昨年あと一歩届かなかったインカレ(全日本学生選手権)表彰台を目標に掲げ、始動。今年初めての団体戦に臨んだ体操部だったが、経験不足のメンバーにミスが相次いだ。全日本個人総合選手権、NHK杯と2冠を達成した谷川翔(順大)を擁する順大と、卒業生…

 昨年あと一歩届かなかったインカレ(全日本学生選手権)表彰台を目標に掲げ、始動。今年初めての団体戦に臨んだ体操部だったが、経験不足のメンバーにミスが相次いだ。全日本個人総合選手権、NHK杯と2冠を達成した谷川翔(順大)を擁する順大と、卒業生に五輪金メダリストの内村航平(リンガーハット)や白井健三(日体大大学院)も名を連ねる名門、日体大が個人総合の部で1~7位を占め、団体戦でも大きく点差をつけられる。早大はライバルである仙台大、筑波大にも及ばず、5位と厳しい結果になった。

 鉄棒からスタートした早大は最初の斉藤司(スポ2=愛知・名城大付)が離れ技を複数回組み入れた構成をまとめ良い先陣を切ったが、流れを上手くものにすることができなかった。中村唯都(スポ3=愛知・名城大付)は2つ目の離れ業でバーを掴んだ際に勢いが削がれ回転しきれず落下。1年生の武井優介(スポ1=東京・松蔭)も緊張したか、最初の離れ技後回りきることができず、その後別の技でも背中から叩きつけられるように落下するミスが出た。更に先月の全日本個人総合選手権での指のけがの影響が残る柏木寅冶主将(スポ4=千葉・市船橋)も離れ技で遠心力を失い、勢いが止まった。結局力づくで回し切り、落下等には至らなかったが得点を伸ばせず。それでも「ちょっとでも耐えてチームに貢献したい」(柏木)という気持ちが演技にも表れ、チームトップの得点を記録した。2種目目のゆかでも柏木は同様に最も高い得点をマーク。また同じく4年生の南亜蘭副将(スポ4=大阪・太成学院大高)は、前の演技者である中村、竹端健太郎(スポ2=京都・洛南)が大きなミスを続けた悪い流れを止めるような演技を披露。「後の人につなげられるように」(南)という言葉通りの役割を果たした。


鉄棒で離れ技をする柏木

 

 

 更に5種目目の跳馬では柏木、南の両選手がDスコア5.6の難しい技を成功させ、高得点をマーク。最後のつり輪では演技者数が減り会場の視線を多く集める中で、演技した南は着地まで止めきり、思わず柏木がガッツポーズをするような出来で締めた。しかしそのような4年生の奮闘も虚しく、団体戦の経験が少ない選手たちはなかなか落ち着いて演技をまとめきることができなかった。「いつも通りやれば良いだけなのに変に力が入っちゃって空回りしてるかなという感じがあった」と南が試合後振り返ったように、大きなミスが相次いだ。止めなければいけないところでバランスを崩したり、手をついたり。「練習からああいう感じだったのでまあまだ練習不足かな」と柏木が口にした通り、要所要所で決めきれない詰めの甘さが否定できない出来だった。


平行棒の演技を終え笑顔の南

 最終成績は合計386.600で5位。インカレで4位となった昨年も今大会では5位に留まっているとはいえ、やはりあまり楽観視できる状況ではない。順位こそ同じであるがルールに大きな変化がないにも関わらず昨年よりも点数を15点ほど下げている。本来の実力ならばメンバー入りしていたはずの山田元大(スポ3=千葉・市船橋)が戻れば、もう少しチームに勢いが生まれていただろうか。しかし調子を落としメンバー入りを逃した山田を含め、チームにとってメンタルの弱さが課題であることは確か。まだ誰が団体戦メンバーに入るか明らかではないが、次戦で成長が見られることを期待したい。

(記事、写真 青柳香穂)

結果
男子団体
選手名ゆかあん馬つり輪跳馬平行棒鉄棒合計点順位
柏木寅冶(スポ4)33 位
南亜蘭(スポ4)17位
中村唯都(スポ3)75 位
竹端健太郎(スポ2)44 位
齊藤司(スポ2)12.25013.75041 位
武井優介(スポ1)13.30012.80011.00073.70060 位
チーム得点5 位


コメント

柏木寅冶主将(スポ4=千葉・市船橋)

――チーム全体として振り返っていかがでしたか

率直に言ってまあ良くはなかったですけど、練習からああいう感じだったのでまあまだ練習不足かなという感じです。あと実際今回自分と亜蘭(南)以外は団体の経験があまりなくて、初めてだったりしたのでそこらへんまだ難しいのかなと感じました。

――団体と個人ではそれほど大きい違いがあるのでしょうか

あります。個人だったらミスをしてダメで落ち込んでも自分だけの話じゃないですか。でも団体ではそういう人がいたりしたらチーム全体がそういう空気になってしまうのでそういうところが難しいのかなと思います。

――きょうのチームの雰囲気はいかがでしたか

カバーするとかができたことは種目によってはあったので、それをいかに全種目でできるかっていう感じですかね。

――ご自身の演技は着地を止めよう、大きなミスをしないようにという気持ちが強く出ているように見えました

全部自分の得点が入ると思っていたので、大過失だけは絶対に出さないでちょっとでも耐えてチームに貢献したいなと思っていて。あん馬とか鉄棒も全体的に良い種目なかったんですけどなんとか個人的には耐えることができたかなという感じですね。

――来月の種目別選手権で出場が決まっている跳馬は良い点がでました

最近はあまり失敗していなくて結構自信はあるんですけど、まあ今日は跳躍自体が良くなかったのでって感じです。それでもできるっていう自信にはなりました。

――種目別選手権での目標はなんですか

まず決勝に残ることと、出るからには優勝を目指すくらいの勢いでやっていけたらなと思います。

――夏にはインカレも控えています

きょうの試合でまだまだ弱さがあることが分かったので、誰がメンバーになるかとかまだはっきり分からないんですけど、チーム一丸となって今回の反省を生かして、弱いところがどこなのかしっかり考えて練習して、インカレに合わせていけたらなと思います。目標は表彰台です。

南亜蘭副将(スポ4=大阪・太成学院大高)

――チーム全体として振り返っていかがでしたか

全然良くないですね、結構やばいなと思いましたね。チーム戦に慣れているのが自分と寅冶(柏木)だけで、あとの4人は何をし出かすか分からない感じだったのでちょっと俺らで引っ張らないといけないなというのを前々から言っていたんですけど、本当にあそこまでやらかすとは正直思わなかったので焦りました。

――気持ちの問題なのでしょうか

そうです、気持ちの問題ですね。メンタルが弱すぎます。

――雰囲気としてはいかがでしたか

みんな結構重いですね、試合をやろうとしすぎてて、いつも通りやれば良いだけなのに変に力が入っちゃって空回りしてるかなという感じがありましたね。

――メンバーチェンジがかなりありました

試合の1週間前だったんですけど今回は主力メンバーの山田(元大)がいないので。あいつは必要なんですけどメンタルが弱くて、そこの問題なんですよね。やるときはめっちゃ強いんですけど、弱い時は本当に弱いので。みんなでメンタル鍛えようかなという感じです。自分は試技会の結果が悪くて個人に回されたっていう感じだったんですけど、最終で山田がボロボロミスをして結果自分が使われることになって、まあちゃんと仕事はできたので良かったです。

――自身の演技はどんなことを考えてやりましたか

前の人が結構ミスをしている中、真ん中くらいの順番でやることが多かったので、後の人につなげられるように。自分のいつも通り、大体ちゃんとやれば通るということが分かっているので技のポイントポイントだけちょっと考えてやりました。

――跳馬では非常に良い得点が出ました

あれは渾身の一撃でしたね(笑)。前2人がコケていたので、流石にコケるのはやばいな、やるしかないなという気合いでやりました。

――平行棒もガッツポーズが出ました

良かったですね、平行棒も。寅冶が指を怪我していてやる予定がなくて自分が1番最後の演技者で、できるだけ点数を残してあげないとちょっと可哀想だなと思っていたので、役割を果たせて良かったなと思います。

――次に向けては何をしていきたいですか

自分はこのまま難度を少し上げるか、Eスコア重視で綺麗な体操をしたいなと思うんですけど、チームとしては何とも言えないですね。このチームで行ったら絶対インカレは終わると思うのでちょっとチームは組み直さないといけないなってちょっと思っています。

――来月には種目別選手権が控えています

できることはやりますけどそんなに自信はないですね。上には上がいることは分かっているのでやれることをやって楽しもうかなという感じです。