昨年オフに阪神からFA宣言し、DeNAに移籍した大和(本名:前田大和)。チームを2017年シーズンのリーグ3位、日…

 昨年オフに阪神からFA宣言し、DeNAに移籍した大和(本名:前田大和)。チームを2017年シーズンのリーグ3位、日本シリーズ進出へと導いたアレックス・ラミレス監督から「チームに足りない最後のピース」と期待されての入団だったが、前半戦は打撃の調子が上がらず、得意とする守備でもエラーを重ねるなど苦しんだ。

 しかし、7月にケガの影響で登録を抹消され、約1カ月にわたる2軍での調整を経て1軍に復帰すると事態は好転した。8月は打率.395をマークし、2割ちょっとだった打率は最終的に.244まで上昇。守備でも本来の華麗さを取り戻した。

 挑戦の移籍1年目を終えた大和に、新天地DeNAで戦ったシーズン、古巣・阪神への想いなどを聞いた。



昨年、阪神からDeNAにFA移籍した大和

――大和選手は2005年の高校生ドラフト4巡目で阪神から指名を受け、プロ野球人生を歩み出しました。まずはそのルーツを教えていただけますか?

「生まれ育った鹿屋市(鹿児島県)周辺は野球よりもソフトボールが盛んな地域で、隣の大崎町では福留(孝介・阪神)さんも小学生の時にプレーされていました。僕は、兄が地元のチームでソフトボールをやっていたので、気がついたら小学1年から始めていたという感じです。

 しばらくはボールをわしづかみしていましたが、5年生ぐらいから人差し指と中指で投げられるようになりました。ソフトボールは塁間が短いので、打球を取ってからすぐに投げなきゃいけない。それが今の送球の基本になりました。いずれは甲子園でプレーしたいと思っていたので、早く硬球に慣れるために小学校卒業後はボーイズリーグに入りました」

――当時、憧れの選手はいましたか?

「西武時代の松井稼頭央(西武二軍監督)さんですね。特に守備が好きで、僕も練習ではバッティングよりも守備の時間が長かったです」

――樟南高校時代は1年生からショートのレギュラーとなり、3年生の時には夏の甲子園でベスト8進出に貢献。その活躍からすると、もう少し早い巡目で指名されてもおかしくはなかったと思いますが。

「そもそも、プロに行けるとは思っていなかったので、指名された時はとてもうれしかったです。阪神に入ってからは、選手やスタッフの多さに圧倒されました。『こんなに大きな組織の中で、どうやったら試合に出られるのか』と不安にもなりましたね。ですが、幸いにもルーキーイヤーから2軍で多くの試合に出してもらえたので、徐々に悩みは解消されていきました」

――今年はその阪神を離れてDeNAでプレーしました。12年間を過ごした古巣の本拠地、甲子園で迎えた初戦の感想は?

「三塁側のベンチから見る甲子園は、やっぱり違うなと思いましたね。期待と不安が交差する中で8回にヒットを打つことができましたが、声援の量は段違い(笑)。今の自分はDeNAの選手で、『これはビジターの試合なんだなぁ』と実感しました」

――やはり阪神戦には特別な意識がありますか?

「そうですね。他のチームと対戦する時よりも気持ちが昂(たかぶ)ります。阪神戦で結果を出すことが”恩返し”になると思ってプレーしています」

――入団時のラミレス監督の言葉にもあったように、ショートの守備に悩んでいたDeNAの”救世主”として期待も大きかったと思います。今年の守備について自分ではどう評価していますか?

「張り替えが行なわれた横浜スタジアムの人工芝に慣れるまでの時間がかかってしまいました。阪神時代のイメージが頭から離れず、『来る!』と思ったボールが手元まで届かないということがありましたね。ケガにより途中で離脱してしまったことも悔しいです。試合に出続ける難しさをあらためて学びました。反省ばかりですみません(苦笑)」

―― 一方の打撃面では、1番、2番、9番など多くの打順を任されました。もっとも自分に合っていると感じた打順はありましたか?

「打順が下位のほうが準備するうえで気持ち的には楽ですが、上位の打順はやりがいがありますし……。自分に合った打順というのは考えたことはないですね。とにかく試合に出ることが最優先だったので、こだわりはありません。任された打順でベストを尽くすだけです」

――ラミレス監督はファーストストライクから打っていく方針を掲げていましたが、”粘れる打者”である大和選手にも早打ちの指示はあったのでしょうか。

「もちろん僕にも『初球から甘い球が来たらいけ』という指示はありました。それでも待つべき時は待って有利なカウントを作ろうとしていましたし、ケースバイケースでしたね」

――長打率はキャリアハイの.335を記録しましたが、阪神時代と打撃面で変わったことは? 

「反対方向に打つ意識を持ったことが大きかったですね。今までは外野の頭を越えることなんてイメージしていませんでしたが、コーチの助言や選手間のやり取りから意識が変わりました。(2017年シーズンから左打席にも入っていたが)途中から右打席に専念したことも、集中力のアップにつながったと思います」

――チーム内でよく話をする選手はいますか?

「宮﨑(敏郎)ですね。年が近く、彼は人懐っこい性格なので、昨年のキャンプ初日から頻繁に声をかけてくれました。今では遠征先で食事をする際も同席することが多いです。よく話をするのはバッティングについてですね。質問に対してすべて的確に答えてくれるので、僕が一方的に聞いてばかりなんですが(笑)。

 彼の話を聞くと、本当に考えて野球をやっていることがわかりますし、『これだけやらなければ数字が残せないんだ』ということを教えてくれました。先ほどの逆方向への打撃についても、さまざまな助言をもらいました。本当に頼りになる存在ですね」

――来季に向け、DeNAファンは大和選手のキャリア初となる「全試合出場」を期待していると思いますが、そのためには何が必要だと考えていますか?

「守備を安定させることは前提ですが、打撃に磨きをかけなくてはいけませんし、盗塁数も増やしたい。とにかく全部です。そうでないと試合に出られないですから。

 2018年シーズンは、いろいろ学んで考えることができた、かけがえのない1年でした。自分にとって大きなプラスがあったシーズンでしたから、この経験を生かして来季はより活躍できるよう頑張りたいです」