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ヨキッチに託し続けたナゲッツを『賭け』で上回る

ナゲッツとブレイザーズの第3戦は4回のオーバータイムに突入する大接戦に。ゴールデンウィークの土曜日にリアルタイム観戦していたファンの胃が痛くなるようなヒリヒリした緊迫のシーンが連続するプレーオフらしい展開は、『プレーオフで勝つために必要なこと』が詰まりに詰まった見応えがある試合でした。

現代のNBAはオフェンス主流ですが、「プレーオフで勝ちたければディフェンスが重要」という言葉通り、西カンファレンスで残った4チームはオールラウンドに守れるキラーディフェンダーを揃えています。シュート力の高いポイントガードに対してマッチアップするのはモーリス・ハークレスとトレイ・クレイグ。ともにスモールフォワードの2人で、サイズの違いを使ってプレッシャーをかけシュートを落とさせることに成功します。

エネス・カンターのケガがありながら控えセンターのメイヤーズ・レナードに声はかからず、オフェンスが停滞してもアイザイア・トーマスに出番はないなど、両ヘッドコーチはディフェンス力に難のある選手を起用したがらず、ディフェンスを最優先に考えた選手起用が続きました。

また「プレーオフでステップアップするのが真のスーパースター」ならば、ファーストラウンドで歴史的なクラッチシュートを決めたデイミアン・リラードはその価値を大いに示しました。その一方でニコラ・ヨキッチはファーストラウンドから長時間コートに立ち続け、この試合もプレーオフ史上4位となる65分プレーし、残したスタッツは33得点18リバウンド14アシストとスーパースターそのもの。後半開始からずっとプレーし続けたスターへの信頼は厚く、タイムアウトでナゲッツが選択したプレーのほとんどがヨキッチのポストプレーでした。

60分プレーし41得点のCJ・マッカラムもまたステップアップし、特に3回目のオーバータイムでは残り19秒で負けている中、ジャマール・マレーからミスを誘う値千金のディフェンスでリラードの同点レイアップに繋げました。弱点と言われていたディフェンスを改善させたこともマッカラムの価値を上げています。

過去の歴史が証明してきたプレーオフにおける「ディフェンス」と「スターのステップアップ」の重要性を実践したことで両チームが一歩も譲らず、延々と続くとすら思われたオーバータイムは、現代NBAらしい結末を迎えます。

近年は優勝のために複数のスター選手を集めたスーパーチームが結成されていく一方で、ペイサーズやクリッパーズに代表されるベンチメンバーも含めた層の厚さで勝負するチームも登場しています。その最大の特徴は「フレッシュな選手が活躍する」ということ。スピードアップし続ける現代NBAでは選手の消耗も激しく、コートにいる時間が伸びるとプレーの質が下がるため、短時間であればフレッシュなベンチメンバーがスター選手をも上回ることが頻繁に出てくるようになりました。

試合を決めたのはブレイザーズのロドニー・フッド。4回目のオーバータイムの残り2分同点の場面で飛び跳ねながらコートに登場すると、アイソレーションを仕掛けて2つの難しいミドルシュートを決め、残り18秒ではマッカラムのパスを受けて決勝の3ポイントシュートを決めます。

最後のオーバータイムでフッドを除くブレイザーズのフィールドゴールは1本しか決まらなかっただけに、残り2分をフレッシュな選手に賭けた采配が重要な勝利を手繰り寄せました。

両チームが大いに疲弊したであろう第3戦。第4戦までに回復を図りたいところですが休みは1日しかありません。そのため「ディフェンス優先」で「スーパースターがステップアップ」する中でも、「フレッシュな選手を上手く活用」した方が主導権を握りそうです。ベンチメンバーの層で上回るナゲッツか、それとも勢いに乗るフッドが再び活躍するのか。総力戦が予想されます。