大阪・ITC靱テニスセンターで開催されている「三菱 全日本テニス選手権」の7日目。女子シングルスは準決勝2試合が行なわれ、第1シードの清水綾乃が同期の村松千裕を6-0、6-2で圧倒。もう1試合では、この全日本選手権をキャリアの「ひとつの区切…

大阪・ITC靱テニスセンターで開催されている「三菱 全日本テニス選手権」の7日目。

女子シングルスは準決勝2試合が行なわれ、第1シードの清水綾乃が同期の村松千裕を6-0、6-2で圧倒。もう1試合では、この全日本選手権をキャリアの「ひとつの区切り」と定めている澤柳璃子が、大学生の松田美咲相手に6-4、6-0の貫禄勝ちを収めた。この結果、明日の女子決勝は清水対澤柳に。なお本日行なわれた混合ダブルス決勝戦でも、清水は清水悠太と、澤柳は島袋将と組んで対戦。10ポイントマッチタイブレークにもつれ込む熱戦を、最後は清水綾乃が技アリのドロップショットを沈めて制した。

勝利を意識すると硬くなる......それは清水が過去にも幾度か、繰り返してきたセリフだった。今大会準々決勝の本玉戦でも、第1セットを簡単に奪い、第2セットも早々にブレークしたところから、相手に5ゲーム連取を許している。勝利後も自己採点が厳しかったのは、自覚している悪癖が彼女を絡め取ったからだ。

その清水が準決勝では、第1セットでの勢いを緩めることなく、最後まで走り切った。試合後に「ストレートで締められたのは良かった」と笑顔だったのも、「昨日の反省を生かせた」ことが何より大きかっただろう。

選手層の厚い世代にあって、ジュニア時代の清水は、決してフロントランナーではなかった。それもあってか、挑戦者として強い相手に向かう方が、自分の性に合っていると言う。そんな彼女も今やランキング200位を突破し、今大会では第1シード。意識しないようにと思っても、どうしても「勝たなくちゃ」という圧迫感は拭えなかった。だがこの日の相手は、現在のランキングこそ自分よりも低いながら、ジュニア時代は「ずーっと上にいた存在」という村松。だからこそ挑戦者の立場に身を置き、リードしても「1点ずつ取ることに集中できた」。

快勝を手にし勝ち進んだ決勝の舞台では、4歳年長の澤柳が待ち構える。大会後の去就は何も決めていない澤柳が、ここまで「とにかく楽しく、私らしく」戦っていることは、周囲の目にも明らかだ。

その彼女が、初優勝が懸かった決戦へと向かう時、これまでと同じ心境で戦えるのか? そしてその相手に、第1シードはいかなる心持ちで挑むのか?楽しみな頂上決戦になることだけは、間違いない。(リポート=内田暁 ©スマッシュ)

※写真は大会の様子

(©スマッシュ)