文=佐保めぐみ 写真=B.LEAGUE

3年連続セミファイナル敗退「感じてしまうものがある」

栃木ブレックスの2018-19シーズンは、チャンピオンシップのセミファイナルで千葉ジェッツに敗れたことで幕を閉じた。それと同時に、比江島慎の激動のシーズンも終わりを迎えた。チャンピオンシップを「本当に全部出しきった。悔いは残りますけど、最後までチーム全体で戦えて良かった」と振り返るが、それはあくまでチームの話。誰よりも負けず嫌いな比江島は、自分の出来については到底満足していない。

「今日勝ってこそ自分がきた意味があると思ったので、そこでやっぱりチームを勝たせられなかったのはすごい悔しいですし、まだまだ足りないものがあると感じました」

試合終盤に栃木は奮起し、2桁のビハインドから千葉を慌てさせる猛追を見せた。残り1分7秒、ディフェンスリバウンドを拾った比江島はボールプッシュからそのままドライブで仕掛けてバスケット・カウントをもぎ取る『らしい』プレーを披露。ただ、「もちろん、行こうとは思っていました」と積極性は持ち続けていたが、自分で攻めずにパスを選択する場面も多く、「正直、体力があまりなかったのもあるんですけど、もっとやれば良かった」という悔いに繋がった。

比江島にとってはシーホース三河での2シーズンと栃木での今回を合わせて3シーズン連続のセミファイナル敗退に。「3年連続っていうのは、単純に自分に力がないのかな、勝たせられる能力がないのかな、とやっぱり感じてしまうものがあります。自分が大事な場面で決めていればとか、苦しい場面でやれていればっていうのは、毎年3年間ずっと感じている」と、さすがに心理的なダメージは大きい。

しかし、「そこで腐ってしまうと良くない。まだチャンスはあると思うし、次に向けて切り替えてやりたいです」と最後には前を向いた。

「人生の中でも内容が濃い1年になりました」

比江島は昨夏にシーホース三河を退団。一度は栃木ブレックスと契約をかわしたが、かねてから希望していた海外挑戦を実現してオーストラリアに渡った。栃木に加入したのはシーズン半ば。そこから栃木の独特なスタイルへの順応に手間取りはしたが、チャンピオンシップではチームに不可欠な戦力になっていた。特にディフェンスの激しさの面で比江島を厳しく指導した安齋竜三ヘッドコーチは「僕がもうちょっと上手く使える戦術だったりを提供してあげられれば、もっと彼の得点力も上がった可能性もある」と、起用法の難しさを語る。

それと同時に比江島の才能を認め、チームに順応する努力を称えた。「最後まで気持ちでどんどんアタックしてくれた。ウチのチームにいますけど、日本を代表して世界と戦う選手だと思っているので、そういう意味では彼自身も一歩ステップアップできたんじゃないかなと思います」

比江島自身も、長年所属して居心地の良い三河を離れ、ブリスベン・ブレッツと栃木で悩みながらも大きく学んだ激動のシーズンを、こんな表現で振り返る。「人生の中でも内容が濃い1年になりました。もちろんプレー面でもメンタル面でもすごく鍛えられて、自信がついたことが、この一年で一番大きいと思います」

Bリーグ優勝という目標は果たせなかったが、比江島の挑戦はまだ続く。この『自信』を生かすべき舞台は、まずは今夏のワールドカップとなる。世界を相手に戦う比江島に、さらなる期待を寄せたい。