2回戦123456789計早大040080012慶大00000000(早)○清水、田中爽-吉田♢(本塁打)吉田2号満塁本塁打(5表)♢(二塁打)須能(4表)、吉田(5表)(大会規定により7回コールド) もう打てないなんて言わせない。この日は…

2回戦
早大12
慶大
(早)○清水、田中爽-吉田
♢(本塁打)吉田2号満塁本塁打(5表)♢(二塁打)須能(4表)、吉田(5表)
(大会規定により7回コールド)

 もう打てないなんて言わせない。この日は、入学以来、打撃面が課題に挙げられてきた吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)がグランドスラムを含む3安打4打点の大活躍。打線の猛攻で、慶大に7回コールド勝ちを収めた。負ければ優勝が消滅する大事な一戦だったが、2回に慶大先発の立ち上がりを攻め4点を入れると、5回にも8得点。計12得点で慶大投手陣を粉砕した。投げては先発・清水佑樹(スポ2=早稲田佐賀)と田中爽稀(法2=神奈川・柏陽)の2年生コンビが継投し、零封。東京六大学リーグ戦(リーグ戦)連覇へ望みをつなげた。

 慶大の先発投手は、立ち上がりから球が高めに浮き、制球も定まらないという最悪の立ち上がりを見せる。すると早大は2回、吉田と渡部椋雅(商2=神奈川・桐光学園)の安打で1死一、三塁のチャンスを作り、打席にはこのカードから1番に座る加藤大(人4=大分上野丘)。華麗にスクイズを決め、先制点を奪取した。続く塚脇太陽(人3=千葉・市川)がバント安打で出塁に成功すると、続く3番・中村康祐(教3=早稲田佐賀)の右中間を破る適時打で2点を追加。さらに押し出しで1点をもらい、この回4点を挙げた。


2点適時打を放つ中村

 次に試合が動いたのは5回。先頭の吉田が左翼線を破る二塁打で出塁する。そして後続が2者連続で四球を選び無死満塁とすると、打順は上位に返り加藤。真ん中付近の球を弾き返すと、右前適時打に。5点目を挙げる。その後、3、4番が押し出しの四球を選び、7-0とすると、続く5番・関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)の適時打で8点目。関の一打で試合を決定付けたが、この日の稲穂打線はこれだけでは終わらない。2死満塁で打席には、このカード好調の吉田。内角の球を力強くはね返すと、打球は左翼手のはるか頭上へ。「しっかりと狙い球を絞って振りにいった」(吉田)。頼れる主将の満塁弾で12点目を入れ、言葉通り慶大を打ち砕いた。


本塁打を放った吉田主将(10)と、それを祝福する塁上にいた走者たち

 先発したのは、2年生右腕・清水。今季ここまで防御率0点台という素晴らしい成績を残している。序盤は少し制球に苦しんだが、試合途中で修正し、危なげない投球を見せた。この日の清水は6回を投げ、68球被安打1無失点の好投。慶大打線に隙を見せなかった。7回からは田中がマウンドへ。1安打を許したものの、無失点で抑え、コールド勝ちを決めた。この日は二人と同じ2年生、渡部の20歳の誕生日。「誕生日ということで、絶対勝ちたいと思って投げました」(清水)。試合中には応援席からバースデーソングが贈られるなど、祝福を受けた。慶大に快勝し、試合後には笑顔を見せた渡部。いい誕生日になっただろう。中軸を打つ須能浩太郎(商4=東京・早実)や関、第2先発の清水をはじめとした多くの有望選手がそろう渡部世代。今後に注目していきたい。


リーグ戦を通して抜群の安定感を見せている清水

 この試合最も活躍したのは間違いなく吉田だ。元々、守備力の高さが売りの選手であり、長らく打撃には苦しんできたが、このカードは絶好調。6打数4安打6打点1本塁打の活躍で、早慶戦連勝へ導いた。この調子で春季リーグ戦を駆け抜け、打てる捕手になっていきたい。次戦は、優勝を懸けた宿敵との天王山。勝ち点4で首位を走る法大に連勝すれば優勝が決まる。逆に1試合でも落とせば法大の優勝だ。相手には甲子園出場経験のある好投手がそろい、打ち崩すことは容易ではないだろう。それだけに、早大投手陣がどれだけ打線を抑えられるかが重要だ。抑えた上で、「いかに大事なところで点を取ることができるか」と加藤が話すように、少ないチャンスをものにできるかが勝負の分かれ目となる。注目は、中村。2カード目でけがから復帰して以降、勝利したすべての試合で得点に絡んでいる。次戦でもチャンスメークやここぞの一打でチームに貢献できるか。六大学の雄・法大の牙城を崩し、悲願の全日本大学選手権(全日)出場を決めたい。

(記事 金澤麻由、写真 齊藤里和、西山綾乃)

★連載「Today’s Feature」第3回 渡部椋雅


慶大2回戦の第1打席で安打を放つ渡部

 『眠れる獅子』がついに目を覚ました。このカードで9番に座った渡部椋雅(商2=神奈川・桐光学園)は、1回戦で2本の二塁打を放つと2回戦でも安打や四球で得点機を演出。打線の中で大きな存在感を示し、チームの連勝を導いた。

 渡部は昨年の東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)から活躍を見せていた有望株。立大3回戦では延長11回に決勝3ランを放ち、秋季」リーグ戦制覇に大きく貢献した。今年に入るとオープン戦で大暴れ。新たなリードオフマンとして結果を残し、大きな期待を背に3月の関東地区大学選手権(関東大会)に臨んだ。

 しかし、ここから悪夢が始まった。1回戦の東京農工大戦、他の打者が安打を重ねる中で渡部は1イニングに2度アウトになるなど精彩を欠く。2回戦の立大戦では4回裏1死満塁の好機で併殺打に終わり、流れをつかまれたチームは直後の守りで9失点を喫した。

 春季リーグ戦に入っても悪い流れを止めることができない。東大戦で12打数1安打に終わると、その後一時は打率が0割5分8厘まで落ち込んでしまう。持ち前の長打力は鳴りを潜め、打順は1番から6番、そして8番や9番にまで下がっていった。

 そんな中、渡部に転機が訪れる。元号が令和に変わり、早大生にとっては9連休となったゴールデンウイーク。そこで行われた2年生以下での紅白戦で活躍し、調子を取り戻したのだ。そして「開き直ろうという気持ちで臨んだ」という慶大戦で見事復活。今季初の長打も放ち、ようやくチームに貢献して見せた。

 そんな渡部はこの日が20歳の誕生日。20代最初の1日で好スタートを切れたことで、これからのさらなる飛躍を感じさせた。次戦の相手・法大の投手陣はエースの西村勇輝をはじめ好投手がそろうが、今の渡部ならきっと捉えられるはずだ。今季もその一振りで、チームを優勝に導いてほしい。

(記事、写真 池田有輝)






コメント

吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

2回に先制できて、その後も追加点、しかも大量得点できたので、終始自分たちのペースで試合が進められたと思います

――きょうは大当たりでしたが、ご自身のバッティングを振り返っていかがでしたか

今までが本当に打てていなくて迷惑をかけてきたんですけど、今週の練習で少しいい感覚を掴めて、きのうもタイムリーを打つことができたので、その流れというか、その勢いのままきょうも打てたかなと思います

――ホームランがありましたが、打った感覚はどうでしたか

明治戦でも打ったんですが、その時と一緒であまりそんなに飛ぶような感触ではなかったんですけど、しっかりと狙い球を絞って振りに行った打球だったので、入ってよかったです

――優勝がかかる法大戦への意気込みを教えてください

本当に強いチームですし、いいピッチャーも揃っているチームですけど、自分たちの野球をやれば良い試合、勝てる試合ができると思うので、あと2週間試合までしっかり練習して2連勝目指して臨みたいと思います

加藤大(人4=大分上野丘)

――きょうの打撃を振り返っていかがでしたか

打順がきのうから1番に変わりました。きのうの試合では5-0(5打数無安打)という結果になったので、切り替えて(やりました)。やはり(塁に)出ることが仕事かなと思ったので、初回から(塁に)出ることを意識して打席に立ちました。

――お話にもあった通り、前日から1番打者として出場されています。何か変わったことなどはありますか

準備のやり方ですね。打順が変わって、自分では意識していなかったのですが、うまく準備ができなかったりして、きのうはアップアップしてしまったのかな、と自分の中では反省点でしたね。先ほども言ったように、きょうは切り替えて。まずは(塁に)出ること自分の役割を意識しながらやりました。それがきょうの結果につながったと思います。

――次は法大戦となります。印象をお聞かせください

甲子園出場経験のある選手も多く、ピッチャーでは西村(勇輝)と新しい(ルーキーの)春くん(翔一朗)など。ピッチャーがいいという印象ですね。なので、そこを打ち崩せるかがカギになってくると思います。うちも久郷(太雅、創理4=静岡・沼津東)と清水が調子がいいので、ロースコアの展開でいかに大事なところで点を取ることができるか、ということがカギになってくると思います。

――法大戦までに仕上げていきたい部分は

西村は球が速いので、速い球に合わせる練習であったり、やはりロースコアの展開が予想されるので、そういった局面でのサインプレーなどを詰めていければ。(次戦まで)1週開くので、そういったところを詰めていければ結果も付いてくるかな、と思います。

――法大戦への意気込みをお願いします

優勝できるチャンスが巡ってきたので、2連勝して、全日にいけるように。みんなで『全日で優勝』というのがキャプテンがずっと言っていることなので、それをかなえられるように。あと2戦が本当に大事になってくると思うので、頑張っていきたいと思います。

中村康祐(教3=早稲田佐賀)

――きょうは2打点でしたが、ご自身の打撃を振り返っていかがでしたか

いつもチャンスで回ってくるときに打てないな、と自分で思っていたので、きょうは早めの回で追加点が欲しい時にタイムリーを打つことができたので、自分としては良かったです。

――けがから復帰後は好調ですがいかがですか

自分としてはもうちょっと打ちたいな、と思っています。でも、チャンスメイクや、タイムリーなどいい仕事はできていると思います。再来週の法政戦でもチームに貢献したいと思います。

――きょうは12得点と大量得点でした。チームとしてどのように感じますか

(ほかの部員が)偵察などをやってくれているので、その情報をチーム全体で共有して、攻略できたのが良かったと思います。また2週間開くので、そこでしっかりと対策を練って、次につなげたいと思います。

――次戦に向けて一言お願いします

連勝で優勝なので、何がなんでも連勝して、全日に行きたいです。

清水佑樹(スポ2=早稲田佐賀)

――きょうの投球を振り返っていかがですか

渡部の誕生日ということで、絶対勝ちたいと思って投げました。

――春季リーグ戦では毎試合1失点以内に抑えていますが、安定感の理由はどういった部分でしょう

内野手を中心に周りに助けてもらっているので、そこが大きいかなと思っています。

――ストレートが持ち味ということですが、春季リーグ戦中ストレートの調子はいかがですか

きょうも比較的ストレートで押せていたと思うので、これから法大戦に向けてさらに磨いていきたいと思います。

――最後に今後へ向けて意気込みをお願いします

絶対法大戦で2連勝して、全日の切符をつかめるように頑張っていきたいと思います。