大阪・ITC靱テニスセンターで開催されている「三菱 全日本テニス選手権」は、11月1日に第6日を迎えた。女子シングルスは準々決勝4試合が行なわれ、ベスト4が出揃った。今大会を、キャリアの「1つの区切り」と定めている澤柳璃子は、成長著しい17…

大阪・ITC靱テニスセンターで開催されている「三菱 全日本テニス選手権」は、11月1日に第6日を迎えた。女子シングルスは準々決勝4試合が行なわれ、ベスト4が出揃った。

今大会を、キャリアの「1つの区切り」と定めている澤柳璃子は、成長著しい17歳の内島萌夏を7-5、7-5で振り切り準決勝へ。第1シードの清水綾乃は、第2セットで「勝ちを意識した」ところから大きく突き放されるも、半ばセットを諦めたことで緊張を振り払い、6-1、7-6のストレートで勝ち切った。なお澤柳は島袋将と、清水は清水悠太と組んだ混合ダブルスでもそれぞれ勝利し、決勝に進出している。

ベスト8の顔ぶれの中で唯一ノーシードの松田美咲は、去年の準優勝者、秋田史帆に7-5、6-3で快勝。第4シードの井上雅と対戦した20歳の村松千裕は、第1セットを失い、第2セットも1-5と徳俵に足が掛かったところからの大逆転勝利で、清水との同期対決へとコマを進めた。

1ポイントごとに、自らを叱咤するように吐き出す「カモン!」や「何やってんの!」の叫び声が、今大会に懸ける......あるいはテニスという競技に向ける、澤柳の心の内を物語っていた。

対戦相手の内島は、今年の岐阜ITF60,000ドルで準優勝した17歳。長身から繰り出す伸びやかなストロークを武器とする、日本テニス界期待の新星だ。

ただ、澤柳の胸中にあるのは相手が誰というよりも、目の前の1本を落としたくない、相手に負けたくないという純然たる闘争心。シングルスにダブルス、そして混合ダブルスでも勝ち抜いている身体は「あちこちに痛みが出ている」状態ながら、「気迫」でボールを追い相手コートへとねじ込んでいく。マッチポイントで飛び出した内島のダブルフォルトは、そんな澤柳の執念がもぎ取ったものだろう。だからこそ勝利の瞬間、彼女は両手を突き上げ、全身で歓喜を表現した。

全日本での準決勝進出は、準優勝した2014年以来のこと。初のタイトルが近づいてきたが、コート上の全ての瞬間を楽しむ澤柳は、「(優勝は)全く意識していないです」と破顔一笑。目指すはどこまでも、「1試合1試合、全ての試合で力を出し切ること」だ。(リポート=内田暁 ©スマッシュ)

※写真は大会の様子

(©スマッシュ)