NPB各球団が精鋭小学生16名の選手を選抜し優勝を争う『NPB12球団ジュニアトーナメント supported by 日能研』が札幌ドームで決勝トーナメントが行われ、東北楽天ゴールデンイーグルスジュニアが2006年の第2回大会以来2度目の…

 NPB各球団が精鋭小学生16名の選手を選抜し優勝を争う『NPB12球団ジュニアトーナメント supported by 日能研』が札幌ドームで決勝トーナメントが行われ、東北楽天ゴールデンイーグルスジュニアが2006年の第2回大会以来2度目の優勝に輝いた。

 

喜びを爆発させる選手とスタッフ(写真右から井上純コーチ、鉄平コーチ、牧野塁監督)

 

 

 

 準決勝の広島東洋カープジュニア戦で9対2(14安打)、決勝戦の埼玉西武ライオンズジュニア戦で3対1(10安打)と攻守で個々の高い能力が際立つ結果となった。その要因はいくつかある。

 まず選手選考において、セレクションに良い選手が来るのを待つだけでなく、スタッフが各県の大会を視察に行き、埋れた人材の発掘に注力。1番を打つ千葉彪は牧野塁監督の目に留まりセレクションに参加した。100メートルで山形県2位の成績を収め、12秒68で走るほどの俊足を今大会で遺憾なく発揮。また、井上純コーチや鉄平コーチらプロで長く活躍した指導陣から打撃や細かい走塁技術を学び、飛躍的な成長を遂げた。
さらにチーム編成にあたっては「16人をフルで使えるように」と様々なタイプの選手を選出した。レギュラーとして内野守備で好守を何度も見せた村上広樹は135cm30kgと小兵だが、守備と走塁を買われた。幼少期では体の成長の早さが大きく作用してしまうが、たとえ小兵な選手でもスキルが豊かであれば登用する姿勢は、今後の成長を考える上では大きな意義がある。

 

中学年代においても12球団で初となるチーム(東北楽天リトルシニア)を創設し2015年から活動を行うなど、育成年代の事業を積極的に推進している楽天球団

 

 

 

 また、決勝戦で先発し本塁打も放つなど投打で大活躍を遂げた平野遥翔は小学5年時から楽天イーグルスアカデミーに通う。そこで「縦に(振って球を)こすらず、水平に振るように」と指導を受けたり、「失敗しても次、次」と心持ちの助言を受けることで心技ともに成長。牧野監督は「平野はもともと勝負弱いところもあったのですが、大きな自信になったと思います」と目を細め、チームとしての指導方針は「失敗しても次が大事。どんどん失敗して経験値を積んで覚えていってくれればいい」と語った。

 そして、東北6県と新潟県から選考しているため、練習をする際は土曜、日曜と合宿することが多く、他球団よりも共同生活を長くしてきたことで、札幌での本番でもチームワークの高さや伸び伸びと個々の実力を発揮することができた。

 こうしたことは今大会の優勝という結果だけでなく、将来に繋がる貴重な財産として、野球界の未来を担う彼らの中で息づいていくことだろう。

試合後は牧野監督や水谷和樹主将が胴上げで宙を舞った

 

 

 

文・写真=高木遊