東京六大学野球春季リーグ第7週2日目が行われ、優勝まであと1勝と迫っていた明大が0対7から8対7と法大を大逆転する劇的な勝利で5季ぶり40回目の優勝を果たした。喜びを爆発させる選手たち 9回から登板した明大のエース・森下暢仁(4年・大分商)…

東京六大学野球春季リーグ第7週2日目が行われ、優勝まであと1勝と迫っていた明大が0対7から8対7と法大を大逆転する劇的な勝利で5季ぶり40回目の優勝を果たした。

喜びを爆発させる選手たち

 9回から登板した明大のエース・森下暢仁(4年・大分商)が最後の打者を見逃し三振に抑えて歓喜の瞬間を迎えた。
「試合に出ていない4年生も早朝から打撃投手をしてくれたり、みんなで同じ方向を向いた良いチームになったと思います」と善波達也監督が讃えたように、高い結束力で頂点に立った。その中心にいたのが森下だった。
 2月の沼津キャンプの時点で善波監督は「森下を主将にして大正解。すべてが本当に変わりました」と、視野の広がりや意識の向上によって周囲に与える好影響に目を細めていた。

もちろんこれまでも取り組みが疎かだったわけではない。1年時から登板を重ね、2年時からは侍ジャパン大学代表に選出。国際大会で活躍を続けてきた。だがリーグ戦は今季入る前までに9勝。終盤で打ち込まれて勝利を逃すなどその能力を持ってすれば物足りない内容だった。

 
 今春はチーム開幕戦となった立大との1回戦で6回10安打、自責点4で敗戦投手に。それでも、すぐに気持ちを切り替え「(2回戦に勝って)3回戦でもう1度自分を投げさせてくれ」とチームメートに頭を下げた。そして2回戦をチームメートの奮闘でモノにした翌日の3回戦に再び先発すると、緩急を自在に使って4安打1失点で完投勝利。自身とチームに勢いをつけた。
精神面がたくましくなり、仲間が作ってくれた雪辱の舞台を必ずモノにした。
その後は最大でも1試合の自責点は2と好投が続いていたが、優勝のかかった前日の法大との1回戦は終盤に同点弾と一時勝ち越しとなるタイムリーを浴びるなど4失点を喫して引き分け。それでもこの日は、1点リードで登板した1イニングを冷静に三者凡退で抑えて胴上げ投手となった。

「様々な人たちに支えていただき、一丸となって成果を挙げることができました」と感謝の言葉を口にした森下。善波監督は「越えなければいけない壁を越えてくれました」と森下の成長を実感。
森下を中心に、これまで以上にはっきりと視界にとらえた日本一の頂に向けて、チームの成長速度はさらに上がりそうだ。
※全日本大学野球選手権は6月10日に開幕。初戦となる大会2日目の2回戦で上武大vs福井工業大の勝者と対戦。明大は1981年以来となる優勝を目指す。

優勝の瞬間、安堵したような表情を浮かべた森下(写真上)記者会見終了後は善波監督と固い握手を交わした

■明治大vs法政大2回戦
明大 000221210=8
法大 601000000=7
【明】竹田、伊勢、磯村、○入江、森下-西野、蓑尾
【法】鈴木、高田孝、●新井、内沢、朝山-渡邉
本塁打:法大・渡邉(1回・満塁)安本(3回ソロ)

多くのファンで埋まった観客席も歓喜に沸いた

文・写真=高木遊