*写真は吉村和弘(岡山リベッツ)<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 11月25日(日)青山学院記念館(大学体育館)>11月25日、Tリーグ男子木下マイスター東京(以下、KM東京)と岡山リベッツ(以下、岡山)の対戦は3-2で岡山が勝利し…

*写真は吉村和弘(岡山リベッツ)

<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 11月25日(日)青山学院記念館(大学体育館)>
11月25日、Tリーグ男子木下マイスター東京(以下、KM東京)と岡山リベッツ(以下、岡山)の対戦は3-2で岡山が勝利し、ここまで開幕から6連勝だったKM東京に初めて土をつけた。

上田仁/森薗政崇ペアがダブルスを先取した岡山は、張本智和、水谷隼にシングルスを取られ、1-2と追い込まれた苦しい展開から粘りを見せる。主将の上田が大島祐哉を、1ゲームのみのビクトリーマッチでは吉村和弘が張本を下した。吉村は前日の全日本学生選抜大会優勝に続き、好調を維持し、本日のヒーローとなった。

吉村は「格上の張本選手だったので向かっていくだけ。伸び伸びプレーできた。張本選手がタイムアウトを取った直後のポイントを取れて流れを渡さなかったのが大きかった。僕ら岡山リベッツが木下マイスター東京の連勝止めたかったので勝てて嬉しい」と喜びのコメントを残した。

この勝利で勝ち点3を得た岡山リベッツは、合計勝ち点を11とし2位のT.T彩たまと並んだ。

各マッチの解説は以下の通り。

木下マイスター東京 VS 岡山リベッツ 各マッチの解説

1番:水谷隼/松平健太 0-2 上田仁/森薗政崇



上田仁/森薗政崇(岡山リベッツ)


全員が青森山田高校OBという顔ぶれとなったこの対決。互いの特長を知り尽くした両ペアによる1ゲーム目は、一進一退の攻防が続く中、それまで台から距離を取ってプレーしていた森薗が前陣での威力あるフォアドライブで得点し、9-7とゲーム後半で優位に試合進める。最後は松平のチキータミスを誘い11-8で岡山ペアがゲームを先取する。

2ゲーム目も上田、森薗がそれぞれ威力あるフォアハンドで得点するなど、岡山ペアが3-0で一気にリードを広げる。たまらずタイムアウトを取った水谷・松平ペアは水谷のバックハンド2本で4-4に追いつく。

ここから勝負を分けたのは、卓球のダブルスにおいて最も重要な要素の1つである台上テクニックの精度だった。

ダブルスに定評のある森薗と上田の岡山ペアは勝負のかかる6-5の場面で台上ストップを短く決める。このプレーが水谷のドライブミスを誘い7-5とすると、今度は森薗のチキータが水谷のドライブミスを誘い8-5とする。KM東京の甘くなったストップを上田が逃さずフォアハンドドライブで決め10-6とするが、ここから一気に集中力のギアを上げた水谷、松平ペアにミスが無くなり、10-10のデュースになる。

最後は森薗のチキータから上田のフォアドライブのコンビネーションが見事に決まり、16-14。岡山ペアがゲームカウント2-0で重要なダブルスを制した。

2番:張本智和 3-0 吉田雅己

10月の岡山リベッツ戦で上田仁に敗れている張本は、序盤から気持ちのこもったプレーを見せる。1本目、得意のチキータで得点するといきなり「チョレイ」と雄叫びをあげ、勢いをつける。その後もチキータからのバックハンドの差し合いに加え、強化中のフォアハンドでも進化を見せる。吉田得意のフォアドライブを待ち受け、フォアストレートにカウンターで打ち抜いたシーンでは観客がどよめく。1ゲーム目はスキの無いプレーを見せた張本が11-5と先取する。

2ゲーム目序盤では吉田が張本のフォア側から打たせる作戦で、この試合初のリードを奪うシーンもあったが、試合はその後も張本ペースで進む。

吉田はインドリーグで通用した必殺のハラキリサーブを駆使するも、張本得意のチキータで返され万事休すに。最後は張本も吉田のフォア攻めを待ち、回転量の多いカウンタードライブ攻撃とナックルのハリパンチ(フォアスマッシュ)を織り交ぜて対応する余裕を見せる。終始実力者の吉田を圧倒した張本はマッチポイントの場面でも、吉田の全力ドライブを台から離れた位置からハリパンチで横殴りにし、3-0のストレート勝ちで勝負を決めた。

3番:水谷隼 3-1 吉村和弘



水谷隼(木下マイスター東京)


2017年1月の全日本選手権シングルス決勝以来の対戦となったこのカード。前日の全日本学生選抜優勝の勢いそのままに、調子の良い吉村が水谷から1ゲームを先取する。得意のバックハンドで水谷を攻め、威力あるフォアハンドで決めるコンビネーションに加え、丁寧な台上プレーからチャンスを待つ、ミスの少ないプレーで2ゲーム目も6-3と水谷を苦しめる。

しかし、百戦錬磨の水谷はここから試合を立て直す。集中力のギアを一段高めると、5-7の劣勢から6本連取で2ゲーム目を取り返す。3ゲーム目も9-10とゲームポイントを握られた場面から吉村の浮いたストップに対し、フォアストレートへのフリック強打を決めてデュースに持ち込む。その後も鉄壁のブロックやフォア強打を織り交ぜて14-13とゲームポイントを握ると、吉村の意表を突くタイムアウトを取る。

注目のタイムアウト明けの1本目。水谷が出したサーブは、ネットすれすれの低さにコントロールされたシンプルな無回転ショートサーブだった。これに対し、吉村のチキータレシーブがネットに当たってからオーバーし、水谷が15-13と勝負強さを見せた。

1,632人の観客が見守る中、じわじわと水谷ペースになったこの試合。4ゲーム目最後は10-9と水谷がマッチポイントを握った場面でストレートへのバックドライブで得点し、勝負を決めた。

4番:大島祐哉 1-3 上田仁



上田仁(岡山リベッツ)


正統派右シェーク攻撃選手同士の対決となったこのカード。フットワークとパワーに長ける大島に対し、オールラウンダーの上田がテクニックで対抗する。

1、2ゲーム目は上田が圧巻のレシーブを見せ大島を圧倒する。大島の短いサーブに対してはチキータで一発で打ち抜き、ロングサーブに対してはフォアハンドで回り込んで大島の待ちを外し、11-7、11-4と2ゲームを先取する。

3ゲーム目も上田が3-0でリードし、このまま一気に試合を決めるかと思われたが、大島もここから意地を見せる。この場面でタイムアウトを取ってから息を吹き返した大島は、唯一効いていたYGサーブを中心に試合を組み立て直すと、6本連取を含むプレーで逆転し、11-6で第3ゲームを取り返した。

しかし、岡山リベッツの主将、上田はここから勝負強かった。4ゲーム目は、序盤から大島ペースで試合が進むも、上田が粘り強いプレーで追い上げを見せると、試合前半同様、目の覚める高速チキータや回転量の多いフォアドライブで再びペースを握ると、最後は、上田の強烈なフォアハンドドライブがクロスに抜けて11-8。ゲームカウント3-1で試合を制し、木下マイスター東京戦でここまで単複4勝0敗と抜群の勝負強さを見せ、ラストに望みを繋いだ。

5番:張本智和 0-1 吉村和弘



吉村和弘(岡山リベッツ)


Tリーグ特別ルールの1ゲームマッチで行われた5番のビクトリーマッチは、序盤から6-6までは両者が交互に点を取り合うシーソーゲームとなる。2階席まで緊張感が伝わるほどの好ゲームの流れを先に掴んだのは吉村だった。

7-6とリードした吉村は、張本のチキータをバックハンドで見事にカウンターし、8-6とリードすると、ここで張本がタイムアウトを取る。「ここが勝負どころだった」と吉村が試合後にコメントした場面で、吉村のバックドライブがエッジで入る幸運もあり9-6とリードを広げると、最後は吉村のサーブに対し、張本のチキータが無情にもオーバーミスとなり、11-6で吉村がビクトリーマッチを制した。

岡山リベッツ主将の上田の抜群の安定感と、吉村の勢いが、常勝軍団の木下マイスター東京に初黒星を与えた。

11/25木下マイスター東京 2-3 岡山リベッツ

水谷隼/松平健太 0-2 ◯上田仁/森薗政崇
8-11/14-16

◯張本智和 3-0 吉田雅己
11-5/11-6/11-8

◯水谷隼 3-1 吉村和弘
9-11/11-7/15-13/11-9

大島祐哉 1-3 ◯上田仁
7-11/4-11/11-6/8-11

張本智和 0-1 ◯吉村和弘
6-11

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文・写真:ラリーズ編集部