昨年の秋、9季ぶりに東京六大学リーグを制覇した準硬式野球部。更なる飛躍を目指し11月に始動した新体制は、夢の全日本大学選手権(全日)制覇に向け日夜鍛錬を重ねている。その中心となっているのは、吉田龍平主将(スポ3=東京・小山台)、前田直輝副…


 昨年の秋、9季ぶりに東京六大学リーグを制覇した準硬式野球部。更なる飛躍を目指し11月に始動した新体制は、夢の全日本大学選手権(全日)制覇に向け日夜鍛錬を重ねている。その中心となっているのは、吉田龍平主将(スポ3=東京・小山台)、前田直輝副将(スポ3=熊本)、山口永路副将(社3=早稲田佐賀)の三人だ。今回はこの三人に、一年間の反省や新チームの目標について伺った。

※この取材は12月1日に行われたものです。

「いい感じにスタートできた」(山口)


赤ちゃんと長風呂が好きな山口副将

――新体制が始動して約1カ月ですが、現在チームはどのような雰囲気でしょうか

吉田 まずチームとして徹底するということを大切にしようと思っています。道具の整理であったり、キャッチボールにバットを持って行く際にはそろえて置くといったような、細かいところからしっかりしようと思っています。今までは監督さん(池田訓久監督、昭60教卒=静岡・浜松商)に注意されることが多かったので、まずは自分たち幹部(主将と副将のこと)がそれを発信していって皆の意識を変えていけたらと思っています。最近は徐々にその成果が表れているので、これを一年間継続してできたらいいなと思っています。

前田 幹部三人が決まるときに自分の家に集まって話し合い、全日出場と、それだけではなくて野球以外の面でもしっかりしたチームを作るということを目標として掲げました。そのための取り組みはスタートの時点からできているかなと思います。

山口 偉大な4年生が抜けてしまって、スタート当初は不安な部分が大きかったです。実際に練習してみると最初はやはりグダグダというか、道具をそろえることなど、できていない部分が目立っていました。ですが一度こちらから催促するとすぐ次の日にはできるようになるという状況で、自分たちが思っていた以上にすぐにまとまることができていると思います。1年生なども自分を出してくれていて、雰囲気としてはいい感じにスタートできたのではないかと思います。

――現在は主にどのような練習をされていますか

吉田 基本のキャッチボールの後、内野と外野に分かれてノックをして、内外野の連携プレーの練習をしてから打撃練習をしています。また、新たに走塁の練習を取り入れました。

――投手陣で何かやっていることはありますか

前田 投手は4年生が2人抜けただけであまり変化がないのですが、これまで出ていたメンバー以外にも試合で投げられると思う投手は結構います。自分や投手リーダーの杉山(周平、教3=神奈川・山手学院)や久郷(太雅、創理3=静岡・沼津東)だけでは目が届かないところも目を届かせるために、3年生を中心とした縦割りの班を作って、そこでアドバイスをし合ったりトレーニングをどうするかなどを話し合いながらやっています。トレーナーの板崎(悠馬、スポ3=愛知・海陽中教校)も、『いつまでにこの能力を上げていく』というのを明確にしたトレーニングを出してくれているので、それに自分たちは取り組むだけ、という感じでやっています。

――2018年を振り返って、まず3月の関東地区大学選手権(関東大会)では3位という結果でした。振り返っていかがですか

吉田 前の代は新チームが始まってからすごく打つ代で、本当に頼れる4年生ばかりでした。その流れのまま関東大会に入れたと思います。(準々決勝の)日大戦くらいから厳しい試合が多かったのですが、その中で投手がよく粘ってくれましたし、少ないチャンスで点を取れたので、それが3位という結果につながったと思います。

前田 投手は初戦から最後の中大戦まで皆が自分の出せる力を出したのですが、(全日出場を懸けた)東洋大戦で自分が全く自分の投球ができずというか、思うような結果が残せませんでした。あの試合は自分のせいで負けたと思っています。あのような悔しい思いを二度としないようにと思い、自分の練習や生活を見直すいいきっかけになったと思います。

山口 自分が見ている中ではトーナメントで勝ち抜く雰囲気が結構ありました。負けるイメージがないというか、トーナメントで勝つときってそういう雰囲気があると思うのですが、その状態に近かったです。スタンドも一体となって応援していて、出ている選手も皆、自分の力、一人一人の個性を発揮できていたので、見ている側としては本当に優勝できるのではないかと思うような勢いがありました。ですが、それだけやっても結果3位ということで、(3位決定戦で)中大には勝ったのですが、優勝できなくて全日に行くことはできませんでした。なので、あれ以上の雰囲気で練習をやらないと全日には行けないのだなと思う大会でした。

――次に東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)を振り返っていかがですか

前田 春は正直全然覚えていないですね。

吉田 春は、関東大会で優勝できなかったとはいえ3位と結果を残せたので勢いとしてはすごく良かったのではないかと思います。ですが、なかなかそれが(春季リーグ戦での)結果につながりませんでした。最初の立大戦で連敗してからズルズルいってしまって、自分たちの野球ができずに終わってしまったなという印象です。

山口 トーナメントは勢いが重要だと思うのですが、リーグ戦は長いシーズンを戦っていくので、結局勢いだけでは駄目だなと思いました。リーグ戦を勝ち抜くためにはもっと練習を積まなければならないなと感じました。

――8月の清瀬杯全日本大学選抜大会(清瀬杯)では春季リーグ戦の開幕戦で連敗した立大を破って優勝しました。この成長の要因は何でしょうか

前田 徹底的に相手を分析するようになったと思います。関東大会で3位になってそのままの勢いでリーグ戦に行って結果が出なかったので。一から偵察の人が頑張ってくれたりとか、試合の動画を何度も見て相手打者の傾向をつかんだりとか、そういうことに費やす時間が増えたと思います。

吉田 まず清瀬杯という目標があったのが大きかったです。夏の間、『まずは清瀬杯で優勝しよう』というモチベーションの中でチームが動けていたので、そういったモチベーションの中で練習できていたのが良かったと思います。また、今前田が言った通り偵察を皆がしっかりやってくれて、自分は捕手だったのでそれを活用させてもらうことが多かったです。自分が見た印象を投手に伝えることもしましたし、中村さん(大輔、商4=東京・早大学院)や諏訪さん(健太、スポ4=東京・小山台)が中心になってそういったことをやってくれていたので、意見を交換したりだとか、すごくいいコミュニケーションが取れていたのが大きかったと思います。

山口 清瀬杯は初戦が近大で、結構手ごわかったです。応援していく中でも一試合一試合雰囲気が上がっていって。一人一人が、チームが勝つために自分が何をしたらいいのかを自覚できていたと思います。特に4年生は皆個が強くて、一人一人が役割を自覚しているなと思っていました。試合に出ている選手の中にも、守備で出る選手、代打で出る選手、代走で出る選手などと一人一人に役割があって。ベンチに入っていない選手でも分析を藤ノ木さん(祐真、スポ4=千葉・市川)とかがやってくれたり、そういう一人一人の役割が清瀬杯ぐらいからはっきりしてきたのが勝てた要因なのではないかなと思います。

――秋季リーグ戦では9季ぶりの優勝、そして関東地区大学・社会人王座決定戦(王座)ではベスト4という結果でした。この秋を振り返っていかがですか

吉田 今永路が言ったように、それぞれの役割がすごくはっきりしていたというのは感じています。守備の将太さん(水野将太、スポ4=愛知・小牧南)や走塁の阪下さん(駿、人4=東京・成城)であったり、そういった人たちの役割が明確で、一人一人やることがありました。それにプラスしてその人たちがしっかり自分の役割を果たせたというのが大きかったと思います。偵察の面では、自分も少しやったのですが、清瀬杯から引き続いて中村大輔さんや諏訪さんがいつもビデオを見て研究してくださったのが捕手としては大きかったと思います。

――ご自身として秋季リーグ戦を振り返っていかがですか

吉田 自身では打撃を大きく課題に挙げていて、中村大輔さんに打撃の指導をしてもらっていました。打率を3割に乗せるのが目標だったのですが、自分の打撃ができた場面もあったのですが結果的には3割に乗らなくて、打撃の面でまだまだ足りないなと思うようなシーズンでした。

――お二人はこの秋を振り返っていかがですか

前田 春のリーグ戦が終わってからここまでがあっという間すぎて。毎日練習と相手の分析をしていたらすぐまた次の試合が来て、という感じで、本当に野球のことしか考えていない時期という感じがしましたね。それに伴って自分も結果が残せました。それは良かったのですが、まだ先発ができていないので。自分は前の代が始まってから先発をやりたくてアピールしていました。中継ぎとして、厳しい場面で投げるという役割を与えていただいたのですが、そもそも自分に完投能力があれば自分が先発して9回投げればいい話なので。そこで先発させてもらえないということは、完投能力はないが6回くらいならいけるだろうという風に思われているのだと自分を捉えています。なので、先発するためにどのような練習をすればいいかとか、ビデオを見て確認したりしてきました。それが今にも生きていると思います。

山口 秋は4年生の力が一番大きいと思っています。自分も秋は最後になるにつれていろいろな4年生と仲良くさせてもらって、一緒に練習していく中で4年生の『最後までやり切ろう』という雰囲気が伝わってきました。自分たち3年生以下は4年生に負けないくらいの執念や、練習に対する自覚とかを持ってやろうというのを自分は感じ取っていました。『4年生と最後に勝とう』みたいな雰囲気を持ってやっていたかなと思います。

――4年生が引退される際に何か言葉を掛けられましたか

山口 将太さんから、「来年(19年)の全日は俺の地元の愛知(開催)だから、俺にお前らのかっこいい姿見せてくれよ」と言われましたね。

「主将は龍平しかいない」(前田)


マウンドでは熱く、プライベートではももクロが好きな前田副将

――主将と副将はどのようにして決められたのでしょうか

吉田 主将は全員で。

前田 学年全員で話し合った際に龍平(吉田)という声が出て、副将はどうするってなった時に、龍平がやりやすいというか、なんというか・・・。

吉田 自分がやりやすい人を選べ、という形になって、1週間くらい悩みました。結構この二人は自分の中では固まっていて、それでも他の可能性もあると思って探していたのですが、やはりこの二人がいいなということで二人に自分の意思を伝えて、二人も監督さんと話して決定したという形です。

前田 そう説明すると仲良しこよしでやってるみたいにならない?

山口 もっと何か無いの?(笑)。

――副将を決める上でお二人のどういったところが決め手になったのでしょうか

吉田 前田はリーグ戦を経験していたことと、関東大会での悔しさから練習への取り組み方が変わったというのを感じていて。周りも気づいていたと思いますし、その姿勢と、周りにしっかり自分の意見を言えるというのが自分の中では大きくて。自分がしっかりやっているからこそ周りにも言えるという強さが前田にはあるかなと思ったので選びました。山口永路は、最初に学年で話した際にBチームのこともしっかり考えていこうという話になって。夏の最後の方はBチームの主将を山口永路が務めていて、すごくBの人の気持ちが分かるというのが大きな要因です。それにプラスして、練習でも誰よりも大きな声を出していますし、山口も人にしっかりとものを言えるというか。そういった強い意思を持っている熱い男なので。そういった二人を選びました。

――吉田主将はお二人から見てどういった方ですか

前田 龍平は、何だろう、なんか…。

吉田 いや無いの?(笑)。

山口 龍平は、まず学年の誰もが認める人格者です。一番の彼の魅力は人間性だと思います。性格的にはまさに捕手というか女房役といった感じで、相手の気持ちを一番に考えられる人かなと思います。日頃はこんなヘラヘラニヤニヤしているのですが、グラウンドに立ったらリーダーシップを発揮してくれるし、周りが見えているので、自分たちの代では主将は龍平しかいないなって感じです。

吉田 ありがとうございます(笑)。

前田 その通りです。

山口 ちょっとたまに可愛い子ぶったり(笑)。

吉田 せんわ(笑)。

山口 赤ちゃんの真似をしたりするので(笑)。

一同 (笑)。

山口 そのギャップですかね。ギャップがいいなと思います。

前田 野球に対してはすごく真面目というか、オン、オフの切り替えとかメリハリをつけるのがうまいなと思います。

――前田投手はお二人から見てどういった方ですか

山口 前田君とは地元が九州で一緒で、入学する前から顔も知らない状態でLINEをしていて。自分の高校の同期がつながってるみたいな。熊本つながりで。というのもあって入学する前から連絡を取っていて。1年と2年の頃はずっと同じ寮で生活していて、ご飯やお風呂などずっと一緒に生活してきて。その時も結構お風呂に一緒に入ってずっと熱い話というか、例えばリーグ戦負けた日とかはその試合の反省ではないけれど、チームがこうなればいいなというのを話していたら気づいたら夜中の2時になっているとかっていうのが日常で。今考えてみると二人ともこうやって副将になっているというのは想像がつかないのですが、よくよく考えてみればその頃からチームかどうあるべきかというのは一緒に寮生活をしてきて話していたかなと思います。

吉田 ミーハーで、すぐいろいろなものに手を出すみたいなのがあって。

前田 ミーハーじゃないし。いろいろじゃないし。

山口 例えば、グラブを買って来た時に「何でそれにしたん?」と聞いたら、「これプロ野球選手の誰々と同じウェブ(親指と人差し指の間にある網の部分)やぞ」みたいな。理由がミーハーというか、プロ野球選手が使っているからかっこいい、みたいなミーハー気質が所々に出ている感じですかね。

前田 違いますそれは。自分はグラブか大好きで、他の人が違う物に使っているお金をグラブにかけていて。結構批判が多いんですよ。派手めなやつが好きなので批判が来るので、その返しで一番強力なのが「うまい人が使ってる。うまくなれるやん」なんですよね。

山口 それがミーハーですね。ザ・ミーハー。

前田 深いところまでちゃんと考えています。

山口 あとはひたすらに『メジャー』の茂野五郎に憧れを持っていて、『主人公ヅラ』しています。

前田 熱い男が好きなので。五郎になりたいなって小1くらい、メジャーを見た瞬間から思っています。

山口 何これ。意味がわからん。(笑)

――山口さんはどんな方ですか

前田 さっきのお風呂の話なのですが、自分も永路(山口)もぬるめのお湯が好きで。熱いお湯には入れないです。寮って皆が一つのお風呂に入るじゃないですか。僕らは長風呂が好きなので、入って水をたくさん入れて。米式蹴球部とかア式蹴球部とかは熱いお湯に漬かっているので、その人たちがいなくなった瞬間に水を入れてぬるくして10時くらいから入っていました。喋りがヒートアップしていると気づいたら水が冷たくなっていて、「2時?寒!上がろう」とかは日常茶飯事でした。

山口 手がしわしわになっていたもんな。

前田 あの時間寝ておけばよかったなというのはありますけど、そこで話している頃から自分は永路が幹部に関わるだろうなっていうのは思っていました。自分の考えをしっかり持っているし、それを周りにも伝えて巻き込んでいける人間だと思います。高校時代の話とかを聞くとなんでこいつが主将じゃないんだろうと思ったりしていました。いい時間だったなと思います。

吉田 グラウンドでは結構厳しいほうだと思うのですが、グラウンドを一歩出ると自分のイメージではただの赤ちゃん好きなんですよね。

山口 言うなよ(笑)。

吉田 Instagramでも可愛い赤ちゃんを載せている人をフォローしていたり、Twitterとかでも赤ちゃんの可愛い画像とかが流れてくるんですよ。こいつがリツイートしているので。自分のこと可愛い子ぶってるとか言ってましたけど、彼も可愛い子ぶってますね。自分の中ではただの赤ちゃん好きっていうイメージがあります。

山口 もっとかっこいいやつ言えよ(笑)。

――3年生はどういった学年でしょうか

前田 個性が強い集団と自分が無く周りに流されてしまう集団の両極端だと思っています。それがいい方に向くこともあるし悪い方に向くこともあるんじゃないかなと思っています。

山口 だからこそ自分たち三人のやるべきことがあると思いますし、自分たちからそういう人間をリードすることができればチームが一つの方向に向いて力を発揮することができるのではないかと思います。

吉田 確かに前田が言ったことはそうなのかなと思うのですが、自分から見て、最上級生になってからみんな意識が変わったかなと思います。投手のように野手にも縦割り班があるのですが、そこでいろいろと活動をしていく中で皆意外と先頭に立っていろいろやってくれていますし、練習の態度も変わったなと思う選手がすごく多くいるので、そういった面では最上級生の自覚というのはみんな芽生えてきているので、それをこれから強くしていけたらいいなと思います。

――1年生はどういった印象ですか

山口 真面目な選手が結構います。1年生はまだ試合に出られなくて下積みの時期というイメージがあるのですが、その中でも道具の準備や片付けなど1年生の仕事をきっちりやってくれているなという印象です。自分たちがうるさく言わなくてもちゃんとできるかなという印象ですね。

前田 野球の面では結構期待できる選手がいて、自分が気にしているのは1年生が伸び伸びと野球ができる環境を作るというか、頑張ろうとしている選手を自分たちが支えるというか、やりたいことができるような環境を作れば学年関係なくですけど活躍してくれるかなと思うので。自分の時間を割いてというか、グラウンドに残って自主練をするとか、早く来て練習や準備をする姿が見られるのでいい1年生だなと思っています。

吉田 自分の中でも真面目な子が多いという印象が強いのですが、まだまだ練習で自分を前面に出せていないのかなというのが強くあって、前田と似ているのですがやはり1年生が自分を出せる環境を作りたいというのがあります。さっきの縦割り班は8チームくらいあるのですが、その中で上級生とのコミュニケーションを取りやすいようにそういった班を作ったり、練習のノックとかでも先輩がいるからって引いてしまうのではなくて、自分を出していけるような雰囲気は最上級生の僕らが作っていかなければいけないと思っています。真面目にやってくれていると思うので今足りないのはそのあたりで、自分たちもそこはサポートしていきたいなと思います

――2年生はいかがですか

前田 2年生は宮崎翔(商2=埼玉・早大本庄)が学年リーダーとして、自分たちも見習わないといけないくらいすごい勢いで学年を引っ張っているので、2年生には翔についていって頑張ってほしいと思いますし、翔の思いに応えるためにも自分たちがしっかりサポートしてまとめていく必要があると思います。

山口 自分たち3年生に試合経験の少ない人が多い中で2年生は結構試合経験がある選手が多いので、新チームには2年生の力は絶対に必要ですし、2年生がどれだけ頑張ってくれるかが重要になってくると思います。2年生は自分たちの1つ下ということで今まで自分たちを見て成長してきたという部分があるので、だからこそ3年生がまずは背中で見せなければならないな、しっかりしなければならないなというのは3年生の中で話しています。なので、まずは自分たち3年生が2年生を巻き込んでいい方向にもっていってやるってことが必要なんじゃないかなと思います。

吉田 2年生はいい意味でも悪い意味でも癖が強くて。

前田 なめてる奴が多いって言えよ(笑)。

吉田 確かに(笑)。悪く言えばなめてるですけど良く言えば先輩との距離がすごく近い子たちだなという印象があります。絶対に今の2年生の力は永路が言ったように必要になってくると思うので、それをいい方向に持っていけたらいいなと思います。

――チーム内で「こいつは今後活躍するだろうな」という推しの選手を教えてください

吉田 僕は1年生の天本(翔三、文1=佐賀西)をすごく推していて、練習の取り組みの姿勢もすごくいいですし、打撃がとても魅力的だなと思います。自分はフリー打撃の練習等で捕手に入るのですが、すごく強いスイングができているなと思っているので頑張ってほしいなと思います。このままの姿勢でやってくれれば絶対にいい選手になるんじゃないかなと自分は思っています。

前田 自分の班のメンバーはとても大事にしていて、その中で福川千明(スポ2=兵庫・白陵)は既にリーグ戦で投げているのでさらに頑張ってほしいのですが、まだたぶん皆さんが知らなくて自分が「こいつ来るな」と思っているのが石田佳輝(スポ2=千葉西)っていう2年生です。

山口 あいつ佳輝っていうんだ(笑)。

前田 自分と投球スタイルが似ているというか、自分が持っているものを伝えて、石田からも投球術などを吸収して互いに高め合っていければと思っています。自分も2年生の頃からリーグ戦で投げさせてもらっているので、これから来るかなと期待しています。

山口 自分は同じ3年生で、期待も込めて村上渉選手(スポ3=東京・豊多摩)を推したいと思います。村上君は身体能力がとても高くて、ここまではメンバーに入ったことはないのですが、足も速いし守備もできるし、打撃は少しメジャーかぶれなところもあるのですが、最上級生になって自覚をもって練習しているなというのもあります。うちの外野は打撃に偏りがちなので、そういった面でも前の代の水野将太さんみたいに守備走塁の部分で村上渉選手を自分は推していきたいなと思います。

前田 皆頑張ってほしいです。

吉田 皆頑張ってほしいですもちろん。

前田 その中で皆さんが知らないだろうなって選手を選びました。

「皆で笑って胴上げができるように」(吉田)


1年時から主力として活躍し、今や押しも押されもせぬ早大の顔となった吉田主将(中央)

――新チームをここからどういうチームにしていきたいですか

吉田 何よりまず結果として全日優勝というのを掲げていて、その中でチームを良くしていきたいというのがまずはあります。そして、先ほどの話にもあったのですが、プレーだけではなくて、ノックを打ってくれる人であったりとか、偵察をしてくれている人であったりとか、応援してくれる人であったりとか、練習をサポートしてくれる人であったりとかみんなに役割があると思っています。これは自分の勝手なビジョンなのですが、最後優勝するときに胴上げをすると思うのですが、それをみんなで笑ってすることが自分の理想像です。

山口 前提としてまず全日に出るということが前提です。今まで自分たちが入ってから一度も全日に出たことが無いので、全日には絶対に出る。そのために何をするかということで、監督さんがプレー以外の面をすごく大事にする方なので、全日に出るためには野球以外の部分も含めて日本一の集団になるというのが目標ですね。みんなの前でもよく言うのですが、人数が多いので全員が一つの方向を向くというのはとても難しいことだと思うのですが、逆に言えばこれだけの人数が一つの方向を向けと絶対に大きな力が生まれると思います。そのためにはまずこの三人がしっかり1年生から3年生まで一人一人が一つの方向を向けるような環境づくりというのを自分たちからやっていきたいと思います。

前田 自分の言いたいことは二人に言われてしまったのですが、12月10日からグラウンドの芝の改修工事があって、約2カ月間グラウンドを使えない期間があります。今その日程を組むのにバタバタしているのですが、これをいいきっかけとして、他大に比べて圧倒的な施設、設備が整っている素晴らしい環境で野球ができることに感謝するということを大事にしたいと思います。それと、やはり学生野球なので、自分の力だけでは野球ができないということを噛みしめて、家族であったりとか今まで自分に関わってくれた人たちへの感謝を表す。自分の中学校時代のコーチからずっと「感謝をプレーで表せ」ということを言われているので、これを機にそれを全員が意識してほしいなと思います。全日で優勝して準硬式野球部に関わる人全員で喜べるような、応援されるようなチームを作っていきたいなと思います。

――最後に19年の抱負をお願いします

吉田 さっきも言ったのですが、まずはやるからには結果にこだわりたいなと思います。色紙にも書いたのですが、まず最初に関東大会、春のリーグ戦、全日、秋のリーグ戦、王座の全部を制覇できるように、そういった意味で自分は『五冠』と書かせてもらったのですが、それを達成できるように、充実した一年間を過ごせるようにこれから頑張っていきたいと思います。

山口 2019年は学生として野球ができる、泣いても笑っても最後の年です。これまでの野球人生で全国大会に出たことがなくて、あと一歩、アウトあと1つという局面もありましたし、今までの野球人生は悔いしかないので、まずは悔いが残らないようにというのが大きくあります。そして、色紙にも『熱男』と書いたのですが、とにかく熱く情熱的に、使える頭と使える体は全て使って全力でできる限りのことをやっていきたいと思います。

前田 チームとして全日優勝というのは二人が語ってくれたので、自分からは投手全体として防御率2点台を目指したいです。野球は投手の出来が試合の勝敗に大きく影響するので、投手は3点以内に抑えるというのが勝つための基本だと思います。なので、全体で2点台。その中で自分であったり、久郷、杉山、江藤(健太、教3=早稲田佐賀)であったり、そういったリーグ戦の経験のある選手が引っ張って行かなければいけないと思うので、その選手が防御率1点台と具体的に数字を出すことですね。野手はきっと3点は取ってくれると思うので。

吉田 取ったるわ。もっと取ったる。

前田 オープン戦含めどの試合も負けることの無いように。負けるのが本当に嫌いなので、勝ちにはこだわっていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 池田有輝)


勝てるワセダから負けないワセダへ

◆前田直輝(まえだ・なおき)(※写真左)

1998年(平10)3月25日生まれ。168センチ、70キロ。A型。熊本高出身。スポーツ科学部3年。右投右打。投手。感情を前面に出した強気の投球が売りの前田投手。感情的なのはマウンド上だけではありません。私生活でドラマや映画を見ると感情移入してすぐに涙を流してしまうそうです。「全日本選手権では喜びの涙を流したい」と語ってくれました!

◆吉田龍平(よしだ・りゅうへい)(※写真中央)

1997(平9)年5月6日生まれ。173センチ、77キロ。A型。東京・小山台高出身。スポーツ科学部3年。右投右打。捕手。昨秋引退した諏訪選手は高校からの先輩で、準硬式野球部に入ったのも諏訪選手の存在が大きな要因になったそうです。「自分の中で特別な先輩です」と語ってくれました。また、諏訪選手が昨年の対談で色紙に『二冠』と書いていたため、リスペクトを込めて色紙に『五冠』と書いたそうです。先輩が果たせなかった全日制覇を果たしてほしいですね!

◆山口永路(やまぐち・えいじ)(※写真右)

1997年(平9)6月21日生まれ。170センチ、68キロ。AB型。早稲田佐賀高出身。社会科学部3年。左投左打。内野手。山口選手の部屋には週に5回ほど水野選手が泊まりに来て、一緒に『ヅラ話』をするそうです。『ヅラ話』とは、人生の主人公は自分だ、という『主人公ヅラ』をしながら人生の理想についてひたすら語り合うことだそう。野球人生においても自分の理想像に近づいていってほしいですね!