27日午後、第14回ボルダリングジャパンカップ(BJC)の決勝が行われ、2019年の国内チャンピオンが決定。女子は野中生萌、男子は石松大晟がともに初の栄冠に輝いた。

 先に行なわれた女子決勝は、野中生萌、伊藤ふたば、野口啓代の三つ巴の戦いとなった。野中、伊藤が第1、第2課題を連続完登すると、コーディネーション系の第2課題でゾーン獲得もならなかった野口は第3課題を唯一登り切り、最終課題を前にして3人が2完登で並ぶ状況となった。

 勝負の最終課題。他の選手同様、TOPを掴む際の足場に3番手の野中は苦戦するが、上手く修正して3トライ目に攻略する。これで次に登る野口は完登したとしてもゾーン獲得数の差で野中に及ばないため、優勝の可能性がなくなってしまった。野口が意地の登りで完登した後、次の伊藤に残された優勝への道は一撃で完登するのみ。伊藤は少し時間をかけて運命のトライに挑んだが、初手を止めきれずにフォール。最終的には3位となり、野中のBJC初優勝が決定した。他のファイナリストである平野夏海、倉菜々子、準決勝首位の中村真緒はいずれもゼロ完登に終わったが、果敢なトライに観客からは惜しみない拍手が送られた。

初のボルダリング国内女王に輝いた野中。

第2課題の取りこぼしが響き、2位に終わった野口。

最後まで野中と優勝を争った伊藤。これで3大会連続の表彰台となった。

 一方の男子では、第1課題から予想外の展開に。土肥圭太、村井隆一、杉本怜、石松大晟の4人が危なげなく完登すると、優勝候補の藤井快、楢崎智亜がまさかのゾーン止まりに終わる。出遅れた2人は第2課題を完登して巻き返しを図ったが、第3課題で藤井がTOPを手中に収められず。3連続完登を決めた石松に2完登差をつけられ、藤井の4連覇の夢はここで潰えてしまった。

 迎えた最終課題。スタートから斜め上に駆け上がった先のゾーン取りが難関となり、一番手の土肥は9トライ目にゾーンを捉えたのがやっと。続く村井、杉本は攻略の糸口を掴めず、ここを登れば優勝の石松も休む暇なくトライを重ねたが連続完登はここでストップとなった。見事な追い上げで、完登さえすれば優勝というチャンスが巡ってきたのが最終競技者の楢崎。ドラマチックな逆転優勝に期待が高まるなか、楢崎は3回目のトライ前にコースを再確認すると得意のゾーン飛ばしでTOPへの足掛かりを掴む。しかし、ゴール獲りのポジションが安定せずに無念のタイムアップ。最後まで会場を沸かせた楢崎と、初の国内王者に輝いた石松に大きな歓声が送られた。初の決勝を戦った18歳の土肥が殊勲の3位に食い込んでいる。

 過去最多を更新する1,679名が駆け付けた2019年のボルダリングジャパンカップ。男女とも最終課題までもつれる戦いが繰り広げられた今シーズンの開幕戦は、熱狂のうちにその幕を閉じた。

昨年はなかなか結果が出ずに苦しんだが、2019年の初戦で一気に頂点へと駆け上がった石松。

優勝のチャンスが巡ってきた楢崎だったが、最終課題を攻略することはできなかった。

初の決勝を殊勲の3位で終えた土肥。

 

<優勝選手コメント>


野中生萌コメント
「やっとと言う感じです。ずっと優勝できなくて悔しい思いをしてきたので、すごく嬉しく思っています。(ランジスタートとなった)第2課題は得意な動きだったので、あそこでしっかりと決めていくっていうのは後半の流れにつながったと思います。今回はすべての課題に対応できたのが勝てた理由だと思います」
石松大晟コメント
「子供の頃からBJCで優勝するのが夢だったので最高に嬉しいです。今までは他の人が登ったらそれを気にして登れないことが多かったので、練習から自分の登りに集中することをずっと意識してきました。今回はその成果が出たと思います。クライミングはやっぱり登ることを楽しむのが一番大事だなと思います」

<決勝>

女子
1位:野中 生萌(21/XFLAG)/3t4z 7 5
2位:野口 啓代(29/TEAM au)/3t3z 7 4
3位:伊藤 ふたば(16/TEAM au)/2t4z 5 9
4位:平野 夏海(16/私立国士舘高等学校)/0t3z 0 6
5位:倉 菜々子(18/私立安城学園高等学校)/0t3z 0 8
6位:中村 真緒(18/青山学院大学)/0t3z 0 15

男子
1位:石松 大晟(22/Base Camp)/3t3z 8 5
2位:楢崎 智亜(22/TEAM au)/2t4z 3 7
3位:土肥 圭太(18/神奈川県立平塚中等教育学校)/2t4z 4 13
4位:村井 隆一(24/千葉県山岳連盟)/2t3z 3 3
5位:杉本 怜(27/マイナビ)/2t3z 8 11
6位:藤井 快(26/TEAM au)/1t3z 1 3

※左から氏名、年齢、所属先、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

CREDITS

取材・文

編集部・篠幸彦 /

写真

大杉和広