学生最高峰の大会、全日本大学女子選手権がついに開幕した。関東第2代表の早大は、関東第6代表の大東大との2回戦に臨んだ。大東大は初戦で中九州短大に16-0で圧勝しているため、その勢いのままに早大にぶつかってくることが予想された。しかし、試合…

 学生最高峰の大会、全日本大学女子選手権がついに開幕した。関東第2代表の早大は、関東第6代表の大東大との2回戦に臨んだ。大東大は初戦で中九州短大に16-0で圧勝しているため、その勢いのままに早大にぶつかってくることが予想された。しかし、試合は早大が6分にセットプレーから先制し、優位に進める。順調に5点を積み重ねて相手を終始寄せつけず、5発快勝で3回戦に駒を進めた。

 激戦が予想される中で、得意のセットプレーを武器にチャンスをつくり出したのは早大だった。2分にCKを獲得すると、キッカー・MF中條結衣(スポ3=JFAアカデミー福島)のキックが逆サイドのゴールポストを直撃。そのこぼれ球を拾ったDF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)がロングシュートを放ったが、これは惜しくもゴール左に逸れてしまう。じわりじわりと大東大ゴールに迫る中で、6分に早大が再びCKを獲得した。MF柳澤紗希副将(スポ4=浦和レッズレディースユース)のキックに、高い打点で合わせたのはDF小林菜々子(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)。「インカレでは絶対にセットプレーで取りに行こうという話もしていた」(小林)。得点が欲しい時間に、理想的なかたちで先制することに成功した。そして、追加点が生まれたのも再びCKからだった。柳澤のキックに反応し、得意のヘディングを決めたのはDF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)。守備陣によるセットプレーからの2得点でリードを奪い、試合を折り返した。


何度も起点をつくった山田彩

 後半になると、小林からGK木付優衣(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)へのバックパスを狙ってくるなど大東大のプレスがさらに強くなる。しかし、「まず体を入れて収める、そこから周りを生かして自分も生かされてというふうにやろうと最初から決めていた」と話すFW山田彩未(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がボールを収めて早大の攻撃の起点となる。そして63分には、この日7回目となるCKを獲得。柳澤のボールに右足で反応し、アウトサイドシュートを放ったのは小林だった。チームに勢いをつけるプレーで3点目を奪い、3-0と大東大を突き放した。3得点を奪ってもなお、早大の勢いは止まらない。66分には、MF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)のスルーパスに反応し、抜け出したのはMF山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)。ピッチを独走し、ふわりと浮かせた技ありシュートで無人のゴールポストに4点目を決めた。2人のメンバー交代を行った5分後、MF中村姫花(大東大)に頭で押し込まれ1失点したものの、早大も緊張感を保って試合を進める。そしてアディショナルタイムには、途中出場のMF高瀬はな(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がクロスのこぼれ球を押し込み、ダメ押しの5点目を追加した。『ア女らしいサッカー』を貫き通して90分を戦い、順当に2回戦を突破した。


スーパーゴールを決めた小林(右)

 大舞台の初戦であるにも関わらず、固い動きもなく完勝したア女。5点中3点がCKからの得点と、空中戦の強さを存分に発揮した試合となった。目標である「4連覇」に向けて、大量得点で幸先よくスタートを切った。しかし、強豪ひしめくインカレでは、まだ決して油断することはできない。まずは仲間の待つ東京に笑顔で帰るために、中1日で徳山大との3回戦に臨む。

(記事 下長根沙羅、写真 石塚ひなの、守屋郁宏)


スターティングイレブン




第27回全日本大学女子選手権
早大2-0
3-1
大東大
【得点】
(早大)6’、63’小林菜々子、23’三浦紗津紀、66’山田仁衣奈、90+3’高瀬はな
(大東大)76’中村姫花
早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属(加入内定)
GK木付 優衣スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF渡部 那月社4兵庫・日ノ本学園
(オルカ鴨川FC内定)
→90分24佐々木 呼子スポ2宮城・常盤木学園
DF三浦 紗津紀スポ4浦和レッズレディースユース
(INAC神戸レオネッサ内定)
DF32小林 菜々子スポ3ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
→70分23源関 清花スポ3ちふれASエルフェン埼玉
DF中田 有紀スポ3兵庫・日ノ本学園
MF柳澤 紗希スポ4浦和レッズレディースユース
→70分13高瀬 はなスポ3ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
MF20中條 結衣スポ3JFAアカデミー福島
MF山田 仁衣奈スポ3大阪・大商学園
→75分37並木 千夏スポ1静岡・藤枝順心
MF村上 真帆スポ2東京・十文字
MF◎11熊谷 汐華スポ4東京・十文字
(スフィーダ世田谷FC内定)
FW12山田 彩未スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
(FC十文字VENTUS内定)
→60分17松本 茉奈加スポ2東京・十文字
リザーブ:GK16鈴木佐和子(スポ2)、FW10河野朱里(スポ4)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)
コメント

FW山田彩未(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

――全体的に試合を振り返っていかがでしたか

自分たちで最初の10分までは相手にやりたいことをさせないというイメージで前からプレスをしっかりしていけたので、そこから自分たちらしいプレーができたのではないかなと思います。

――久しぶりのスタメンだと思いますが、きょうの試合はどういった意気込みで臨まれましたか

スタメンが久々ということもあって、やってやろう、自分ができることを出し切ろうという意識でやっていました。

――先ほどおっしゃっていたプレスなど守備の面で活躍が目立ちましたが、そこは意識していたのですか

自分的にも得意だったというのもあるんですけど、チームでも相手に蹴らせないというのを徹底していたので、まず自分からアクションを起こすというのは意識しました。

――前線で起点をつくる場面も多く見られましたが、手ごたえはいかがでしたか

やっぱりセンターバックが自分より大きい選手だったので、まず体を入れて収める、そこから周りを生かして自分も生かされてというふうにやろうと最初から決めていたので、それが体現できたのでよかったと思います。

――初戦を突破されて次回は徳山大戦になりますが、どう戦っていきたいですか

今回同様に気持ちの入ったプレーと自分らしい泥くさいプレーで次は貪欲に点に絡めるようにしていきたいなと思います。

DF小林菜々子(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)

――関カレや皇后杯予選で苦戦を強いられた大東大に対し、どのような対策を持って臨みましたか

守備については、初めからどんどん前プレで行こうという話はしていました。あとはCKは相手が特徴的なことをしてくるので、その対策もしっかりやって臨みました。

――インカレ初戦でしたが硬さはそんなになかったように見えました

そうですね。みんな結構、大東という相手だということもあって、始めから緊張感は持ってやれたのかなとは思います。

――序盤から主導権を握っていました

相手が結構蹴ってくるという特徴があることをわかった中でできていたので、すごくやりやすかったです。

――セットプレーから3得点を奪いました。かなり練習もしてきたのですか

今季はセットプレーでなかなか取れていない部分があって、インカレでは絶対にセットプレーで取りに行こうという話もしていましたし、結構バリエーションも増えてきたので、入ってよかったなという感じですね。

――中でもご自身は2得点、特に2得点目はスーパーでした

ちょっとびっくりしてます(笑)。(合わせたのは)右足のアウトサイドで、みんなにW杯の澤穂希さんみたいだったと言われました(笑)。自分としてはそらすだけのつもりがゴールに入ってしまったので、ラッキーでした。

――小林選手がプレーした70分間は無失点でした。手応えもあったのでは

ハイボールは自分にとって得意なプレーで、そのハイボールが自分のところにいっぱい来たので、あとは自分の特徴の高さを生かしてやっていくだけでした。

――チームとしても勢いづく勝利なのではないですか

あと1試合ここで勝って、西が丘でみんなで優勝することを目指して頑張りたいと思います。