今週末に行なわれる第6週で慶大は明大と対戦することとなる。ここまで両チームとも3カードを終えて無傷の勝ち点3。優勝が残る2校同士の決戦はまさに天下分け目の大決戦だ。昨年は春秋通じて慶大の4連勝に終わったこのカードを、昨年の対戦を振り返ると同…

今週末に行なわれる第6週で慶大は明大と対戦することとなる。ここまで両チームとも3カードを終えて無傷の勝ち点3。優勝が残る2校同士の決戦はまさに天下分け目の大決戦だ。昨年は春秋通じて慶大の4連勝に終わったこのカードを、昨年の対戦を振り返ると同時に、ここまでの両チームをデータで解析し、明大戦の展望をしていきたい。

1.昨年の対明大4連勝を振り返る

昨年は明大戦で4戦負けなし。特に秋の対戦では、崖っぷちに追い込まれた慶大が首位をひた走る明大を相手に連勝し、逆転優勝を成し遂げたことは記憶に新しい。

春秋ともに初戦は慶大先発が試合を作れず、先制を許してからシーソーゲームが繰り広げられ、終盤に勝ち越した慶大が勝利を収め、2試合目は、ロースコアの中で先制点を取った慶大がなんとか逃げ切って勝ち点を奪う、という展開であった。

そんな昨年の慶明戦のデータを振り返る。

慶大投手明大戦防御率明大投手慶大戦防御率
菊地○0.84齊藤3.45
髙橋佑3.60水野●2.25
髙橋亮○3.38髙橋●6.00
石井○0.00森下暢●4.26
佐藤○1.00入江3.38

明大戦では投手が力を発揮していた。昨年の対明大防御率は1.95と他の5大学との対戦防御率と比較しても最も良い数値を記録している。一方明大投手陣で見てみると、特別慶大戦で失点を重ねていたわけではない。ただ、4試合で21与四死球と明大投手陣の昨年の1試合平均3.95と比べるとやや多い。しかし、慶大野手陣から見ると1試合平均が5.59であることを考えると、明大投手陣が不調だったというよりも慶大野手陣が本来の働きをしていたと言えるだろう。

主な明大打者の対決慶大成績
2017年対慶大チーム打率.224
選手2017年慶大戦打率通算慶大戦打率
渡辺佳.071.214
逢澤.313.216
越智.200.176
平塚.000.000
主な慶大打者の対決明大成績
2017年対明大チーム打率.293
選手2017年明大戦打率通算明大戦打率
郡司.200.200
柳町.286.176


初先発で完封勝利を挙げた

渡辺佳や越智など昨秋から中軸を打つ選手を封じ込め、打線に仕事をさせていなかったことがわかる。その中で逢澤崚介(文4・関西)には2試合複数安打を浴びるなど、苦しめられた。今季は4番を打つ強打者だけに、しっかりマークしておきたい。また、4試合で慶大が完成させた併殺打は6つ。特に春の2回戦だけで3つを完成させている。この試合で菊地恭志郎(政4・慶應志木)が成し遂げた完封勝利は勝負所を併殺で乗り切ったところから来ていたと言っても過言ではないだろう。

慶大打線で見ると、中軸を打つ郡司裕也(環3・仙台育英)は微妙、柳町達(商3・慶應)はまずまずといった成績だった。一方で照屋塁(H30環卒・現Honda鈴鹿)や倉田直幸(H30法卒)ら下位打線が奮起し、打線として力を発揮したことが4連勝の要因であったといえるだろう。

2.ここまでの両チーム

立大戦では先勝を許しながら、連勝で勝ち点を獲得した慶大。立大戦の前まで成績が落ち込んでいた内田蓮(総4・三重)が12打数4安打、河合大樹(総4・関西学院)に至っては12打数8安打と打線をけん引した。立大の田中誠に初戦こそ苦しめられたが、粘った末に8回で降板させると、9回に2点を取り返してから打線が復活。3回戦では疲労の取れなかった田中誠を打ち崩し、打ち勝つ形で勝ち点をもぎ取った。先述したように、昨年の明大戦では下位打線を中心にチャンスを作ってきただけに、今年の対戦でも瀬戸西純(政2・慶應)を中心に粘り強く出塁し、上位打線で返して、さらにチャンスを続けるという形にして主導権を握っていきたい。


森下は打っても打率5割8打点と脅威だ

対する明大も先週の立大戦を先勝されながら、連勝で勝ち点3を獲得してきた。チーム打率.326という強力打線が、1回戦こそ田中誠の前に本領発揮と行かなかったが、2回戦では序盤に大量リードを作って雨中の激戦を制した。3回戦も立大先発の川端健の前に決め手を欠いたが、最後は越智達矢(経営4・丹原)が2戦連発となる決勝2ランを放ち、なんとか勝利を収めている。ここまでの8試合中5試合で二桁安打を放っている明大打線をどう止めるか、が慶大ペースで進めていくための前提条件になりそうだ。

投手陣に目を向けると、慶大は立大戦で1敗こそしたものの、3失点、1失点、1失点とトータルで見ればしっかり役割を果たしている。特に中継ぎ陣は立大戦14イニングでわずか1失点、通算防御率0.37とまさに鉄壁だ。前週が空き週だったこともあり、中継ぎ陣に余裕はあるはず。それだけに、先発投手には初回からフル回転で明大打線を抑えてもらいたい。特に2回戦での先発が予想される菊地は昨春に明大から完封勝利を挙げている。昨春より状態が上がっている菊地が今年も大仕事をやってくれるのか、注目したい。

明大投手陣は先発二本柱の森下暢仁(政経3・大分商)と伊勢大夢(経営3・九州学院)がともに規定投球回に達し、防御率リーグ4位と3位の成績を残している。特に森下暢は中1日での登板だった立大3回戦で被安打5の11奪三振で1失点完投勝利を挙げている。そこから中4日の登板になるとはいえ、好調そのままに投げられると打ち崩すのは難しいだろう。伊勢も雨中の登板となった2回戦で6回2失点と安定した投球を見せており、油断してはいけない投手だ。先発の2人に加え、中継ぎでは竹田祐(政経1・履正社)、磯村峻平(文1・中京大中京)のWルーキーが好投を続けている。立大戦のように、中継ぎから大量得点し、盤石の試合運びという展開はそう簡単には望めなさそうだ。

3.明大対策

予想スタメン野手(○数字はリーグランキング)
選手打率打順選手打率
小原.276⑲佐野(左).364⑧
河合(左).414⑤吉田(左).389⑥
柳町(左).250㉒渡辺佳(左).387⑦
郡司.357⑨逢澤(左).310⑯
嶋田.346⑪越智.355⑩
内田(左).250㉒森下智(左).444②
中村.238㉖高瀬(左).375
瀬戸西(左).227㉙投手――――
投手――――氷見(左).200

明大はスタメン野手6人が規定打席で3割越えの打率を誇っている。ただ、そのうち越智を除けば全員左打者で、他の予想スタメン野手も左打者がそろいそうだ。タイプが異なるとはいえ、左打者が多ければある意味での投げやすさが出てくるだろう。右投手の菊地や髙橋亮吾(総3・慶應湘南藤沢)のフォークや石井雄也(商3・慶應志木)のチェンジアップ、左投手髙橋佑樹(環3・川越東)のスライダーは効力を発揮するだと考えられる。立大打線と違い、ボールを見極める能力やミート力は高いため、その決め球でしっかり決めきることがより重要になってくるだろう。また、93得点のうち14得点を初回に挙げ、8試合中5試合で初回に得点している。初回の得点を封じて、相手の出鼻をくじき、こちらのペースに持ち込みたい。

両チーム投手陣(○数字内はリーグランキング)
選手防御率起用選手防御率
髙橋亮2.12②第1戦予想先発森下暢2.91④
菊地1.98第2戦予想先発伊勢2.50③
髙橋佑0.00セットアッパー磯村0.00
石井0.00クローザー竹田2.08


昨春森下から本塁打を放った郡司

ここまでリーグ防御率4位の森下暢だが、被本塁打は3本とやや多い。その3本すべてが甘く入ったストレートを捉えられたもの。昨春の対戦でも郡司が高めの直球を先制本塁打にしている。切れ味鋭いスライダーやチェンジアップも気にはなるが、狙い打つならストレートの失投になるだろう。一発のある郡司や嶋田翔(環2・樹徳)の前にランナーを貯め、プレッシャーをかけていきたい。伊勢も横手から投げる速球がシュート回転する様子が見られる。こちらも失投を逃さず長打にしていければ、攻略のカギは見えてくるだろう。

このカードで連勝した瞬間2季連続36回目の優勝が決まる。一方で勝ち点を落とせば、明法戦の結果に優勝の可能性が依存するというまさに優勝の行方を占う天王山だ。だが、立大戦で見せたように総力戦であればどんな相手であれ分があると言える。優勝ではなく、まず勝ち点4を取りに行く、その中で優勝という結果がついて来ればこの上ないことだ。

(記事・尾崎崚登)

慶大明大優勝の行方
第7週の結果第7週の結果第8週の結果優勝
慶大連勝慶大優勝
慶大2勝1敗明大が敗北慶大優勝
慶大2勝1敗明大連勝慶大が勝ち点慶大優勝
慶大2勝1敗明大連勝慶大が1勝2敗慶明優勝決定戦
慶大2勝1敗明大連勝慶大が連敗明大優勝
慶大1勝2敗明大勝ち点明大優勝
慶大1勝2敗明大1勝2敗慶大勝ち点慶大優勝
慶大1勝2敗明大1勝2敗早大勝ち点明大優勝
慶大1勝2敗明大連敗慶大勝ち点慶大優勝
慶大1勝2敗明大連敗早大勝ち点明大優勝
慶大連敗明大勝ち点明大優勝
慶大連敗明大1勝2敗慶大連勝慶大優勝
慶大連敗明大1勝2敗慶大が敗北明大優勝
慶大連敗明大連敗慶大連勝慶大優勝
慶大連敗明大連敗慶大2勝1敗慶明優勝決定戦
慶大連敗明大連敗早大勝ち点明大優勝
対戦成績(第5週終了時点)
 慶大明大法大立大早大東大
慶大 第6週○6-3
○5-4
●2-3
○4-1
○7-1
第8週○15-0
○5-1
明大第6週 第7週●○○●○○○○
法大●●第7週 ●△●第6週○○
立大○●●○●●○△○ ○○第7週
早大第8週○●●第6週●● ○○
東大●●●●●●第7週●● 
順位表(第5週終了時点)
順位大学勝ち点試合勝率
慶大0.857
明大0.750
立大110.600
早大0.429
法大0.333
東大0.000