考え抜く姿勢

高校卒業したてで垢抜けない表情の宮本(文4)は神宮の応援席にいた。高校時代から愛着のあるトランペットを続けて行く。そう決意し、大学に入学。しかし、そこで目の当たりにしたのは中高とは一味違う、選手を後押しする吹奏楽部だった。

「先輩たちが輝かしく演奏する姿に魅了された」。神宮に鳴り響く音色、歓声。全てが宮本を包み込み、応援団へと誘った。だが蓋を開けてみると、そこには上下関係がはっきりとしている厳しい世界。さらには、周囲のことについて覚えることで精一杯になり、自分自身で動くことができなかった。

「自分がやらなければいけない」。受け身になることしかできなかった宮本も、3年になると自覚が芽生え、自分自身の考えを持つようになる。「なんで上下関係が厳しいのか。なんでこんなことをしなければいけないのか」。何も考えずに動いてきた2年間とは異なり、1つ1つの出来事に曲がりなりにも自分自身で理由付けをした。

だからこそ、彼は後輩にも一つ一つの行動への意味付けを求めた。「考えなければ形骸化してしまう。考えることが応援団が続く理由」。3年部員の1年間、曲がりなりにも意味付けを行ってきた。そんな彼だからこそ、後輩に対して口酸っぱく考えることの意義を伝え、三部一体の応援団を作ることに励んだ。


愛着のあるトランペットを演奏する宮本。考える姿勢を自ら貫いた

演奏できない苦悩

宮本に自覚が芽生えた頃、彼自身に大きな転換期が訪れた。「リーダー台に立ち、型を振る」。これは男が2人しかいない代だからこそ仕方がないことだった。しかし、「もどかしい気持ちが支配した」。吹奏楽部のみんなが楽器を演奏する中、自分は参加できずにリーダー部の練習を行う。その現実を受け入れることは容易いものではなかった。

しかし、幹部としてリーダー台に立つこと、さらにはリーダーとしての役割を考えることで、もどかしさは徐々に薄れた。「リーダー台からの景色は壮大だった」。一喜一憂する観客たちを自分の指揮で先導する。吹奏楽部では味わえなかったであろうリーダー部としての達成感を徐々に楽しいと思うようになって行った。


一年間、副団長として団長・黒田とともに応援団を支え続けた

そして、もどかしさを払拭した宮本は、三部一体を目指し、副団長として黒田(文4)と共にリーダー台に立ち続けた。4年前、神宮の応援席にいた垢抜けない青年は、時には応援席の誰よりも目立ち、時には影で選手を応援する立派な青年となった。

(3月31日 取材・編集:応援団担当一同)