東京六大学野球春季リーグ戦 対明大 1回戦 
2019年5月25日(土) 
神宮球場 

1敗でもすれば明大の優勝が決まるという状況で迎えた今季の『血の法明戦』。何としても連勝で勝ち点を奪取したい法大だったが、5回まで明大のエース・森下暢仁に完璧に抑えられてしまう。しかし、3点ビハインドで迎えた8回、中村迅(営3)の右越え3ランが飛び出し同点、9回には福田光輝(人4)の右越え適時二塁打で明大から初めてリードを奪う。このまま勝利をつかみたい法大だったが、9回のマウンドに上がった三浦銀二(キャ2)が2死から喜多真吾に一発を浴び、土壇場で同点となり試合終了。あと一歩のところで勝利を逃す形となった。

戦評 

5月とは思えない気温30℃の炎天下の中、火ぶたが切られた『血の法明戦』。優勝に王手がかかった明大を何としてでも食い止めるべく、カード初戦に臨んだ。 

明大の先発は大黒柱・森下暢仁。ここまで防御率は一点台、加えて奪三振は投球回を大きく上回る55を記録しており、まさに単独首位を走る明大を引っ張る活躍を見せている。今日の森下はその成績に勝るとも劣らない完璧な立ち上がり。150㌔に迫ろうかというキレのある真っすぐに加え、カウント球と勝負球のどちらでも有効な落差の大きなカーブなど多彩な変化球も冴え、5回までに許したのは四球の走者一人だけという圧巻の投球を披露され、法大打線は完全に沈黙してしまう。 

5回まで森下から安打を放つことができず、苦しい状況が続いた

一方、法大は先発に今季リリーフとして安定感を見せていた内沢航大(キャ4)を起用。期待に応えたいところだったが、初回いきなり先頭の添田真海に中前に弾き返されると、犠打を挟み、3番・内山竣に先制の適時三塁打を浴びてしまう。さらに暴投もあり、初回2失点と完全に主導権を明大に握られてしまう。3回にも無死満塁のピンチを背負うと、金光興二監督代行は内沢を早くも降板させ、鈴木昭汰(キャ3)をマウンドに送る。ここまでやや安定感に欠ける投球が続いていた鈴木だったが、この日は違った。先頭打者を三振に切って取ると、続く打者を併殺に仕留め、窮地を脱して見せた。鈴木は5回までの3イニングを無失点に抑える好投。応えたい打線は6回に8番・渡邉雄太(キャ3)が森下から初安打を放つも後続があえなく凡退し、未だ状況を打開できない。 

無死満塁のピンチを三振と併殺打でしのぎ、雄たけびをあげる鈴木

6回裏からは朝山広憲(法4)が登板。何とか無失点で望みを繋ぎたいところだったが、先頭打者を四球で歩かせると、犠打、安打でチャンスを広げられてしまう。さらにここで代わった新井悠太朗(営4)が犠飛を浴び、森下相手には重すぎる3点目を失ってしまう。法大は終盤に入っても走者を背負う苦しい展開だったが、継投でかわし打線の援護を待った。 

反撃は8回。先頭の福田光輝(人4)が四球で出塁すると、打撃不振に苦しんでいた舩曳海(キャ4)が「とにかくがむしゃらにバットを振った」と中前打で繋ぐ。この千載一遇のチャンスで起用されたのは中村迅(営3)。「ガツガツいこう」と内角低めを振りぬいた打球は文句なし右翼席に飛び込む起死回生の同点弾。中村迅にとってはこれがうれしいリーグ戦初安打となった。その裏を高田孝一(法3)が無失点に抑えると、その先に更なるドラマが待っていた。先頭宮本隆寛(人3)の安打で作った勝ち越しの糸口を犠打失敗、盗塁失敗でつぶしたかに思われたが、伊藤寛士(文4)が2死から四球で出塁すると、ここまで森下相手に苦戦していた福田が浮いたチェンジアップを完璧にとらえ、値千金の右越え適時二塁打。土壇場で勝ち越しに成功した。 

9回に勝ち越しの右越え適時二塁打を放った福田

是が非でも逃げ切りたい法大はエース・三浦銀二を惜しみなく投入。3、4番を簡単に打ち取り、あと一人で先勝というところで迎えたのは5番・喜多真吾。投じた2球目を迷いなく振りぬくと、打球は打った瞬間それと分かる角度で右翼席に飛び込むみ、まさかの同点弾に。プロ併用日ということもあり延長はなく、法大はあと一歩のところで白星を逃してしまった。

あと一歩のところで一発を浴びた三浦は試合終了後、思わず天を仰いだ

選手たちから聞かれたのは「勝ち切れなくて悔しい」という声。いい試合をしながら白星を挙げられない今季の法大を象徴する試合となってしまった。しかし、好投手相手に怒涛の猛攻を仕掛けるなど、勝ちにはつながらなかったものの収穫は少なからずあったと言えるだろう。優勝の可能性はすでに消えたものの、今季残された1試合1試合に全身全霊で立ち向かうことが来季につながってくるはずだ。

(湯浅駿) 

クローズアップ:中村迅 

「初球からガツガツいこう」好投する明大・森下暢仁を、ベンチから見つめていた中村迅(営3)は打席に入ったらそう打つと心に決めていた。 

中村迅にそれを実行する機会が来たのは8回表。福田光輝(人4)が四球を選び、舩曳海(キャ4)が右前安打と盗塁で2死二、三塁の好機を演出。背番号28をつけた男は、場内アナウンスの代打を告げる声に続いてゆっくりと左打席へ入った。 思えば今季リーグ戦はこれまで4打数無安打2三振。リーグ戦初出場こそ果たしたものの、満足のいく結果を残すことはできず、先週に行われた早大戦ではベンチからも外れ、悔しい思いをしていた。 

しかし、中村迅は「いつ(ベンチに)入ってもいいようにしっかりと準備していた」と折れることなく練習を続けた。今日の試合で3回無失点の好投をした鈴木昭汰(キャ3)は、常総学院高からの同級生で、実に5年も同じチームでプレー。鈴木も「周りへの気配りができ、地道に頑張るタイプ」と中村迅の努力と人柄を評価している。 

そんな中村迅の奮励は結果となって表れる。1ストライクから内角低めのカットボールをうまく腕をたたんで振り抜くと、打球はぐんぐんと伸びていき、右翼席へと消えた。リーグ戦初安打が起死回生の同点3ランとなり、やや焦りの色が見え始めたベンチに活気と笑顔をもたらす一打となったのだ。 

もちろん、この本塁打だけで終わるつもりは彼に無い。「これからもチームに貢献できるような打撃をする。結果を残してレギュラーで出られたら」そうやってはにかみながら小欄に今後の目標を語ってくれた。 スタメン、そして六大学を代表する強打者への道を、確かな足取りで今、中村迅が歩み始める。

(加瀬航大) 

選手インタビュー 

福田 光輝 主将 

—今日の試合を振り返って 

引き分けという結果に終わってしまい、勝ち切れなかったというのが春の戦いを象徴している試合だったなと思います。 

—森下投手に序盤は苦戦している印象でした。チームとしての対策は 

いいピッチャーなので受け身にならずにどんどん打っていこうというのは意識しました。 

—4得点全てに絡む活躍でした。終盤打席で意識したことは 

自分としては繋いで行こうと思っていたので、それがいい形につながったんだと思います。もう少し早く援護できていればなという気持ちもあります。 

—勝ち越した裏にまさかの同点弾を浴びてしまいました。三浦投手への声かけは 

特にしていないんですけど、こういう試合を勝ち切らないと優勝はないし、勝てるチームにならないので。それは(三浦)銀二だけじゃなくてチームの反省点だと思います。 

—明日へ向けて一言お願いします 

自分たちは頑張っても優勝がない立場なので、目の前の試合をしっかりやることと、当たり前のことを当たり前にできるというのを心がけたいと思います。 

 

内沢 航大 投手 

—久しぶりの先発登板となりました 

久々に先発して役割を果たせてなかったんですけど、チーム全体としてピッチャー陣で粘れたのは良かったかなと思います。 

—今日負けると明大の優勝が決まるという試合でした 

それも気にしてはいたんですけど、チーム全体としては秋につながるように、しっかり勝っていこうという感じでした。 

—初回で2失点しましたが、今日のコンディションは 

いつもと変わらずだったんですけど、明治の勢いを止められなかったのは、自分の力不足かなと思います。 

—今日見つかった課題は 

先頭バッターが出てるのが得点につながっているので、先頭バッターをしっかり抑えることを、これからあと残り2試合あるんですけど、リリーフでも先発でも気をつけていきたいなと思います。

 —明日の試合に向けて一言お願いします 

投げる機会もあると思うので、しっかりと抑えていきたいと思います。 

 

鈴木 昭汰 投手 

—チームとして今日の試合を振り返って

勝ちゲームだったのでそれが引き分けになったのはもったいないと思ったんですけど、チーム的には最後ビハインドから追いついて、次の回でツーアウトから逆転できたという攻撃の仕方は、明日にもつながるゲームだったんじゃないかなと思います。 

—ご自身の投球については 

立教、早稲田とふがいないピッチングをしていて、しっかりしなきゃなというふうに思っていたところだったので、今日のピッチングはノーアウト満塁でしっかり抑えて次の回、その次の回と抑えられたのはよかったし、これを続けないといけないなと思いました。 

—無死満塁での登板となりましたが 

割り切って投げようと思ったので、そこまで圧を感じたわけではないです。 

—今日良かった点を具体的に挙げると 

真っ直ぐは普通だったんですけど、変化球で空振り取りたいところで取れたり、打たせたい時に思い通りに投げられたところが一番良かったです。ランナーも出したんですけど、粘れたところがよかったかなと思います。 

—常総学院高校の同期、中村選手が一時同点の3ランを放ちました 

すごいですね。しっかり頑張っていて、同じ高校ですし一緒に頑張っていかないといけないので、きょうのホームランは僕にとっても刺激ですし、(良い)ピッチングもあいつに見せることができたかなと思います。 

—次の登板に向けて 

いつ、どこでも任されたところをしっかり抑えられるように頑張ります。 

 

中村 迅 内野手 

—今日の試合を振り返って

勝ちきれなかったので悔しいです。

-試合への臨み方

勝ちにこだわって、目の前で優勝されるのは嫌だったので、しっかりやろうと思って臨みました。 

—好投していた森下投手をベンチから見ていて 

すごい投手だったので、僕だったら初球からどんどん行こう、というふうに思って見ていました。 

—好機で代打として打席に入りました 

全員が繋いでくれたので、その流れに乗れたらいいな、後ろにつなげたらなという思いで打席に入りました 

—初球から狙おうとおっしゃっていたが

 (初球から)見送ったら負けだと思っていたので、初球からがつがつ行こうと思っていました。 

—本塁打を放った時の率直な気持ち 

初安打だったので、興奮してました(笑)。多分、うれしかったんだと思います。 

—リーグ戦初安打が本塁打となりました 

まだ1本しか打っていないので、これからもチームに貢献できるような打撃をしていきたいです。 

—今季はベンチから外れてしまう時期もありました 

いつ入ってもいいように、しっかり準備をして備えていました。 

—高校から同期の鈴木昭汰投手の好投は刺激になった 

そうですね。抑えてくれていたので、打ってやろうという強い気持ちで打席に入れました。 

—スタメンへの気持ちは 

やっぱりあります。(秋季リーグでは)夏のオープン戦からしっかり結果を残して、レギュラーで出れたらいいなと思います。 

—明日の第2戦に向けて 

全員で粘って、勝ちに行きます! 

 

宮本 隆寛 内野手 

—今日の試合を振り返って 

最終回にああやって逆転をできたのは良かったのですが、勝ち切れないというのがやっぱり今後の秋に向けての課題なのかなと思います。 

—今日は2番での先発出場でした 

1番打者が宇草さんなので、宇草さんが塁に出たら、自分が小技を挟んで出塁していけたら良いなと思っていて、そのような意識をして今日の試合に臨みました。 

—守備で好プレーがありました 

舩曳さんとポジショニングに関してたくさん話せたので、それがすごく助かりました。レフト戦のあの打球(6回の添田の左犠飛)は、同じような打球を以前落としてしまっていたので、フェンスにぶつかってでも取るという気持ちでいきました。あともう一つ、ショートの後ろに落ちてしまった打球を取れなかったのは、自分の実力不足だったと思います。 

—9回の先頭打者として、初球を捉え中前打を放ちました 

ストレートばっかりで押されていたので、初球で一発打ってやれば逆転の流れがつかめると思って、初球を思い切り振っていこうと思って打席に入りました。結果的にセンター前にはじき返せたので良かったです。盗塁は失敗してしまったので、しっかり成功させられるようにしたいです。 

—明日に向けて 

明日もスタメンで出られるのであれば、塁に出たとき、ピッチャーに(自分を意識させて)バッターに集中させないような働きをしたいです。あと、守備ではしっかり、(フェンスに)ぶつかってでも捕るような気持ちでしっかりやっていきたいと思います。 

 

舩曳 海 外野手 

—今日の試合を振り返って 

こういう試合を勝ちきれないと秋に優勝できないと思います。強いチームは1点差で勝ちきれるので。 

—負けると明大が優勝という状況でしたが、どんな気持ちで試合に臨んだ 

そこは気にしてなかったです。いつもより観客が多かったのでモチベーション上がりました。 

—8回に安打を放ちました 

打席に立つ前に意識したことはとにかくがむしゃらにバットを振りにいきました。 

—久しぶりに内野安打ではない形で安打が出ましたが、気持ちは 

どんな形でもいいんですけど、点に絡めるとやっぱりうれしいです。 

—明日に向けての意気込み 

暑いのでコンディションをしっかり整えて、明日も万全で臨めるようにします。

フォトギャラリー

'17年春以来の先発登板となった内沢は、初回に2点を失う結果となった
チーム初安打を放った渡邉
7回に登板し、見事ピンチをしのいだ柏野
久しぶりのクリーンヒットを放った舩曳は塁上で大きくガッツポーズ
8回に同点となる右越え3ランを放った中村迅
2番で先発起用され、9回の先頭で安打を放った宮本
9回に勝ち越しとなる右越え適時二塁打を放った福田
8回に登板した高田は走者を出しながらも無失点で切り抜けた