国体選考試合を兼ねる都民体育大会。早稲田から出場した石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)と永井優香(社2=東京・駒場学園)はフリースケーティング(FS)でも随所に悔いの残る演技となってしまった。それでも高い実力を伺わせる演技を見せ、それぞれ…

 国体選考試合を兼ねる都民体育大会。早稲田から出場した石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)と永井優香(社2=東京・駒場学園)はフリースケーティング(FS)でも随所に悔いの残る演技となってしまった。それでも高い実力を伺わせる演技を見せ、それぞれショートプログラム(SP)4位、FS2位で総合2位と表彰台を確保した。国体の選考は全日本選手権の結果も加味されて行われることを踏まえても、双方その切符へ大きく前進した形になった。また、フィギュア部門に所属する齊藤聖果(商2=東京・早実)の所属する神宮Ice Messengersも出場し、新プログラムを披露した。

★石塚、表彰台確保も悔しい演技にさらなる成長を誓う

 表彰台まで僅差のSP4位で折り返した石塚はFSで2位となり表彰台に上がった。しかし「ちゃんと決められなかった」と演技を振り返った通り、決めきることができないエレメンツが多く出てしまった。冒頭のルッツこそ加点のつく質のものを決めたが、その後は回転が抜けたり着氷でバランスを崩しステップアウトしたりしてしまう等、出来栄え点にマイナスのつくジャンプが相次いだ。今季からの新ルールは出来栄えへの評価に重点を置いているだけに痛いミスとなってしまい、石塚も「とにかくトリプルジャンプで失敗している時点でまだまだ」と振り返り「いつでもどこでも跳べるジャンプに」と全日本選手権(全日本)に向けて強い気持ちで練習していく姿勢を示した。またこのプログラムの見所であり、音楽中のパーカッションを足元で奏でていくような形で踏んでいくコレオシークエンスでは今大会でも輝きを見せた。一方で石塚本人は「全くと言っていいほど自分の表現したいことができなかった」と振り返り、こちらも含めて全日本での更に磨き抜かれた完成形を楽しみにしたい。


音にぴったり合った演技で魅了した石塚

(記事 青柳香穂、写真 糸賀日向子)

★永井、全日本前最後の実戦も不本意な結果に…次戦、大舞台での笑顔に期待

 前日のSPではミスが相次いだ永井が気持ちを切り替えて臨んだFS。冒頭2本続くトリプルルッツは、6分間練習では一度も決めることができず「正直自信は無かった」というジャンプだが、1本目は高さと流れがあり加点のつくコンビネーションジャンプを決める。しかし残念ながら2本目はタイミングが合わず1回転になってしまった。また、ここ3試合で1回転になるミスが続いていたトリプルサルコウは、着氷が乱れ回転不足となってしまったが3回転の認定は受け、東日本学生選手権(東インカレ)から矯正をした成果が見られた。スピンでは回転数が足りなかったレイバックスピン等でレベルを取りこぼす一方、ステップを含む表現面でも疲労から「意識することができなかった」と、思うような演技ができなかった。ジャンプに関しては着氷が乱れ出来栄え点を引かれ、更に今季からより厳しくとられるようになっている回転不足の判定を受けて基礎点も下げられてしまい点数が伸びきらない場面が随所に見られた。しかし冒頭のトリプルルッツや曲想に沿ったトリプルループ等、綺麗に決まったジャンプには+3の高い評価もでており、これから得点を伸ばしていく上での好材料となるだろう。


優雅な4分間の舞を始める永井

(記事 青柳香穂、写真 糸賀日向子)

★新プログラムを披露し、会場を魅了

 神宮IMが今季初戦に臨んだ。13人が深緑色の衣装で氷上に登場すると、合図が送られ演技が始まる。今季冒頭に組み込まれたのはアーティスティックブロック。3列になり息の合った動きで氷上を進んでいく。そこからどんどん隊列を変化させていき続くインターセクションやムーブエレメンツの動きで会場を湧かせる。そして「今季は今までやっていなかったミラーでやるので注目して欲しい」というリフトを披露すると、要素間でも多様な動きを見せシンクロならではのダイナミックな演技が続く。ツイズルエレメンツでは腕を上げながらそろった動きを見せ、演技終盤には2スポークから4スポークに変化するウィールでプログラムを盛り上げた。そしてペアエレメンツのデススパイラルから迫力あるポーズで演技を締めくくると、観客からは大きな拍手が送られた。今季の目標を「しっかりワールドに派遣される点数を出し、最終目標は世界選手権11位」と掲げる神宮IM。世界の舞台で躍動するため切磋琢磨しながらプログラムを作り上げていく。


迫力あるポーズで演技を終える

(記事 糸賀日向子、写真 青柳香穂)

結果

▽シニア男子

石塚玲雄 2位 159.16点(FS 2位 105.11点)

▽シニア女子

永井優香 2位 136.27点(FS 2位 91.31点)

▽シニアシンクロナイズド

神宮Ice Messengers  1位 80.01点

コメント

※齊藤選手のみ文面取材を行いました。

石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)

――今日の演技を振り返っていかがでしたか

今日の演技を振り返って自分が1番に思うのはちゃんと決められなかったことが本当に悔しいというただそれだけです。

――ジャンプの着氷でバランスを崩す場面が何回か見られましたが共通した原因があるのでしょうか

そうですね、2つ原因があると思っていて。まず1つ目は気持ちの持っていき方が特に後半にかけていい気持ちで入れなかったというのと、2つ目は体力不足ということだと思います。

――今大会では不完全ながらトリプルフリップーシングルオイラーーダブルサルコウの3連続ジャンプを実施しましたが、本来は6分間練習でも確認していたトリプルサルコウーシングルオイラーーダブルサルコウを予定していたのでしょうか

はい、その予定だったんですけど、本来であれば1個目のサルコウに3連続をつけられたんですけど自分の気持ちが弱かったせいでそこをつけずに先に進んでしまったので、その気持ちというのが最終的にミスを引きずってしまったかなと思っています。

――表現面についてはいかがでしたか

コレオステップのところは力強くというのは意識していたんですけどやはり今日後半にかけて体力不足が表にでてしまって、特にステップのところは全くと言っていいほど自分の表現したいことができなかったという印象です。

――全日本に向けてこれからどのようなことに気をつけて練習したい等あれば教えてください

とにかくトリプルジャンプで失敗している時点でまだまだというか、そんなことで失敗している時点でまだまだレベルが低いとしか言いようがないので、いつでもどこでも跳べるジャンプにして先に進まないと、この先やっていくにしても自分としても納得できないところもあるので、そこはしっかりやっていきたいなと思います。

――今大会は引退される方も含め4年生のスケーターにとって東京での最後の大会となりましたが、その点について何か思うこと等あればお聞かせください

僕は今東伏見で練習させてもらっているので4年生の先輩方がたくさんいて、本当にその先輩方に普段から優しくしてもらっていて自分としても非常に感謝しています。正直その優しくしてもらったということだけを考えると、この場で戦うっていうのはとても辛いことで。本当にずっと小さい頃からお世話になっている先輩ばかりなので、その先輩方の気持ちを考えるとまあ自分もいろいろ思うこともあり、素直に応援したいということは思っているんですけど、勝負は勝負で国体予選ということもあって勝ちたいという気持ちもあって。でもどうせ勝つならもっと余裕で勝ちたいというかぶっちぎって勝ちたいと思っていたので、だからこそ自分がこのように中途半端な演技になってしまったことが本当に情けなくて。本当に自分もまだまだなんですけどもっと先輩を素直に応援できるくらいの実力を身につけるべきだと思っていて、今は試合が終わって自分に対する怒りの気持ちというか、なんでこんな曖昧な演技をしてその後に先輩の演技を応援しなきゃいけないんだろうという気持ちが真っ先に思い浮かびます。でも本当に先輩方には言葉には言い表せないほどお世話になっているので本当に感謝しています。

永井優香(社2=東京・駒場学園)

――きょうの演技をふりかえっていかがでしたか

内容は全然良くなかったですし全然集中し切れていなかったんですけど、なんとか耐えたかなという感じです。

――東インカレの時にそんなに集中しきれずに試合に入ったということでしたが、そのあとの練習はいかがでしたか

東インカレの後の練習は自分の中では結構良い物ができていたと思っていてFSでも何度かノーミスできていたので良い調子でやっていたんですけど、今週に入ってからあまり体調が良くなかったのでやっぱり合わせられるようにしないといけないと思いました。

――6練であまり決まらなかったルッツを本番の冒頭で決めましたがその点についてはいかがですか

正直自信は無かったんですけど、6分間が終わる最後の方にダブルルッツをやってこの感覚で落ち着いてやれば跳べるかなと思ってその気持ちでやったらできました。

――サルコーは着氷しましたが踏み切りなど意識したことはありますか

サルコーは東インカレの後から矯正というか、をしてすごく良くなっていたのできょうはちょっと疲れもあってあのような形になってしまったんですけど無意識でもそこまで持ってこれるようになったのはほんの少し良かった点かなと思います。

――表現面はいかがでしたか

きょうは本番前からすごく疲れていたので最後まで持つかというのが不安だったのでそんなに意識することができなかったのかなと思います。

――きのうのSPの演技について振り返っていかがでしたか/strong>

きのうは練習がまあまあ良かったしおとといの練習でも3ー3を入れてノーミスとかもできていたのでちょっと自信はありました。でもあのような形になってしまったのでとても落ち込んで、もっともっとやるべき事があるんだなという風に痛感しました。

――全日本選手権について意識していくことと、意気込みをお願いします

良い練習を積めたという気持ちが本番の結果に出てくると思うので練習しっかりすることと、本番は楽しんで滑りたいなという風に思います。

齊藤聖果(商2=東京・早実)

――演技を振り返っていかがでしたか

大体練習でやった通りのものだったかなと思います。まだまだ直さなくてはいけないところがたくさんなので全日本までに完璧になるように練習します。

――このプログラムのこだわりは

このフリーは『Far and Away』の映画なので、4分半から4分になって要素が詰まっている中でもストーリーを演じたいと思います。まだ全然演じられていないので頑張ります。

――ブロックはいかがでしたか

練習のままできたと思います。

――インターセクションについてはいかがでしたか

練習していたときの方が良かったですが、これも悪くはなかったと思います。

――リフトについてはいかがでしたか

それぞれのリフト1隊ずつしか上げられなかったので、次16人でやるときは全隊しっかり上げられるようにします。今季は1つ目のリフトが今までやっていなかったミラーでリフトするので注目してもらいたいです。

――人数は13人の予定で都民大会に向けて練習していたのか

16人で出る予定で練習していたのですが、色々話した結果今回は13人で出ることになりました。16人でやるシンクロを見せられなかったのが申し訳ないです。

――点数についてはいかがでしたか

もっともっと点数を上げないとです。

――コーチから言われていることは

全体としては、一つ一つの要素を落ち着いて練習通りやる、ちゃんと周りを見て滑る、曲を表現する、ダウンしてちゃんと氷を押す、とかですかね。

――今季の目標を教えてください

まずはしっかりワールドに派遣される点数を出すこと、それから最終目標は世界選手権11位です。