「我々は1勝を挙げるためにここに来たのではない」

絶対王者ウォリアーズを相手に23点ビハインド(50-73)で迎えたハーフタイム中、クリッパーズの指揮官ドック・リバースは選手たちに「とにかく耐えよう。できるだけ長く持ちこたえよう」と声を掛け続けた。彼の言葉は選手を鼓舞するための方便ではなく、本音だった。

「どうすれば勝てるかは分からないが、その方法は全員で見つけるんだ」

すると後半、クリッパーズは徐々に点差を縮め、最後には135-131で勝利。プレーオフ史上最大となる31点差(63-94)からの大逆転勝利を収めた。

ベンチからゲームハイの36得点を記録したルー・ウィリアムズは「全員が力を発揮して、同じ方向を向く必要があった」と、チーム力を誇った。その言葉通り、クリッパーズは一人ひとりが持ち味を発揮し、劣勢をひっくり返した。

オフェンスを引っ張ったのはウィリアムズと、同じくベンチから25得点10リバウンドをマークしたモントレズ・ハレル、そして24得点を記録したダニーロ・ガリナーリだった。ディフェンスでは、ステフィン・カリー、ケビン・デュラントらを相手に食らいつく守備を続けたパトリック・べバリーが違いを生み出した。ウィリアムズは、第1戦からデュラントと激しくぶつかり合っているべバリーについて「彼の献身性と、エネルギーに感謝している」と称えた。

「第1戦ではデュラントを退場させて、今日は彼をファウルアウトに誘い込んだ。スタッツには表れないだろうけれど、それがパットなんだ。あのエネルギー、気骨あるプレーをしてくれるからこそ、僕らのプレーが楽になる」

リバースは試合後の会見で選手を絶賛した。「後半に戦術面での変更はあったが、それよりも闘志が素晴らしかった。シェイ(ギルゲウス・アレクサンダー)が終盤に素晴らしい判断をして、シャム(ランディ・シャメット)がビッグショットを決めた。終盤に違いを作ったのは2人のルーキーだった。最高だね」

そして、チームを鼓舞し続けたベテラン2人への賛辞も忘れなかった。「パットは、これまでのことで誤解されることもあるだろうが、我々のチームにとって重要な存在だ。特に彼とルーが、タイムアウトごとにチームを勇気づけ、若い選手を鼓舞し続けてくれた」

ウォリアーズがシリーズを圧倒するという意見が多い中、リバースと選手たちはチームの力を信じて王者に真っ向から挑んでいる。

「我々は1勝を挙げるためにここに来たのではない。周りが何を言おうと勝手だが、私たちは同意できないね。我々には、我々なりの見通しだったり、期待していることがあるんだ」

ウォリアーズでは、デマーカス・カズンズが第1クォーターに太ももの筋肉を痛めて交代した。指揮官のスティーブ・カーは「しばらくは出られないだろう」と語っており、軽傷では済まないようだ。カズンズの離脱がシリーズにどういう影響を与えるかは分からないが、第3戦以降も面白い戦いになるのは間違いない。