「存在自体が大きいですね。」  TEAM au・藤井快は、自身の妻についてそのように語る。様々な大会で好成績を残すなど、まさに今が絶好調。公私ともにサポートしてくれる妻は、日本クライミング界のオールラウンダーの原動力となっている。 僕にと…

「存在自体が大きいですね。」

 TEAM au・藤井快は、自身の妻についてそのように語る。様々な大会で好成績を残すなど、まさに今が絶好調。公私ともにサポートしてくれる妻は、日本クライミング界のオールラウンダーの原動力となっている。

僕にとって、“いない”ことが考えられない存在。

 2019年3月3日。スポーツクライミング・リードジャパンカップにおいて、藤井は決勝で唯一完登し、初優勝を飾った。昨年開催されたアジア選手権でも表彰台に立っており、日本を代表する選手として、今後も活躍が期待されている。

 藤井の活躍を語る上で欠かせないのが、2歳年上の妻・沙季さんの存在だ。

「妻は鍼灸師をしていて、合間をぬってマッサージやご飯を作ってもらっています。寝る前に軽くしてもらうだけでも翌日違います。もう“いない”ってことが考えられないですね。」

 始まりは学生時代。仲の良い高校の先輩とクライミングに行く中で、その友人だった沙季さんと顔を合わせるようになった。親しんだ競技を通じて出会い、仲を深めた2人は結婚。それ以来、沙季さんは、誰よりも藤井を理解してくれる味方であり続けている。

妻の一言で模索した、新たなフォーム。

 沙季さんは藤井の力になるために鍼灸師を志し、仕事と並行して3年間専門学校に通い、2年前に国家試験に合格した。治療院で働くかたわら、藤井の体のケアもしてくれている。

 しかし、サポートはそれだけに留まらない。

「今でも覚えているのが、妻に“虫みたいな登りだね”と言われたことです。それがちょっと悲しくて、それ以降、登り方を変えてみました。」

 それまでは体の線が細く、クライミングには手元だけを使っており、体幹や全身の力を使って登っていくようなタイプではなかった。しかし、自分では気付けなかったポイントを指摘してもらったことで、藤井はクライマーとしてさらなる高みを目指せるようになった。今でも練習の動画を見せて、アドバイスをもらう。沙季さんは、藤井のコーチでもあるのだ。

© IFSC/Forrest Liu

“気を使い過ぎないこと”も、強さの一つ。

 藤井の強さの秘訣は、妻だけではない。彼は会社員アスリートとして、結婚する前から日本クライミング界を牽引してきた。2012年にジャパンカップに初出場すると、2017年にはアジア選手権を制覇し、ジャパンカップやワールドカップ優勝も経験。結婚後も変わらず好調を維持し、安定した成績を残している。

 メンタルや筋力アップ、体幹のトレーニングを行うことで得た、しなやかな筋肉が持ち味だ。職場の協力もあり、クライミングに集中できる環境が整っている点も大きい。

 しかし、意外にも“食”には気を使い過ぎないようにしているという。

「気にしてはいるんですけど、気にし過ぎると逆にストレスになりますね。何を食べて良いか分からなくなってしまいます。食事を作ることも時間かかるし、色々な栄養を摂ろうとすると単純に量が多くなってしまうので、“今日、なに食べたい?”と、夫婦2人で決めることもあります。」

妻と二人三脚で目指す、“これから”。

 日本はクライミング選手の層が厚い。若い選手たちが台頭する中で、現在20代半ばを迎えた藤井が好成績を残していくには、体の疲れを残さないことと、ピークを持っていく時期が鍵となる。

「今年は8月に行われる世界選手権のコンバインド(※スポーツクライミングのうち3種目複合)の枠で7位以内かつ日本人の中で上位2位に入ることが目標です。最初のピークは5月の世界選手権の出場枠を取るための大会、その後に8月に持っていこうと思っています。」

 幸い世界選手権は日本で開催されるため、沙季さんにも直接見てもらえる可能性がある。

「何事においても全部支えてくれるので、“本当にいつもありがとう、いてくれるだけでありがたい”と伝えたいです。」

 目指す場所には、決して簡単にたどり着けない。しかし、沙季さんという最強のパートナーを得た藤井なら、どんな壁も越えていけるはずだ。

 

■TEAM au
TEAM au は、日本におけるスポーツクライミングを、子どもから大人まで多くの人が楽しめるメジャーなスポーツとして発展・普及させるべく結成されました。チームメンバーは、すでに国内外の大会で輝かしい実績を残し、世界の頂点をねらう実力派クライマーで構成されています。2016年8月、TEAM auは、文字通り“壁を越える”為の最初の一歩を踏み出しました。今後は、クライミングを愛する全ての人とともに、様々な活動を通じて日本のスポーツクライミングシーンを牽引し、盛り上げていきます。
詳しくはこちら(https://climbing-au.jp/

大会ハイライト動画はこちら(https://sportsbull.jp/climbingtv/

提供【KDDI】