を浴びる。序盤は流れが拮抗していただけに「あの1球はとても悔いが残りました」と深田は悔やんだ。

 その後もスクイズと犠飛で点差を広げられ、6回を終えて0対4と劣勢を強いられる。打線もドラフト候補右腕・杉山晃基(4年・盛岡大付)から得点圏に走者を進めながらもあと一本が出ず、得点を奪えずにいた。

 それでも7回表に先頭の6番・安田朋樹(3年・東山)が二塁打で出塁すると、四球と内野ゴロで一死二、三塁のチャンスを掴む。ここで打席に立つのは9番の田中浩平。「前の選手が粘って繋いでくれたので、どうにか1点を取って流れを持っていきたかった」と三遊間を破る適時打を放って、チームの全国大会初得点をもたらした。

 得点はこの1点のみだったが、「完封されていたらただ悔しいだけでしたけど、簡単に終わらなくて良かったと思います」(田中恵三監督)と意地を見せることはできた。

 卒業後に野球を継続する予定の選手はおらず、4年生は今大会で引退となる。これが現役最後の試合となった田中浩平は「僕らの代で初めて全国大会に出てこられましたが、出て満足していた自分がいるので、次は後輩たちに勝ってもらいたいです」と後輩に全国初勝利への想いを託した。

 全国大会初出場という第一歩を踏み出した大阪工業大。これまで全国大会出場を目標としていたチームに全国で勝つという新たな目標ができた。「絶対的エースになりたい」と意気込む深田ら3年生以下が中心となって新たな目標に挑む。

初めての全国大会を戦い切った大阪工業大ナイン。次は全国大会初勝利を目指す

■大阪工業大vs創価大
大工大 000000100=1
創価大 00210102X=6
【大】●深田、宇都、齋藤、梶、赤井-末廣
【創】○杉山、望月-萩原
本塁打:創価大・下小牧《3回2ラン》

◎大阪工業大・田中恵三監督
「選手たちは普段通りのプレーをやってくれたと思いますが、創価大さんの強さを感じました。ソツのない攻撃に差を感じました。次にここに帰ってくる時は勝つという目標設定が明確になりました。野球部の伝統、歴史を積み重ねて進んでいきたいと思います」

◎大阪工業大・田中浩平主将
「どうにか食らいついて初戦突破をしたかったんですけど、そんなに甘い世界じゃないと感じました。目標がリーグ優勝で、全国でどう勝つかというのをリーグ優勝してから考え始めたことが、準備不足だったと思います。全国には強いチームがいて、全国で勝つにはもっと色んなことに取り組んでいかないといけないということを伝えたいです」

文・写真=馬場遼