前日と変わらぬ暑さの中行われた全日本選手権(全日本)3日目。早大からは準決勝と敗者復活戦にそれぞれ4艇ずつが出漕した。男子シングルスカルの阿部光治(スポ1=愛知・猿投農林)と中尾咲月(スポ1=三重・津)・宇都宮沙紀(商3=愛媛・今治西)の…

 前日と変わらぬ暑さの中行われた全日本選手権(全日本)3日目。早大からは準決勝と敗者復活戦にそれぞれ4艇ずつが出漕した。男子シングルスカルの阿部光治(スポ1=愛知・猿投農林)と中尾咲月(スポ1=三重・津)・宇都宮沙紀(商3=愛媛・今治西)の女子ダブルスカルの2艇が決勝進出を決めた。また、決勝進出を逃した4艇が順位決定戦に回ることとなった。

 早大から決勝進出を最初に決めたのは男子シングルスカルスカルの阿部だった。自身と共にU19日本代表に名を連ねる2人と首位を争う展開となり、第3クォーターで仕掛け、一気に引き離す。ラストスパートで島田(日大)に猛追されたが、「ちょっと焦ったんですけど、ミスオールがないように漕ぎ切りました」と、コンマ差で逃げ切った。決勝にはリオ五輪15位の実力者などがそろう中、どれだけ健闘できるか。ルーキーの活躍に期待がかかる。また、同じく決勝に進んだ女子ダブルスカル。スタートを失敗するが、得意のコンスタントで粘り、3位に浮上。「早く入れないと行かれてしまうと思ったので少し早く入れた」というラストスパートが奏功し、ゴール手前でのデッドヒートを制して決勝へと駒を進めた。


相手の様子を伺いつつ、ラストスパートをかける女子ダブルスカルの二人

 4艇が順位決定戦に回ることとなった。女子舵手なしペアは2着までが決勝進出となるこのレースで好スタートを切ったが、コンスタントで他艇に付けられた差を埋めることができず、3着でのゴール。また、昨年の全日本大学選手権で優勝した漕手がそろう女子舵手なしクォドルプルも先頭を行くデンソーとの差を詰められず、2着で決勝はならなかった。前日の敗者復活戦で見事なラストスパートを見せた、1年生の男子舵手なしクォドルプルだが、準決勝では上位争いに絡むことができないまま、4着に終わった。そして、軽量級女子ダブルスカルは、中盤トップに立つ場面があったものの、そこで引き離せず。ラストで関西電力にかわされ、決勝進出を逃した。「尾嶋と一昨年の全日本で表彰台に上っていた分、もう一度二人で上りたいという気持ちがありました」。(南菜月女子副将、教4=新潟南)悔しさの残る結果となったが、最終日の順位決定戦で雪辱を誓う。


決勝進出ラインに及ばず、うなだれる軽量級女子ダブルスカル

 特に上級生のクルーは終盤にかわされ、決勝進出圏内から外れてしまうレースが見受けられ、実力のある社会人クルーを上回るのはやはり厳しい部分があることを痛感させられた。そんな中でも決勝進出を決めた種目では粘り強さが目立った。迎える最終日は社会人相手にどこまで力を発揮できるか。早大クルーの挑戦に注目だ。

(記事 加藤千咲、写真 石井尚紀)

結果

▽男子部

【シングルスカル】

【準決勝】

阿部光治(スポ1=愛知・猿投農林)

7分20秒07 【1着 決勝へ】

【軽量級舵手なしペア】

【敗者復活戦】

S:牟田昇平(商2=兵庫・三田学園)

B:岡本真弘(商2=東京・早大学院)

7分38秒42 【4着 敗者復活戦敗退】

【舵手なしクォドルプル】

【準決勝】

S:中島湧心(スポ1=富山・八尾)

3:森長佑(スポ1=福井・若狭)

2:菅原陸央(政経1=秋田・本荘)

B:越智竣也(スポ1=愛媛・今治西)

6分39秒27 【4着 順位決定戦へ】

▽女子部

【舵手なしペア】

【敗者復活戦】

S:三浦彩朱佳(文3=青森)

B:木下弥桜女子主将(スポ4=和歌山北)

8分10秒25 【3着 順位決定戦へ】

【シングルスカル】

【準決勝】

浅利真美子(スポ3=秋田)

8分26秒13 【3着 準決勝敗退】

【ダブルスカル】

【準決勝】

S:中尾咲月(スポ1=三重・津)

B:宇都宮沙紀(商3=愛媛・今治西)

7分46秒91 【2着 決勝へ】

【軽量級ダブルスカル】

【敗者復活戦】

S:南菜月(教4=新潟南)

B:尾嶋歩美(スポ3=埼玉・南稜)

7分52秒72 【2着 順位決定戦へ】

【舵手なしクォドルプル】

【敗者復活戦】

S:安井咲智(スポ3=東京・小松川)

3:藤田彩也香(スポ3=東京・小松川)

2:宇野聡恵(スポ2=大分・日田)

B:松井友理乃(スポ3=愛媛・今治西)

7分13秒33 【2着 順位決定戦へ】

コメント

【軽量級女子ダブルスカル】

S:南菜月女子副将(教4=新潟南)

――軽量級ダブルスカルはどのような経緯で決まりましたか

私が元々体重が軽いグループに当てはまっていて、出場枠を増やすとなると、私ともう1人相方が必要で、尾嶋(歩美、スポ3=埼玉・南稜)が選ばれました。

――練習期間の感触はいかがでしたか

一昨年の全日本で一緒にペアで出たこともあって、結構一緒に漕ぐ機会は多かったので、最初は軽く進められる感じで、悪くなかったです。

――昨日は鹿屋体育大に終盤で離されてしまいました

比較的前半は頑張らずに楽に漕ぎ進められていたんですけど、どうしても駆け引きで自分たちが弱気になってしまって、大差になってしまったと反省しました。その差を絶対に開かずに中盤持ちこたえられるようにきょうはレースをしていこうと話していました。

――前日のレースを踏まえてきょうのレースはいかがでしたか

昨日よりは中盤保つことができたのは良かったんですけど、そこでもう一歩先に出なければいけなかったのかなと思っていて、レース展開はもう少し詰め切れても良かったと思います。

――予選ではきょうのレースで組1着の関西電力より速いタイムを出していましたが、意識されるところはありましたか

1000メートルの入りはそこまで変わらないという予想していて、コンスタント勝負で最後に引き離せるかと想定していたんですけど、思った以上に突き離せなかったのが最後に出られてしまった要因かなと思います。

――レース後には悔しそうな表情を浮かべられていました

尾嶋と一昨年の全日本で表彰台に上っていた分、もう一度二人で上りたいという気持ちがありましたし、練習や予選の感覚で、だんだん艇速が変わっていくのを感じていたので、狙える位置にはいたんですけど、あと一歩及ばず、というのが昨日ときょうのレースであったので悔しかったです。

――順位決定戦はどのように戦っていきたいですか

最後はしっかりと自分たちの納得がいくレースをして、1位を飾りたいと思います。

【女子ダブルスカル】

B:宇都宮沙紀(商3=愛媛・今治西)

――きのうおとといは他艇に先行される展開となって、きょうはスタートが課題とのことでしたが、いかがでしたか

きょうはきのうの反省もあってスタートをしっかり決めようと思っていたんですけど、私たちの船がいつも右側に曲がっていってしまうので左側よりでスタートしたら、逆に左に寄りすぎてしまって部位に当たりそうになったりして、スタートはあまりうまくいかなかったかなと思います。

――中盤は2位を争うことになりましたが、想定内だったのでしょうか

自分たちはコンスタントが結構得意なタイプだったので、スタートで出られてもいけるだろうと思っていて。タイムカーブをエクセルで作って出しても、他のトヨタR.C.などは後半にかけて落ちていくという傾向にあったので、大丈夫かなと思って臨みました。あまり焦ってはいなかったです。

――ゴール手前で猛追して2着に入りましたが、決勝進出を決めることができた要因は何かありますか

意地と気持ちでいけたんだろうなと思うんですけど、私がきのうも少し早めにスパートを入れたんですけど、早く入れないと行かれてしまうと思ったのできょうも少し早く入れて、最後は本当に気持ちで抜いたという感じです。私がちょっと横を見たときに明治安田生命の方も少しばてていたので、これはいけるぞと思って、最後は100%の力で漕ぎました。

――2着で決勝進出が決まったお気持ちは

あすの決勝はシニアで日本代表の人たちと当たるので、当たるけど強いメンバーと当たれることに感謝して自分たちの全力を尽くしたいと思います。でもできるだけ食らい付いていけるようにしていきたいというのと、監督からも「勝てる可能性がないわけではないからその可能性を信じて」ということでした。実力的には(周囲は)強いので、そこにどれだけ食らい付いていけるかというのが自分たちの目標です。

――決勝はどのようなレース展開にしていきたいですか

いつもスタートで結構出られてしまっていて、あした当たるクルーはみんなスタートがかなり速いので、自分たちがそこで置いていかれないようにスタートを決めるというところと、コンスタントで粘ってラストスパートはきょうみたいに全力で漕ぐという感じですね。(準決勝のタイムが)10秒くらい開いていたので不安もあるんですけど、モーターボートとかに抜かれないように、気持ちはポジティブに持って頑張ります。

【男子シングルスカル】

阿部光治(スポ1=愛知・猿投農林)

――今日のレースプランについて、どのように考えられていましたか

中盤きついところで仕掛けたいと思っていました。

――準決勝の組では、U19日本代表で同じ代表に選出されたメンバーもいましたが、競っていた中で第3クォーターでスパートをかけたのは、狙っていましたか

はい。前回、同じメンバーでレースをしたことがあって、その時に中盤スパートをかけられて離されたことがあったので、逆に(今回は自分が)やってやろうと思っていました。

――終盤、日大の島田選手にラストスパートをかけられ、猛追されていましたが、その時の心境はいかがでしたか

最後の残り100メートルくらいで猛追されて、ちょっと焦ったんですけど、ミスオールがないように漕ぎ切りました。

――最後に、決勝はどのようなレースにしたいとお考えですか

周りの選手はオリンピアンだったり、シニアの代表選考1位の人がいるので、そういう人たちとレースできることをとりあえず楽しみたいです。その中で、どこまで行けるかな、と。頑張りたいです。

――具体的に、目標とする順位を教えてください

やっぱりメダルを取りたいです。