東京六大学リーグ春季リーグ戦 対慶大 1回戦 2019年4月27日(土) 神宮球場 迎えた『前半の山場』慶大戦。法大は初回、1死一、三塁の好機を作ると4番・伊藤寛士が左前適時打を放ち、幸先よく先制に成功する。しかし、その後は慶大のエース・高…

東京六大学リーグ春季リーグ戦 対慶大 1回戦
2019年4月27日(土)
神宮球場

迎えた『前半の山場』慶大戦。法大は初回、1死一、三塁の好機を作ると4番・伊藤寛士が左前適時打を放ち、幸先よく先制に成功する。しかし、その後は慶大のエース・高橋佑樹を前に走者は出すものの得点へと結びつけることができず、1点リードのまま試合は中盤へ。すると6回裏、好投を続けていた三浦銀二(キャ2)が慶大打線につかまり同点となると、7回裏には柳町達に適時打を放たれ逆転を許してしまう。1点差を何とか追いつきたいところだったが、三浦の後を受けた朝山広憲(法4)が8回裏に痛恨の3ランを被弾。最終回に安本竜二(営4)が一矢報いるソロを放つも空砲となり、2-5で無念の敗戦を喫した。

試合結果

        123 456 789 計  H  E
法 大 100 000 001 2  10  1
慶 大 000 001 13× 5   7   1

(法大)●三浦、朝山–渡邉
(慶大)○高橋佑、高橋亮–郡司
[本塁打] 小原1号3ラン(8回=朝山)安本1号ソロ(9回=高橋亮)

戦評

東大との開幕戦で勝ち点を獲得し迎えた慶大戦。慶大は昨季、唯一勝ち点をあげることができなかった相手であり、秋春連覇に向けて避けては通れない相手だ。法大にとって負けられないカードが始まりを告げた。

初回からいきなり試合は動いた。2番・宇草孔基(営4)が内野安打で出塁し、続く3番・福田光輝(人4)が瀬戸西純の失策を誘う強烈な打球を放ち1死一、三塁と好機を演出する。打席には東大戦で2本塁打を放った4番・伊藤寛士(文4)。ツーボールと打者有利のカウントから左前適時打を放ち先制し、相手先発の髙橋佑樹の立ち上がりを攻めたてる。

その裏、先発の三浦銀二(キャ2)が早くもピンチを迎える。1番・柳町達が四球で出塁し、2番・渡部遼人の犠打で1死二塁。続く3番・中村健人が安打性の打球を放つが、二塁を守る相馬優人(営4)が好守備を見せて失点を防ぐ。その姿に後押しされ、エース三浦は本来の姿を取り戻す。4番・郡司裕也を三振に抑え、立ち上がりを無失点で切り抜ける。しかし、その後、法大は三浦の好投に応えるべく得点圏に走者を置き好機を演出するも、なかなか追加点をあげることができず、1点差のまま試合は中盤を迎える。

そして6回裏、好投を見せていた三浦が遂に慶大打線につかまる。通算91安打目の右前安打で出塁した柳町を二塁に置き、4番・郡司の執念で運んだ右前適時打で同点に追いつかれると、7回裏にも柳町に通算92安打目となる中前適時打で逆転を許してしまう。

昨季覇者のプライドにかけて反撃をしていきたい法大の8回表の攻撃。東大戦から好調を維持している2番・宇草、3番・福田、4番・伊藤とつながる好打順を迎える。先頭の2番・宇草が左前安打で出塁し、反撃ムードが高まると、続く3番・福田の打席で一塁走者の宇草が二盗を試みる。しかし、郡司の強肩に阻まれタッチアウト。打者の福田も空振り三振に倒れ、好機をものにすることができない。その後、4番・伊藤が中前安打で出塁するもあとが続かず、無得点に終わる。

8回表、果敢に盗塁を狙うも失敗しうなだれる宇草

8回裏、無失点に抑え最終回の攻撃に備えたい法大。この回から先発三浦はマウンドを降り、朝山広憲(法4)がマウンドへ。しかし、「マウンドに立って力んでしまい、思ったところに制球がいかなかった」と語ったように制球が定まらず、7番・小原和樹に痛恨の3ランを浴びる。この本塁打で流れは完全に慶大に移り、主導権を握られてしまう。最終回に6番・安本竜二(営4)のソロで1点を返すも、あとが続かず試合終了。終わってみれば2-5と法大にとっては痛すぎる敗戦となった。

『前半の山場』である慶大との初戦で敗戦したものの、秋春連覇への道が途切れたわけではない。まずは、明日の2回戦に勝利し次につなげたいところだ。今こそチームで『結束』し、チーム一丸となり勝利を目指したい。
(髙橋尚輝)

クローズアップ:安本竜二

昨季、唯一勝ち点を奪取できなかった相手、慶大との一戦。各々の選手が勝利への執念を胸に臨む中、今季活躍を誓う安本竜二(営4)が一皮むけて神宮に戻ってきた。

初回から安打を重ねるも、なかなか得点できずに苦しむ法大。4点差をつけられて迎えた9回、先頭打者として打席に立った。その時を、「なんとか塁に出るしかなかったので、必死に打席に入った」と振り返る。安本が放ったのは2球目。ど真ん中に来た直球を大きく振り抜き、その打球は左翼席へ。リーグ戦初となる本塁打で、反撃の一打を見せた。

高校時代、強打者として名が知られていた安本だったが、大学進学後はなかなか結果を出せずに苦しい時期が続いた。しかし、ラストイヤーとなる今年、グラウンドで見せた姿は一味違った。オフ期間に打撃を強化し、オープン戦で徐々に手応えをつかんでいくと、開幕戦では満塁の好機で2打点を挙げた。そして、今日の本塁打。日々の練習に加え、試合後の取材でも感じられる、人一倍の気持ちの強さが、一本一本の後ろ盾となっているに違いない

開幕直前の取材でアピールポイントを訪ねた際、「バッティングです」と、一言で力強く答えていた安本。今季、左打者の多い法大にとって、右打者で打てる存在というのはかなり重要だ。3年間で乗り越えてきた苦境を糧に、大学野球生活最後の年、安本の快進撃が始まる。
(吉田あゆみ)

選手インタビュー

朝山 広憲 副将
 —今日を振り返って
今日は自分が抑えていればよかったわけで、自分が試合を決めてしまったと感じています。

—3ランによる失点の原因は
マウンドに立って力んでしまい、思ったところに制球がいかなかったことが大きいと思います。

—試合前のコンディションは
悪い状態ではなかったのですが、逆にそれがマウンドに立って力みにつながってしまった部分はありました。

—今季の調子は
調子自体は自分では悪くないと思っているので、しっかり今日の反省するところはしっかり反省して、今後に生かしていければと思います。

—今後の対策は
今後はしっかり技術面というよりは、精神面でもう少し落ち着いて堂々と投げられるようにやっていきたいと思います。

—投手陣全体の調子は
投手陣全体的には悪くない状態できているので、しっかり明日以降もロースコアで抑えていけるようにやっていきたいと思います。

—次戦に向けて意気込みをお願いします
今日は情けないピッチングをしてしまったので、明日以降は投手陣で勝ったと言われるようなピッチングをしていきたいです。


伊藤 寛士 捕手
—今日の試合を振り返って
先制ができたのは良かったんですけど、それ以降、ランナーを出しているのに点が取れなくて、残塁が多かったのでそこは無くしていかないといけないと思います。

 —どのような意識で今日の試合に臨んだか
慶応戦がリーグ戦の1つの山になるということは、チーム全員で意識して、練習をずっとやってきました。とにかくこのカードをしっかり全員で戦っていこうという話はありました。

—先制の適時打を放ちました
ツーボールだったので、ある程度思い切りいこうと思っていました。甘い球が来て、しっかりヒットになったので良かったと思います。

 —8回の打席ではビハインドの状況で安打を放ちました
あの流れの中、3人で終わってしまうのは良くないと思って、とにかくヒットを打って後ろにつなぐことで流れを取り戻せると思ったので、コンパクトに打ちにいきました。

—今日の試合で出た課題は
やはり、コントロールが良いピッチャーに対して、甘い球を捉えきれずにファールにしてしまったり、受け身になってしまったりというところがチームであったので、そこは1つの課題かなと思います。

—最後に明日に向けての意気込みをお願いします
もう負けられないので、あと2回、しっかりと勝って、慶応戦で勝ち点を取れるように、しっかり頑張っていきたいと思います。


相馬 優人 内野手
—今日の試合を振り返って
どっちに転ぶか分からない試合で、勝ちたかった試合で、本当にめっちゃ悔しいですね。この2週間、慶應に勝つためだけに本当にすごくやってきたので、負けてしまったのはすごく悔しいです。

—ご自身の結果を振り返って
本調子とまではいかないんですけど、だいぶ上がってきているので。バッティングもちょっと変えて、それによって調子も上がってきました。守備もこの間エラーしてしまったんですけど、今日の試合では、要所要所しっかり(アウトを)取ることができたので、良かったと思います。

—打撃の方はどのように変えたのか
いつもはバットを立てて打っているんですけど、すごく出方が悪いので、バットを寝かせてスムーズに出るようになりました。それが今日の2安打にもつながったと思いますね。 —慶大の対策は 高橋佑樹を想定してずっとやっていて、マシーンを全部設定したりだとか、左ピッチャーにずっと投げてもらったりと、色々対策してきて。一応打てているので対策としては良かったです。

—チームの雰囲気は
今日負けてしまったんですけど、そこでみんな落ちることなく、最終的に勝ち点を取れればいいと思っているので、絶対に明日勝つぞという良い雰囲気だと思います。

—明日に向けて
明日負けたら優勝も遠くなると思いますし、絶対慶応には勝ち点を取らなければいけないと思うので、なんとしてでも勝ちたいです。


安本 竜二 内野手

—今日の試合を振り返って
慶大とのこの初戦は取りたかったので、悔しい思いはあるんですけれど、明日勝つしかないのでという感じです。

—どのような気持ちで試合に臨みましたか
開幕の東大戦が終わってから1週空いての試合だったので、みんな入りから大事に、初回から大事にいこうというふうにやっていました。

—空き週に取り組んだことは
やはり、ピッチャーの球速が東大よりも上がるので、その対応をしっかりやっていました。

—初回、好機で打順が回ってきました
チャンスで、甘い球はあまり来ないと思ったので、初球からどんどん振っていこうと思って打席に入りました。

—結果は遊飛、悔しい結果となってしまいました
今思うとあそこでたたみかけていればなというのがあるので、しっかり明日につなげていきたいと思います。

—5回終了後に円陣を組んでいたと思いますが、どのようなことを
オープン戦の中でもずっと後半勝負でやって来ていたので5回が終わって6回からも、いつも通り、オープン戦通り強い法政を見せていこうと話しました。

—逆転され、迎えた最終打席、どのような気持ちで打席に入りましたか
結果はホームランでしたけど、なんとか塁に出るしかなかったので、必死に打席に入った結果だと思います。

—6番打者としての心がけは
ランナーがいなかったら、チャンスメイクして、下位にもいいバッターがいるので。相馬(優人、営4)だったり。基本的にチャンスで回ってくることが多いと思うので、そこでなんとか1本出せるように心がけています。

—明日の第2戦に向けてひとことお願いします
もう勝つしかないので、絶対に勝ちます。
 

三浦 銀二 投手
 —今日の試合を振り返って
自分が点を取られて負けたんですけど、自分の中ではそんなに調子が悪いとかあまり感じていないので、明日勝ってもらって、3戦目で投げる機会があるなら、またしっかり投げたいと思います。

—慶大の対策は
気を抜けないバッターが多いので、投げミスだけは絶対しないように心がけました。

—柳町達選手に2打席連続安打を許しました
警戒はしていたんですけど、打たれたことはもう取り返せないので、(次から)どうやって打ち取るか。まだシーズンは続きますし、3戦目投げることがあるなら絶対に打たれないようにしたいなと思います。

—勝負の後半となりました
疲れも当然あって、自分の思うような球が少なくなったところで、自分のピッチングができなかったということは次の試合までの課題にしたいと思います。

 —7回を終えて降板した時のお気持ちは
まだまだいく気ではいたので、変えられた悔しさというのはありました。

—次の試合に向けて
明日勝ってくれると信じて、3戦目投げることがあるなら、自分の役割を全うして、チームを勝利に導けるようなピッチングができれば良いなと思います。

先制の適時打を放った伊藤
三浦は7回2失点と好投を見せた
1回裏にチームを救う好プレーを見せた相馬
毛利はここまでの3戦で安打が出ず苦しい結果に
舩曳は4三振と本来の力を発揮できずに終わった
8回裏に痛恨の3ランを浴びた朝山
9回表に一矢報いるソロを放った安本
明日からの連勝で勝ち点奪取を目指す