18日、大学スポーツの新たな統括組織「大学スポーツ協会(UNIVAS)」の社内総会が開かれた。理事の選任やロゴマークの発表のほか、ソウル五輪のレスリング男子金メダリスト・佐藤満氏(57)、サッカー元日本代表・岩政大樹氏(37)、シドニー五輪…

18日、大学スポーツの新たな統括組織「大学スポーツ協会(UNIVAS)」の社内総会が開かれた。理事の選任やロゴマークの発表のほか、ソウル五輪のレスリング男子金メダリスト・佐藤満氏(57)、サッカー元日本代表・岩政大樹氏(37)、シドニー五輪の水泳女子銅メダリスト・田中雅美氏(40)らの講演、パネルディスカッションが行われ、本格的なスタートを切った形となる。総会に続いて行われたシンポジウムでは、鈴木大地スポーツ庁長官(51)が登壇し、大学スポーツを通じた、日本全体の活性化への期待について述べた。

UNIVASは選手の安全確保、学業との両立、大学スポーツのブランド向上を軸に、「全米大学体育協会(NCAA)」をモデルとした組織だ。スポーツ庁では、2016年から大学スポーツを横断的に統括する組織の必要性が議論されてきた。2018年夏には「日本版NCAA設立準備委員会」が発足。大学や学生競技連盟を中心に調整が進められ、2018年10月22日には、「一般社団法人 大学スポーツ協会(UNIVAS)」という新組織名称が決定した。2019年3月18日時点で199大学、28競技団体が入会している。

※シンポジウムでパネルディスカッションに臨む田中雅美氏、岩政大樹氏、佐藤満氏(左より)

日本のスポーツ界の歴史は、大学スポーツが牽引してきたと言っても過言ではない。六大学野球、箱根駅伝、大学ラグビー、甲子園ボウル。歴史と伝統を積み重ね、現在まで続いている試合が多数存在し、スター選手たちも輩出してきた。しかし、大学における体育会は、あくまでも学生たちの主体的な「部活」であり、大学側が関与することはほとんどない。自助努力によって発展を遂げた大学スポーツの実績は目覚ましいが、同時に諸刃の剣でもある。

2018年には、アメリカンフットボール部の悪質タックル事件が起き、大学スポーツ界に激震が走った。監督やコーチからのハラスメント、選手の怪我、練習環境や費用工面、学業との両立が難しいなど、内包する課題も多い。将来が見えず、競技を辞めざるを得ない学生アスリートたちもいる。”4年間”という限られた時間の中で、未来ある学生たちをどのように守っていくのか。日本スポーツ界に新たな歴史を刻む事業が、いま動き出した。