試合後の工藤公康監督は「いいゲームができた」と安堵の表情。まずは、120球の熱投で12勝目を挙げた和田を称えた。■和田の取り組む姿勢を絶賛、「やるべきことを妥協せずにやっている」 先週に続く日本ハムとの首位決戦の初戦は、ソフトバンクが3-2…

試合後の工藤公康監督は「いいゲームができた」と安堵の表情。まずは、120球の熱投で12勝目を挙げた和田を称えた。

■和田の取り組む姿勢を絶賛、「やるべきことを妥協せずにやっている」

 先週に続く日本ハムとの首位決戦の初戦は、ソフトバンクが3-2で勝利。貯金は今季最多の33に伸ばし、日本ハムとのゲーム差を「6」にした。先発の和田毅は、初回に中田翔に先制2ランを浴びたものの、2回以降は完璧に立ち直り8回2失点で12勝目。打線は5回に柳田悠岐のソロをきっかけに、鶴岡慎也の同点打、吉村裕基の勝ち越し犠飛など、有原航平から一気に3点を奪って逆転に成功した。

 試合後の工藤公康監督は「いいゲームができた」と安堵の表情。まずは、120球の熱投で12勝目を挙げた和田を称えた。

「2回以降、粘り強く投げてくれたし、味方が点を取った次のイニングもランナーを出しながら点を与えなかった。最後の最後まで気力を振り絞っていいピッチングをしてくれた。本人の調子うんぬん以上に気持ちが上回っていたね。あれだけ集中して試合に臨めるのはなかなかないこと。改めてすごいなと感じたよ。大事な試合になればなるほど、安定したピッチングができるのはさすがだね」

 5年ぶりの日本球界復帰で、ハーラー単独トップの12勝。「期待どおりの活躍」と語る工藤監督の口からは、さらに和田への賛辞が続いた。

「自分がやるべきことを妥協せずにやっている。ウェイトトレーニングにしてもキャッチボールにしても、自分で時間を作って妥協なくやっているんだ。和田くんのキャッチボールのやり方ひとつを見ても、若い人は学べることがあると思う」

■4回の打線のつながりは「打撃コーチのおかげ」

 4回、有原を一気に攻略した打線については「バッティングコーチがいい打順を組んでくれた」と、藤井・大道両コーチの功績を称えた。

「ゲームに入る前からみんなが集中していたし、1回から松田くんを中心に明るい雰囲気だった。初回に点を取られても暗くならずに行けたし、(4回は)ギータのホームランで一気に明るくなって、そこから4番、5番がつないでくれて、プレッシャーがかかる中で鶴岡くん、吉村くんがよく打ってくれた。いい攻撃ができたと思うよ」

「明日につながる1勝」としながらも「1個勝てば優勝というわけではない。1試合1試合積み重ねていく中の1つ。また(勝ちを)積み重ねながら、足元を見てカード勝ち越しを考えて戦っていくだけ。まあ、初戦を取れたのは大きいけどね」

 6日の試合に勝つか引き分けるかで、待望の優勝マジックが点灯する。それでも、指揮官の頭の中にあるのは「この3連戦に勝ち越す」ことだけだ。

藤浦一都●文 text by Kazuto Fujiura