シニアの国際大会初出場で初優勝を飾った安楽 4月6、7日にかけてモンゴル・ウランバートルで行われたモンゴル・オープンに早大の現役学生とOB選手によるチームワセダで出場。シニアの国際大会初挑戦となった65キロ級の安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工…


シニアの国際大会初出場で初優勝を飾った安楽

 4月6、7日にかけてモンゴル・ウランバートルで行われたモンゴル・オープンに早大の現役学生とOB選手によるチームワセダで出場。シニアの国際大会初挑戦となった65キロ級の安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)が並み居る強敵を抑えて優勝を果たした。安楽は2017年のアジア・ジュニア選手権以来、シニアでは初となる国際大会での優勝となった。新主将の山﨑弥十朗(スポ4=埼玉栄)も74キロ級で3位に入賞、OB選手では97キロ級で出場した山口剛(平24スポ卒=現・ブシロード)が2位に輝いた。


★安楽選手 インタビュー


※この取材は4月10日に行われたものです。


表彰台で笑顔を見せる安楽

手応えをつかめた大会

――優勝おめでとうございます!

 ありがとうございます!

――今大会への挑戦に至った経緯というのは

 海外の試合にちょっと出ないかってなって、最初はブルガリアの国際大会に誘われていたんですけど、日程が合わなくて。それで探していたら監督からモンゴルオープンに出ないかって提案があって、出場しました。

――天皇杯から試合が開いて、まもなくシーズンが始まるという中で、今大会の位置付けというものは

 天皇杯から期間が空いて、減量が自分は結構課題で。あと2週間後にJOCがあるので、海外の大会は2キロオーバーで出られるので、それに向けて体がちゃんと動くのかっていう調整と、自分海外での試合はフリースタイルが2回目で、シニアでは初めてで。自分の海外での位置を確かめたかったというのもあります。モンゴルの同じ階級の選手が2週間ぐらい前のU23のアジア大会で優勝していて、自分もよく動画とかで見て「こいつ強いな」って思っていて。その選手が出てくるというワクワク感と海外のプレースタイルに慣れたいなと思いました。

――その選手とは対戦したんですか

 3回戦でしました。結構有名な人で、世界選手権でも乙黒さん(拓斗、山梨学院大)と決勝で戦ったインド人の選手を相手にギリギリの戦いをしていて、そんな選手と戦えるっていうのは正直嬉しかったですね。

――3回戦は6−4で勝利していますが、対戦してみていかがでしたか

 試合の2日前ぐらいにモンゴルに着いて、調整する期間があったので、そこでモンゴルの選手と合同練習をしたんですけど。そこでその強い選手とスパーリングをして、案の定強くて。これは試合でどうなるんだろうと思ったんですけど、ワクワク感が強かったですね。たとえ勝てなくても、自分の立ち位置がわかればいいかなと思っていたので。

――大会全体を振り返っていかがですか

 もうモンゴル人の選手が多すぎて(笑)。結構アウェーだったんですけど、自分からどんどん攻めていこうっていうスタイルで、思いっきりやろうかなと思って。3回戦は残り1分で5−1で勝っていて、いけそうだなと思っていたんですけど、海外の選手だと4点差でも追いついてくる展開が多くて、案の定来て。5−4になってローリングを掛けられたんですけど、自分腰が柔らかいので、返ってないのに完全アウェーなので会場が湧いて。チャレンジをして6−4で勝てましたね。

――簡単な大会ではなかったと思いますが、優勝できた要因は何かありますか

 自分的にはたまたまですね(笑)。自分のスタイルがうまくはまって、どんどん勝てたので。自分にとって勢いがあったので。先輩たちもすごい強いし、勝てる試合も完全アウェーで落としてしまうっていうこともありました。僕はあんまり気にしていなくて、緊張もあまりしないタイプなんですけど、難しい試合ではありましたね。特に準決勝のロシアの相手は。ロシアってレスリングの強豪国なので、ロシアの選手とやれるっていうのは嬉しいし、どれくらいなのかなって思っていたら、ワンチャンスを狙って守ってくる相手で、最後自分が逃げているっていう判定で1回負けってなったんですけど、チャレンジに成功して。あの試合は久しぶりに試合でフラストレーションが溜まりましたね。ただそういう戦いをしてくる相手もいるんだっていう経験にはなりました。

――大会を通じて海外の立ち位置としてはどう感じましたか

 自分で言っちゃなんですけど、65キロ級は日本が一番レベル高いんじゃないかなって思っていて。乙黒さん、樋口さん(黎、日体大助手)、圭さん(米澤、平31スポ卒=現・住友金属鉱山)もいますし、中村倫也さん(博報堂DYスポーツ)っていうU23の61キロ級の世界チャンピオンもいますし。国際大会の65キロ級は全部日本人の選手が取っているので、そういう階級でやれるっていうのは自分にとって経験になりますし、日本で勝てば世界でも勝てるかなと思っています。そんな中今大会でモンゴルのトップ選手ともやれて、優勝もできて。自分的にもプレースタイルっていうのは変わってきたのかなと思います。

――プレースタイルは具体的にはどう変わってきたのでしょうか

 今大会は自分からどんどんタックルに入っていきましたね。

――去年は慎重に試合を運ぶ戦い方が目立った印象があります

 そうですね。慎重だったんですけど、今年に入ってプレースタイルを変えないといけないな、このままじゃ絶対ダメだなと思っていたので、自分で試行錯誤をしながら。OBさんや先輩たちに聞きながらこういうバリエーションもあるんだなって参考にして。ただなかなかうまくいかなくて、頭がこんがらがっちゃって、1、2ヶ月ぐらい思うように攻められない時期か続いたんですけど。そんな中でいざ試合っていう状況だったんですけど、思いの外うまく攻められて。意外と自分の中で試行錯誤をしている中で成長していたんだなっていう実感はありましたね。

――天皇杯からの期間はプレースタイルの変更に取り組んでいたのですか

 そうですね。もう天皇杯が終わってすぐに変えようって思っていたので、3ヶ月ぐらいずっとですね。自分のできなさにちょっと腹が立ったりということもあって。そんな中モンゴルに行こうってなったので、行っても勝てるのかなっていう不安は正直ありましたね。

――今大会で手応えはつかめたと

 結構今大会で吹っ切れた部分はありますね、手応えはつかめてきたんじゃないかなと思います。まぁ全然ですけど、勢いがあったので。世界で勝てる選手っていうのは研究されていても勝てるんですよね。自分はちょっといきなり出てきて、初出場で「お前誰だ」みたいになっていたので(笑)。そういう中でも勝てる選手っていうのは65キロ級にはいっぱいいるので、そういう選手たちみたいに、研究されても勝てる選手になっていきたいですね。

迎える2年目のシーズンへ向けて

――改めて今大会での収穫というのは何が挙げられますか

 収穫としてはメンタル面ですかね。昔から勝ってるときに無意識のうちに下がってしまうクセとか、勝ち急ぎすぎちゃって点数を取られることがあったので。

――昨年の天皇杯準々決勝(●3−5、樋口黎)のような試合をなくしていきたいと

 そうですね。ああいう展開はなくしていきたいですね。あとはタックルの成功率っていうのは結構上がっているし、バリエーションが増えている実感はありましたし、あまりタックルで点数取られたっていうのはなかったので、防御の方も手応えはありました。そういった部分ももっと突き詰めていきたいですね。

――2週間後にJOCジュニアオリンピックカップを控えています

 去年は準決勝で榊(大夢、山梨学院大)に負けて。去年だけで4回やっているんですけど(笑)。その選手と決勝で当たるので、決勝までは1試合1試合集中していつも通りやれば勝てるんじゃないかなと思いますし、優勝して、その2週間後にはリーグ戦があるので。団体戦は先輩たちに勝たせてあげたいですし、大学に貢献もしたいですし、自分にとって学生の大会では一番大事な試合だと思っているので、それだけは絶対に負けたくないですね。

――去年はリーグ戦全勝でしたが、今年はまた違った心境があるのでしょうか

 自分はあまり緊張しないので、プレッシャーは全くないと思います。自分で思っているだけなんですけど(笑)。自分が勝てば勝利につながると思うので。優勝して、グアム行きたいっすね〜(笑)。

――グアムですか

 優勝したらグアムなんですよ!優勝旅行ということで(笑)。

――山﨑弥十朗主将の印象はいかがですか

 いやもう、すごいきついっす(笑)。自分のストイックさを周りにも求めていくタイプで。背中で語るんじゃなくて、周りに気配りをしながらみんなの士気を上げていってくれるので、色々な面でチームのために考えていて、いい先輩だなと思います。

――昨年度主将の米澤圭選手は背中で語るタイプだったと思いますが

 そうですね、去年とは全然違うなと思います。なので最初はみんなもちょっと嫌々だったんですけど。やろうっていう気持ちはあるんですけど、人間ってやっぱりきついのは嫌じゃないですか(笑)。でもだんだんそれにも慣れてきて、みんなが前を向いていて、チームとしての底上げはできていると思います。

――リーグ戦後には明治杯も控えていますが、意気込みとしてはいかがですか

 明治杯は12人しか出てこないので、みんなトップ選手で、五輪に向けて目の色変えてやってくるので、全然違う雰囲気だと思います。そこでいかに自分が楽しく思いっきりできるか、いかに自分のプレースタイルを出していくかですね。それができればいい結果につながるんじゃないかなと思います。やっぱり優勝を目指したいですね。優勝を狙っていかないと結果はついてこないと思うので。ちょっとかっこいいこと言っちゃった(笑)。

――去年の天皇杯で聞いた際には「痩せたい」とおっしゃっていましたが、改めて2年目の抱負をお聞かせください

 だんだん大学の生活にも慣れてきて、体も絞れてきて。重いもの持つのが苦手なので、筋トレはあまりしないんですけど(笑)。なので痩せたいかつ、脂肪を落として、レスリングに必要な筋肉を鍛えて。あとはいつも通り思いっきり、何も気負わずにやって、楽しくやれば結果もしっかりとついてくると思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 林大貴)


結果(早大勢のみ)

男子フリースタイル
▽61kg級
吉村拓海(スポ4=埼玉栄)
1回戦 ●2-10(モンゴル)

▽65kg級
安楽龍馬  優勝
1回戦 ○11-1[Tフォール](モンゴル)
2回戦 ○10-5(カザフスタン)
3回戦 ○6-4(モンゴル)
準決勝 ○4-2(ロシア)
決 勝 ○10-0[Tフォール](モンゴル)

米澤圭
1回戦 ○10-9(モンゴル)
2回戦 ●4-6[フォール](モンゴル)

▽70kg級
米澤凌(スポ2=秋田商)
1回戦 ●0-9(モンゴル)

▽74kg級
山﨑弥十朗 3位
1回戦 ○4-3(モンゴル)
2回戦 ○5-1(モンゴル)
準決勝 ●0-7(ロシア)
3位決定戦 ○7-5(モンゴル)

▽97kg級
山口剛 2位
1回戦 ◯不戦勝
2回戦 ○10-0[Tフォール](モンゴル)
準決勝 ○4-3(モンゴル)
決 勝 ●0-6(モンゴル)