2015年の秋季以来、7季ぶりの優勝を目指す早稲田大学野球部。元号も変わる新たな時代に早稲田の新たな時代を築くべく、小宮山悟新監督が本日2019年1月1日付けで正式に就任。野球界随一の理論派で知られる小宮山新監督がどのようなチームを作り上げ…

2015年の秋季以来、7季ぶりの優勝を目指す早稲田大学野球部。
元号も変わる新たな時代に早稲田の新たな時代を築くべく、小宮山悟新監督が本日2019年1月1日付けで正式に就任。野球界随一の理論派で知られる小宮山新監督がどのようなチームを作り上げるか非常に楽しみだ。BIG6.TVではチーム作りや来季の目標、早慶戦への思いなどを聞いた。

「優勝が無くなってからの勝ち点は非常に価値がある」

昨年9月6日に行われた就任会見の2日後に秋季リーグ戦が開幕。早大は序盤でつまずいたものの、最終的には2位でリーグ戦を終えた。秋の戦いぶりは、小宮山新監督にどう映っていたのか。

「よく巻き返したなと思います。最後の早慶戦で、慶應の3連覇を拒んだという事で言えば、卒業する4年生は歴史に名を残せたと思います。初戦を落として優勝がなくなったにも拘らず、“塾(慶應義塾大学)には負けられない”という思いがあっての勝ち点なのでかなり価値があると思っています。周りにいる諸先輩方からも『今年の秋の早慶戦は久しぶりに感動した』というセリフを色々な所から聞きました。野球部OB以外でも早稲田の関係者から『いい早慶戦だった』と言ってもらえる戦いだったので、そういう戦い方ができる事を選手も自信をもってこれから先、世の中に出ていけますし、よく頑張ったと思っています。」

「“厳しさを前面に押し出して”妥協せずにとことんやる」

18年秋季リーグ戦も終わり、最上級生が引退。そして、19年に向けて昨年11月11日に新チームが始動した。正式就任までの約2ヶ月、特別コーチとして小宮山新監督はどう選手達を指導したのか。

「まだ、指導という指導はしていません。今は、選手達を観察しています。野球に取り組む姿勢も含めて、どの程度の熱量なのかを計っている所です。実際にまだ選手の状況を把握できているわけではないので、出来るだけ時間をかけずに彼らの考え方を把握して、どうすることが一番いいのか、アプローチしていきたいと思っています。基本的には“厳しさを前面に押し出して”妥協せずにとことんやりたいと思っています。」

選手達を観察している段階を経て、1月1日の正式就任後から新生・早稲田をどのようなチームに作り上げていくのか。また、春に向けての目標は。

「色に染めます。名だたるOBの思いを背負って彼らと一緒に過ごそうと思っています。個人的にはアメリカから戻ってきて1年、評論家活動をしているときに母校・早稲田大学の野球部で練習をしていた時期がありました。その時期に野村徹さんが監督をされていて、あの野村徹さんの野球というのが私が今まで早稲田大学の野球部を見てきた中で、ベストだと思っています。あの雰囲気の中で野球をするというのは学生野球の正しい姿だと思っているので、そこにもう一度、早稲田の野球部を変えることができたらと思います。9月の就任会見の時にも言いましたが、試合の時に監督が何もせずに試合を行って勝つというのが一番いい形だと思います。なので、普段の練習から徹底的な教育をして、基本を叩き込んだ上で応用がきく選手を育てることが究極の目標です。早稲田大学の野球部としては飛田穂州先生の“一球入魂”というお言葉が全てだと思っているので、そこを前面に押し出していきます。」

「早慶戦に対する温度差があってはいけない」

116年という歴史と数々の名勝負を生み出してきた“伝統の一戦”。小宮山監督にとってこの早慶戦とはどのようなものなのか。

「高校生の時に早慶戦をみて、早稲田への進学の気持ちが決まりました。(早慶戦は)特別なモノという位置づけです。ただ、今時の学生がそれをどう感じているのかという部分もあるし、何が何でも負けられないという位置づけにあるはずなのに、どうも今ひとつピントがずれているというような事も感じていました。たまたまOB会の副会長を仰せつかって、そこで野球部の伝統と歴史を継承するためにいろんなプロジェクトをすることになりました。そのプロジェクトリーダーにも任命されて学生達にいろんな事を実施した中で、何年か前に映画で「ラストゲーム」という終戦前の最後の早慶戦をテーマにした映画を実は学生達に見せました。人それぞれ感じ方はあるとは思うのですが、それを見て早稲田でよかった、慶應でよかったという思いを強くもってもらいたいという事で実施しました。長い歴史を考えれば早慶両校の学生にとってこの早慶戦というものに対する温度差があってはいけないと思っています。常にお互いが日本の大学の対抗戦の中で最もしのぎを削って戦わなければいけないものだという、そういう位置づけに(早慶戦は)あるはずなので、そこは負けずにずっと持ち続けたいとは思っています。」

「早稲田大学野球部の学生らしい姿を神宮球場でお見せする」

最後に、東京六大学野球ファン、早稲田大学野球部ファンに向けてメッセージを頂ければと思います。

「学生時代、色々なことを教えていただいた母校の野球部に戻って、自分が学び得たもの全てを注ぎ込んで、いい形で学生を世に送り出したいと思っています。もちろん勝った負けた、一喜一憂するのは当然だと思いますが学生らしく早稲田大学野球部の学生らしい姿を神宮球場でお見せすることができればと思っていますので叱咤激励、如何様なことも正面から受け止めます。是非、神宮球場に足を運んでいただいてご声援頂ければと思っております。実際にBIG.6TVで中継するにも拘らず、球場に来いというと話が違うだろという事になりますけど、いろんな方が注目してくれるような形になればと思っています。幸いにしてプロ野球出身者という事で、少なからず取り上げられる機会も多いと思いますので、是非注目をして頂ければと。一生懸命頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致します。」

■プロフィール
小宮山悟(こみやま・さとる)1965年9月15日生まれ。千葉県出身。
2浪を経て早大に入学。エースとして活躍し、4年時には主将を務めた。東京六大学野球リーグ戦通算20勝10敗。89年ドラフト1位でロッテオリオンズ(現・千葉ロッテ)に入団、横浜ベイスターズ(現・横浜DeNA)やMLBのニューヨーク・メッツでもプレーした。2019年1月1日付けで第20代早稲田大学野球部の監督に就任した。