「どこの国もゼッタイにイングランドを倒してやる!」と向かってくるアウェーの雰囲気も楽しいもの(笑)。ワールドカップイヤーでも手の内隠しはしないはず。きっとみんな勝ちに行くよ」

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 シックス・ネーションズ開幕を前に、WOWOWは元日本代表の大西将太郎と、シックス・ネーションズの戦いを肌で知る、日本で唯一の選手ジェフ・パーリングによるスペシャル対談を行った。

ジェフ・パーリング、35歳。イングランド代表LO(ロック)として29キャップを持ち、シックス・ネーションズ、2015年ワールドカップ、さらに2013年にはブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズに、2017年には世界選抜にも選ばれた名手であり、2017年からはトップリーグの宗像サニックスブルースで、さらにスーパーラグビーのメルボルン・レベルズでプレー。ホームユニオン、それも最も保守的なカルチャーを持つといわれるイングランドから国外に飛び出した、探究心旺盛で、インテリジェンス溢れるラガーマンである。

まもなく開幕するシックス・ネーションズについて、母国イングランドについて、そして8ヵ月後に迫ったワールドカップ日本大会について、大西将太郎が訊いた。

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大西:ジェフさんに伺います。まず、シックス・ネーションズの魅力とは。

ジェフ:素晴らしい大会だよ。まず、どの試合でも国をあげてのライバル意識が激突する。特に、私の国、イングランドに対してはどの国も、絶対に倒してやろうと向かってくる。本当にすごい大会だ。
会場も素晴らしい。パリやカーディフ、ダブリン、ローマなど華やかな都のスタジアムでプレーするのは最高だし、スタジアムも素晴らしい。

大西:シックス・ネーションズはどの会場の、どの試合も常に満員ですよね。何か思い出に残っている出来事はありますか。

ジェフ:そうだね、よく覚えているのは初めてカーディフに行ってウェールズと戦ったときだ。ミレニアム・スタジアムの屋根は閉まっていて、ファンの歌声がガンガン反響して、スタジアムはイングランドへの敵意で満ちていた。その中で私たちはボロ負けしたんだ(笑)。 ウェールズのファンはイングランドの負けを熱望していた。サッカーみたいな雰囲気だった。それは多分、イングランド対ウェールズだからだったと思う。それも含めて、ライバル国で試合するのは素晴らしい体験だった。

大西:僕も2007年ワールドカップの時、あの場所でウェールズ戦を経験しました。

ジェフ:屋根は閉まってた?

大西:はい、閉まっていました。凄い歓声でした。

ジェフ:そうだろ(笑)。あのスタジアムは町の中心にあるから、 みんな試合の直前まで周りのパブでビールを飲んでいて、そのままスタジアムに来る。だからよけい盛り上がるんだ。最高のスタジアムだ。

大西:僕もそう思います。では今年のシックス・ネーションズに向けて、各国の印象を伺います。まず、イングランドが初戦で戦うアイルランドから。

ジェフ:アイルランドは今、とても強いよ。まず、イングランドと違って、選手が試合するペースをコントロールできている。彼らはシーズン中、国内リーグの試合がイングランドの選手の半分以下なんだ。だから 代表の試合に集中しやすい。いいコンディションで試合に臨めるんだ。もともとアイルランドはいい選手が多いし、ヘッドコーチのジョー・シュミットもいいし、代表戦に備えていい準備をしている。2019年の日本でのワールドカップでもすごく面白い存在になるだろうね。

大西:ワールドカップで日本はそのアイルランド、スコットランドと同組になります。スコットランドにはどんな印象を持っていますか?

ジェフ:スコットランドはここ数年、チームがすごく改善されて、プレーが良くなっている。ただ、それがまだ安定していない。ホームで戦う日本の方が有利だと思う。

大西:実際にジェフさんが対戦して感じた、スコットランドやアイルランドのチームカルチャーは何かありますか?

ジェフ:そうだね、まず、スコットランドもアイルランドもウェールズも私たちイングランドが大嫌いなんだ。(スコットランドの)マレーフィールドに行った時は私たちの乗ったバスの前を楽隊が行進してて、 会場入りに30分もかかったんだ。きっと会場入りを遅らせ、ウォームアップの時間を減らそうとしたんだと思うな。
チームカルチャー自体は、チームの中にいた訳じゃないから分からないけど、どのチームも選手たちは基本的にいい人たちだよ。もちろん、皆イングランドには勝ちたいと思っているけどね。


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大西:ウェールズは今、世界ランク3位です。

ジェフ:ウェールズもいいチームだ。秋のテストマッチでは4戦中 3勝してる。前回のワールドカップでは思ったほど活躍できなかったが、ウェールズを過小評価すべきじゃない。大型チームだし、個々に素晴らしい能力を持った選手が多い。ただ彼らは過小評価された方がやりやすいだろう。

大西:2015年ワールドカップではジェフさんのいたイングランドは予選プールでウェールズと対戦しましたね。

ジェフ:ひどい試合だったよ。我々は12点リードしていて 残り時間が20分だった。でも 負傷者も多く出て、最終的には負けてしまった。彼らは粘り強かった。自国開催のワールドカップだったし、皆の期待も大きかったから、もっといい試合をしたかったけどね。勝ち試合だっただけに、あれは忘れられない試合だ。

大西:フランスについての印象はいかがですか?

ジェフ:フランスは予測不能だ。すごく強いか、すごく弱いか。この前も、フィジーに負けたばかりだ。別にフィジーが弱いわけじゃなく、彼らも強い時があるけれど、それ以上にフランスには波があるんだ。すごいトライをして勝ったかと思えば、次の試合じゃ 全然だめだったりする。

大西:まさに、それがフレンチ・スタイル(笑)

ジェフ:その通り。それがフレンチ・スタイルだ。つまり予測不能なんだ。

大西:イタリアについてはどのように見ていますか?

ジェフ:イタリアはここ数年、元アイルランド代表のコナー・オシェイがヘッドコーチになって少しずつ強くなっているが…ワールドカップで衝撃を与えるほどではないね。でも、彼らの成長はシックス・ネーションズにとって重要な要素だ。選手たちは皆、温かいローマに行きたがるし、イタリアの選手は情熱的だ。ただ、全部の試合で実力を出し切れていない。スクラムにしても、いい時も悪い時もある。

大西:では、ジェフさんの母国であるイングランドについては?

ジェフ:活躍を期待しているよ。前回のワールドカップでは期待に応えられなかったけど、イングランドにはいい選手がいるし、日本に詳しいコーチもいる。ワールドカップでは多くの選手が前回大会の屈辱を胸に戦うだろうし、決勝トーナメントに進出して活躍するだろう。

大西:2019年、いよいよ日本でワールドカップが開催されますが、どんな大会になると予想しますか?

ジェフ:どんなワールドカップになるかって?日本のファンは最高のラグビーを見られるし、全く違う文化も体験できるから、素晴らしい経験だ。大勢の人が母国の応援に来るから、多くのバーはビールの在庫を増やしてるって聞いてるよ(笑)。お互いにとって素晴らしい経験になる。チケットも売れるだろうし素晴らしいワールドカップになるさ。

大西:ワールドカップの年のシックス・ネーションズは普段のシックス・ネーションズと違うのでしょうか。2015年はどうでしたか?

ジェフ:シックス・ネーションズは常に重要だが、ワールドカップイヤーのシックス・ネーションズはより重要だ。ワールドカップ前にトロフィーを獲得すれば、ワールドカップで自信を持って戦える。シックス・ネーションズで何試合か負ければ、コーチも選手も「プランを変えなきゃダメかな?」と思う。だから、自信を持つ意味で重要さがより増す大会になる。

大西:半年後にワールドカップがあることを考えると、手の内を隠したいところかな?という気もしますが、それよりも、勝って自信をつけることの方が大事なのでしょうか?

ジェフ:その通り。勝つためのプレーをして、勝って自信をつけること。それがすべてだね。

 ジェフ・パーリング×大西将太郎の特別対談Part Iは、YouTubeのWOWOW公式チャンネルで公開中!Part II(イングランドの印象)、Part III(見どころ、優勝予想)も後日公開予定!

■ジェフ・パーリング×大西将太郎 対談 Part.1 <各国の印象>

ジェフ・パーリング Geoff PARLING

1983年10月28日、イングランド生まれ。35歳。198cm、116kg
12歳のときストックトン・クラブでラグビーを始める。
ニューカッスル大を経てイングランド・プレミアシップのニューカッスル・ファルコンズ、レスター・タイガース、エクセター・チーフスでプレー。
2012年、28歳でイングランド代表に初選出され、シックス・ネーションズのスコットランド戦でテストマッチデビュー。2015年までの4シーズン、ロックとして29キャップを得る。2015年ワールドカップでは予選プール4試合すべてに先発出場した。他に2013年、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのオーストラリア遠征メンバーに選ばれ3試合に出場。
2017年、トップリーグの宗像サニックスブルースに加入。同年10月には福岡で行われた世界選抜-日本代表XV戦に世界選抜で出場。2018年、スーパーラグビーのレベルズでプレー。

[文/構成:ココカラネクスト編集部、取材協力:WOWOW]

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
★「生中継!ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」
130年以上の歴史と伝統を誇る「シックス・ネーションズ」。ヨーロッパのラグビー強豪6カ国が参加して行なわれる大会の模様を全15試合生中継でお届けする!
【放送日】2/2(土)~3/16(土)※開幕戦無料放送

(第1節)
フランスvsウェールズ 2/2(土)午前4:45~[WOWOWライブ]※無料放送
スコットランドvsイタリア 2/2(土)夜11:00~[WOWOWライブ]
アイルランドvsイングランド 2/2(土)深夜1:30~[WOWOWライブ]

(第2節)
スコットランドvsアイルランド 2/9(土)夜11:00~[WOWOWライブ]
イタリアvsウェールズ 2/9(土)深夜1:30~[WOWOWライブ]
イングランドvsフランス 2/10(日)夜11:50~[WOWOWプライム]

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