熾烈(しれつ)な争いが繰り広げられた女子ショートプログラム(SP)から一夜明け、男子SPが行われた。第1グループからジュニア勢を初めとする各選手が好演技を披露し会場の雰囲気はどんどん高まっていく。その中で、第3グループには石塚玲雄(スポ1…

 熾烈(しれつ)な争いが繰り広げられた女子ショートプログラム(SP)から一夜明け、男子SPが行われた。第1グループからジュニア勢を初めとする各選手が好演技を披露し会場の雰囲気はどんどん高まっていく。その中で、第3グループには石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)が登場。目標としていた全日本の舞台に立ち、『Per Te』を披露した。

 「この場に立った時に、嬉しいという気持ちが本当に一番になった」と、この場に立てる喜びをかみしめながらリンクの中心に向かい、プログラムを舞い始める。冒頭はトリプルルッツ―ダブルルッツを予定していたが、「少し気持ちの方が焦ってしまったので、急遽トーループにしました」と語るようにセカンドジャンプを変更し、着氷する。その後のフライングキャメルスピンをこの日も柔軟性を生かした姿勢で行うと、続いてレベル4の評価を受ける質の高い足換えコンビネーションスピンを披露した。中盤には「ほんの少しだけ力みが入ってしまった」と振り返るトリプルフリップでは着氷に乱れが生じ、回転不足をとられてしまう。それでも堂々とした様子で演技を続けていく。ステップシークエンスでは伸びやかなスケーティングと全身を使った緩急のある動きで、磨き上げてきたその表現力をいかんなく発揮。後半のダブルアクセルも着氷すると、終始明るい表情で演技を終えた。


笑顔を見せる石塚

(記事 糸賀日向子、写真 尾崎彩)

 SPで全体28位となり、FSへの進出は逃す形となった。しかし「とても力強く演じられましたし、すごくお客さんの姿も見ながら余裕を持って滑れたので、そこはすごく楽しかった」と語るように、自身の持ち味を出した演技で大観衆にその名を知らしめた。初めての大舞台を「本当に楽しめた試合」と振り返った石塚。この場で味わった悔しさ、そして喜びを糧にさらに成長し、来年また全日本の舞台で輝きを放ってくれるだろう。


音楽を体現する石塚

(記事 糸賀日向子、写真 尾崎彩)

結果

▽男子SP

石塚玲雄 28位 52.83点

コメント

石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)

――全日本の舞台に立っていかがでしたか

ホテルの部屋にいた時はすごく緊張していました。でもこの場に立った時に嬉しいという気持ちが本当に一番になって、本当に楽しめた試合でした。

――全日本に向けてどのような調整をしてきましたか

少し前にジャンプが少し力が入ってしまうことが多くなったので、特にこのリンクに入ってからはゆっくり落ち着いて一本一本跳ぶということを一番気をつけてやっていました。

――冒頭の連続ジャンプは演技予定構成ではルッツ-ループの予定でしたが、本番ではどのように考えていたのでしょうか

ルッツ-ループを跳ぼうと思っていました。でもルッツ-ループにしようと思ったら本当に一本目が完璧なジャンプじゃないとループを付けられなくて、きょうのジャンプは一本目のルッツは結構良かったと思うんですけど、少し気持ちの方が焦ってしまいました。だから急遽トーループにしたという感じです。

――フリップはいかがでしたか

フリップは普通にやれば決まったと思うんですけど、ほんの少しだけ力みが入ってしまったかなと思います。少し、後悔しました。

――表現面はいかがでしたか

表現面はとても力強く演じられましたし、すごくお客さんの姿も見ながら余裕を持って滑れたので、そこはすごく楽しかったです。

――コーチからはどのようなお話がありましたか

本当にこの舞台に立てて良かったねということを言ってもらいました。本当に僕もそう思うんですけど、技術面に関してはちょっとアクセルが抜けかかったねと言われて。確かに踏み切りが危なかったので、少し着地も危なくなってしまったので、技術面のことについてもコメントしてもらいました。