13・14日、ボルダリングW杯第2戦がロシア・モスクワで開催された。女子はスロベニアのヤンヤ・ガンブレットが開幕2連勝を飾り、日本の伊藤ふたばが6位入賞。男子は同じくスロベニア出身で昨年の年間王者であるイェルネイ・クルーダーが準決勝6位からの逆転優勝を決め、緒方良行が3位で2017年ベイル大会以来の表彰台に上がり、出場2戦目の川又玲瑛が殊勲の5位に入った。

 先に行われた女子決勝。日本勢は野口啓代が国内調整のため出場回避、野中生萌が負傷欠場と2人のエースを欠く中、伊藤ふたばが昨年の八王子大会以来2度目の決勝進出を果たした。伊藤は第1、第2課題を続けて完登して4位につけ、ファニー・ジベール、ガンブレット、ショウナ・コクシーの上位3人に食らいついていく。しかし、第3課題で伊藤はコーディネーションムーブを攻略できずに痛恨のノースコア。一気に順位を落としてしまう。

 この課題、ここまで2つの一撃で並ぶ上位3人はジベールが3トライ、ガンブレットが1トライ、コクシーが2トライで完登し、優勝争いのゆくえは僅かにアテンプト数で差が開く。そして最終課題。ジベールがコーディネーション部分をダブルダイノで飛ばして会場を沸かし、そのまま一撃するも、圧巻だったのがガンブレット。冷静な登りで4つ目の一撃を記録し、決勝全課題を全て1トライで沈めるパーフェクトなパフォーマンスを披露。最後のコクシーを待たずに開幕2連勝を決めた。コクシーは2トライ目で完登し、カウントバックで2位となった。伊藤は最終的に3完登3ゾーンを記録し、6位に終わっている。

自身2度目の決勝を戦った伊藤ふたば。

 続いて行われた男子決勝には、日本勢から緒方と今季W杯デビューの15歳・川又玲瑛が2戦目にして準決勝2位の好位置につけて進出した。1つ目の山場となったのが第3課題。先頭のクルーダーがこのスラブ(緩傾斜壁)を4トライ目でなんとか完登すると、緒方はこれを3トライで攻略。開幕戦優勝者のアダム・オンドラ(チェコ)も3トライで完登し、優勝争いはここにアンゼ・ペハルク(スロベニア)を加えた4名に絞られる。

 最後の山場の最終課題は、先頭のクルーダーが1トライ目に攻略して雄叫びを上げる。あっという間の完登劇に、後続の選手たちもイージーにこなすかと思われた。しかし、緒方は疲労の蓄積からかゾーンも獲れず、ペハルクも力尽きる。そして2トライ以内で完登できれば優勝というオンドラも、まさかのゾーン獲得のみにとどまり、クルーダーが準決勝6位からの見事な逆転で、昨年のマイリンゲン大会以来の優勝を果たした。緒方は3位に、第2課題を完登するなど健闘をみせた川又は5位に入っている。

 また、12日にはスピードW杯開幕戦も行われ、日本勢からは2月のスピードジャパンカップで国内初代王者となった池田雄大のW杯デビューが注目されたが、男子は日本新を計測した土肥圭太の29位、女子は伊藤ふたばの42位が最高で、男女ともに決勝進出はならず。池田は61位で予選敗退となった。優勝は男子が昨季年間王者のバッサ・マエム(フランス)で、女子は7秒台を連発した中国の18歳、ソン・イリンが昨季年間女王アヌーク・ジョベール(フランス)との決勝を制して初優勝を飾った。

 楢崎智亜や野口、野中といった実績のある実力者が不在となった今大会。緒方の銅メダルや高難度の課題に多くの選手が苦戦した準決勝を2位で抜けた川又、6位ながら決勝で3完登と健闘した伊藤と、若手の活躍が光った。次戦は4月27・28日に中国・重慶で開催される。

出場2戦目のW杯で準決勝を2位通過した川又玲瑛。若干15歳ながら堂々とした戦いぶりをみせつけた。

 

<ボルダリング>

[男子]
1位:イェルネイ・クルーダー(SLO)/4t4z 8 6
2位:アダム・オンドラ(CZE)/3t4z 5 7
3位:緒方 良行/3t3z 6 5
4位:アンゼ・ペハルク(SLO)/2t3z 6 6
5位:川又 玲瑛/1t3z 2 6
6位:ヴァディム・ティモノフ(RUS)/1t3z 2 8
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8位:井上 祐二 ※準決勝進出
9位:藤井 快 ※準決勝進出
16位:杉本 怜 ※準決勝進出
17位:石松 大晟 ※準決勝進出
19位:高田 知尭 ※準決勝進出
60位:土肥 圭太

[女子]
1位:ヤンヤ・ガンブレット(SLO)/4t4z 4 4
2位:ショウナ・コクシー(GBR)/4t4z 6 6 ※準決勝1位
3位:ファニー・ジベール(FRA)/4t4z 6 6 ※準決勝3位
4位:ルッカ・ラコヴェック(SLO)/3t4z 3 5
5位:ジェシカ・ピルツ(AUT)/3t4z 9 10
6位:伊藤 ふたば/3t3z 6 6
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23位:中村 真緒
33位:平野 夏海
55位:倉 菜々子

※左から氏名、所属国、決勝成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

<スピード>

[男子]
1位:バッサ・マエム(FRA)/5秒730
2位:ウラジスラフ・デューリン(RUS)/11秒545
3位:アスパル・ジャエロロ(INA)/6秒083
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29位:土肥 圭太/6秒831 ※日本新
42位:藤井 快/7秒247
46位:石松 大晟/7秒353
49位:杉本 怜/7秒502
61位:池田 雄大/7秒967

[女子]
1位:ソン・イリン(CHN)/7秒389
2位:アヌーク・ジョベール(FRA)/7秒682
3位:ユリヤ・カプリナ(RUS)/8秒233
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42位:伊藤 ふたば/10秒102
60位:中村 真緒/11秒438
72位:平野 夏海/13秒934

※左から氏名、所属国、成績
※1・2位選手の成績は決勝タイム、3位選手の成績は3位決定戦タイム
※日本人選手の成績は今大会の最高記録

CREDITS

篠幸彦 /

写真

窪田美和子/アフロ