昨年までの日産スタジアムから場所を移し、北九州市の本城陸上競技場で行われた日本選手権リレー。早大からは男子4×100メートルリレー(4継)、男子4×400メートルリレー(マイル)の二チームが出場した。今シーズン最後の試合ということで、良い…

 昨年までの日産スタジアムから場所を移し、北九州市の本城陸上競技場で行われた日本選手権リレー。早大からは男子4×100メートルリレー(4継)、男子4×400メートルリレー(マイル)の二チームが出場した。今シーズン最後の試合ということで、良いかたちでレースを終えたいところだったが、4継、マイル共に決勝進出できず。大敗を喫し、「チームとしてはあり得ない状況だと思います」とマイルのエースである伊東利来也(スポ2=千葉・成田)は振り返った。ここから、冬季練習に入り鍛錬を積むことになる短距離ブロック。1、2年生を中心とした編成であるため、メンバー全員が来年もチームに残ることになる。この敗戦から立ち直ることはできるのか。来年こそ『リレーのワセダ』復活を果たしてほしい。

(記事 平松史帆)

★力遠く及ばず、予選敗退に終わる…


アンカーを務めた松本

 関東学生対校選手権、日本学生対校選手権共に予選敗退など、今シーズン目立った結果を残すことができていない4×100メートルリレー(4継)。シーズンラストとなる今大会で好成績を残し、有終の美を飾りたいところであった。だがしかし、今回も苦渋をなめるかたちとなった。課題となったのはバトンパス。1走の佐野陽(スポ1=埼玉・立教新座)から南山義輝(スポ2=福岡・小倉東)へのバトンのつなぎが少々詰まるなどし、少しずつ前方との差が開いていく。続く小竹理恩(スポ1=栃木・佐野)へのバトンが「向かい風ということもあって、(2走、3走が)届かなかった」(南山)と、強風に影響されてしまった。そしてその後も、じわじわと先頭との差が広まっていく。アンカーの松本朗(スポ1=福岡・戸畑)が必死に前を追うが、ゴールしたチームの中では最下位という結果に終わってしまった。

 メンバー4人中3人が1年生という若い力で挑んだ今大会。残念ながら好記録を出すことはできなかったが、このレースを通じて来季に向け課題がより明確になったとも言える。この悔しさをバネにし、来季にて4継メンバーの飛躍を期待したい。

(記事 藤岡小雪、写真 平松史帆)

★優勝を狙っていたマイルチーム。まさかの予選敗退に終わる


ゴール後、しゃがみ込む村木

 4×400メートルリレー(マイル)は優勝を目指して出場した。予選は小竹理恩(スポ1=栃木・佐野)、伊東利来也(スポ2=千葉・成田)、小久保友裕(スポ2=愛知・桜丘)、村木渉真(スポ2=愛知・千種)というオーダーで挑んだ早大。2走のエース伊東でリードを作り、その後は先頭でレースを進め決勝につなげる作戦だった。1走の小竹がまずまずの走りでバトンを伊東へ。しかし、このバトンパスで間が開き、小竹が転倒してしまう。伊東が走り出した時には最下位となっていた。伊東は徐々に前との差を詰め、先頭を追える位置で3走の小久保へバトンを託す。小久保は序盤から次々と前をかわし、2番でアンカー村木へ。村木はすぐさま前の住友電工と並び、残り200メートルで前に躍り出る。「やらなきゃいけないと力み過ぎてしまった」と、前半で必要以上に力を使ってしまった村木はラストで伸びを欠いてしまう。最後の直線で三チームにかわされてしまい、組4着でゴールした。

 「自分がレースを壊してしまった」(伊東)、「予選で敗退してしまったのは自分の責任」(村木)と選手たちは口々に自らを責めた。個々の走力は申し分なかっただけに、バトンや冷静さを欠いたレース運びなどミスが悔やまれた。今年のレースを振り返っても、バトンミスや冷静さを保てないレースが多く、若いチームであるがゆえの経験不足は否めない。走力はあっても強さはなかった。これで今季の戦いは終わり、冬季練習へと入っていく。3年生以下のチームであるため、来年もメンバーは変わらない。この経験を糧に、来季こそ対校戦での優勝なるか。もう悔しい思いはたくさんした。あとはこの敗戦から這い上がるだけだ。

(記事 平松史帆、写真 藤岡小雪)

★仲野、地元・福岡県で早大ラストレースを終える


表彰台に登る仲野

 「小さい頃からお世話になっている方々がたくさんいる大会なので」。仲野春花(スポ4=福岡・中村学園女)が早大ラストレースに選んだ大会は、地元・福岡県で行われた北九州陸上カーニバルだった。教育実習中ということもあり、なかなか練習を積めていなかったという仲野。3回のチャレンジで、1メートル75をクリアすることはかなわなかった。しかしそれでも他選手を圧倒し、1メートル72で見事優勝。地元の人々から祝福を受ける仲野の顔には、とびきりの笑顔が咲いていた。

 早大での陸上生活を、「人に恵まれた4年間だった」と振り返った仲野。卒業後は地元の福岡に帰り、実業団で競技を続ける。早大での経験を糧にし、これからも仲野は日本の女子走高跳界をけん引していく。

(記事、写真 藤岡小雪)

結果

▽男子4×100メートルリレー

予選

早大(佐野-南山-小竹-松本) 41秒07(1組8着)

▽男子4×400メートルリレー

予選

早大(小竹-伊東-小久保-村木) 3分10秒89(2組4着)

▽女子4×400メートルリレー

予選

早大 DNS

▽女子走高跳

仲野 1メートル72(1位)

コメント(4継メンバー)

南山義輝(スポ2=福岡・小倉東)

――今日の試合を振り返って

結果を見ると全然ダメでした。勝つ気でいたので。受け止めないといけないことですし、ワセダの4継は強いという周りの期待もあるので、それだけに集中してしまうのも違いますが、それを背負ってやらないといけないということを感じました。

――ご自身の走りを振り返って

向かい風が強くて、走りづらかったんですが、最後で追えるかなと思っていて。追えたんですが、練習通りにはいかないとバトンも含めて思いました。全体としては悪くなかったんですが、部分的には課題が残りました。

――2走という位置に関してはいかがでしょうか

もちろんエース区間ということで任されましたし、自分自身もチームでは年上ですし、エースでありながらリーダということで、僕が引っ張らなければいけないという気持ちでした。走順でも2走だったので、覚悟を持って出場した試合でした。

――バトンという話もありましたが、その面ではいかがですか

向かい風ということもあって、(2走、3走が)届かなくて。練習では詰まるくらいだったんですが。走る前は風が横風だったんですが、走るころには向かい風になっていて、それで届かなかったです。

――風は回ってましたね

そうですね。流しの段階では、横風で走れると思ったんですが、走ってみると出た瞬間で向かい風を感じました。

――外側には中大がいましたが、焦りなどはありましたか

それはなかったです。正直、あまり見ていなくて。小竹(理恩、スポ1=栃木・佐野)だけしか見ていなかったんで。

――見つかった課題はいかがですか

まずはリーダーとして、人間としての成長からかなと思います。

――今シーズンを振り返って

自分個人がケガで全然走ることができなくて。やっと出れるという日本選手権リレーで、一番リーダーという状況で。もちろん、そういう先輩には頼れるという気持ちはないと思います。自分の個人の結果としては今年良くなかったので、それが結果としてチームに影響が出てしまったのかなと思います。

――来シーズンの目標は

個人で10秒20というユニバーシアード出場です。リレーも関カレ(関東学生対校選手権)と全カレ(全日本学生対校選手権)で優勝を目指したいと思います。勝つということを、チーム全体でまとまって練習したいと思います。

佐野陽(スポ1=埼玉・立教新座)

――今大会の目標は

メンバー全員勝つという強い気持ちを持って、決勝に残って勝負したいというものでした。具体的なタイムでいうと、39秒60ぐらいの目標で。でもやっぱり力が及ばなくて、結果的に惨敗というかたちになってしまいました。気持ちの部分や個々の走力など、反省点はいろいろあるなと思います。

――ご自身の走りを振り返って

今まで何度か1走はやってきていて。技術的な面でいうと、遠心力を使ってコーナーを加速するという感覚は得られたんですけど、100メートルの走力をまだ全て出し切れていませんでした。それは冬季に向けての課題だと感じています。

――1走から2走のバトンパスについては

試合直前の練習で少しミスをしてしまっていて。そこは南山さん(義輝、スポ2=福岡・小倉東)ともコミュニケーションを取って臨んだんですけど、少し詰まってしまって。会話などでお互いの調子は分かっていたと思うんですけど、もっとできることはあったのではないかと感じています。

――隣のレーンに中大がいましたが、意識はしていましたか

中大が抜けていることは分かっていたので、それはあまり考えずに自分の走りに集中しました。

――レース全体として良かった点、悪かった点をあげてください

先週末に個人の試合が終わって、そこからリレーに向けてシフトして取り組んできたんですけど、その練習でやってきた走りはできたのは良かったと思います。悪かった点は、まずバトンパスの部分でコミュニケーションをもっと取れたということ。そして先ほども言ったんですけど、100メートルの走りがコーナーで作りきれていないので、いつでも自分の走りができるようにするということが今後の課題だと思っています。

――個人としての今シーズンの総括をお願いします

大学1年目ということで、環境や生活習慣が変わっていろいろと難しい部分がありました。でもそういうことを理由にしていては、逃げになってしまうので。自分自身スポーツ推薦で入学させていただいたのに、1年目に対校戦で点が取れたのは六大学(東京六大学対校大会)だけになってしまいました。チームに貢献することがなかなかできなかったということに関しては、すごく責任と悔しさを感じています。ただ全カレ(全日本学生対校選手権)が終わってから、最後の個人種目でシーズンベストを出して、動きの感覚をつかめて終われました。シーズンとしては悔しさと反省が残りましたが、来シーズンに向けては個人としていい終わり方ができたと感じています。

――来シーズンへの目標をお願いします

今シーズンは、10秒2台を出して世界ジュニア(U20世界選手権)に出場することを目標にやってきました。ですが実際はそれとは程遠い結果で、自己ベストも更新できませんでした。来シーズンは、個人として10秒2台を絶対に出したいです。そして関カレ(関東学生対校選手権)、全カレで、4継でも個人でも得点を取れるように、早大に貢献していきたいと思います。

コメント(マイルメンバー)

伊東利来也(スポ2=千葉・成田)

―― 今の思いは

今回、予選落ちで。正直、やるべきことができておらず、チームとしてはあり得ない状況だと思います。

――8位でバトンをもらったと思いますが、その時の心境は

バトンで自分がミスをしたというのは、バトンを持ったときは、ミスはミスで走りは走りで考えていました。走っているときは別物で考えていました。冷静な気持ちでは走れたと思うんですが、正直、バトンミスの時点で自分がレースを壊してしまったというのは、走り終わってから感じました。

――シーズンを通して振り返っていかがですか

自分の中でタイムが出たのは、去年と比べてレベルアップしたというのはあります。順位で見ると、どれも1位ではなく、タイムは出ていても強さというのはありませんでした。

――2年生ではあるんですが、チームを引っ張る立場ではあったと思いますが、重圧は感じていましたか

どちらかというよりは重圧を感じていたというよりも、エースという立場を自分の中で理解していたつもりではあったんですが、まだまだ甘かったかなと思います。3年生の宮川さんに頼り過ぎていた部分があったと思います。

――来季に向けて

リレーでは常に優勝というものを狙いたいと思います。個人では更なる記録向上というのと、優勝というのが一つでも多くとれるようにしたいと思います。

小久保友裕(スポ2=愛知・桜丘)

―― ご自身の走りを振り返って

自分のレースだけで言えば、前半でうまくスタートで加速できて、200メートル通過地点で3番手まで上げれて、その後直線で2番まで上がれたので、スムーズにレースを進めることができたのかなと思います。

――走りの中で焦りはありましたか

最後の切り替えの部分で、スムーズにできたらと思いました。もう少し、速めにスピードを切り替えていたら、一着で渡せたのかなと思いました。

――チーム全体の結果としてはいかがでしょうか

ミスが目立ってしまったのかなと思います。

――シーズン通して、個人ではいかがでしょうか

個人で言えば、来年につながるレースとなったと思います。

――来季に向けて

来年はユニバ―シアードがあるのでそれに向けて、ピーキングなり自分のやるべきことをやっていきたいと思います。

――チームとしては

個の走力は上がっていると思います。他人への干渉力を高めた方がいいかなと思います。

村木渉真(スポ2=愛知・千種)

――今の率直なお気持ちは

予選で敗退してしまったのは、自分の責任だと思っています。1走から2走でバトンを落としはしてしまったんですけど、その後2走と3走で順位を上げてくれたので。それを全部水の泡にしてしまって、本当に申し訳ないという気持ちです。

――リレーの編成が新しかったと思うのですが、理由はありますか

伊東(利来也、スポ2=千葉・成田)を2走に使って、先行して逃げ切ろうという想定でした。ただ想定外のことが起きたのと、ちゃんと自分が走れなくてこういう結果になってしまいました。編成面で大きな問題があったとは思いませんし、自分が一選手としてうまくやれなかっただけだと思っています。

――アクシデントが起きて、ご自身として正直動揺などはありましたか

想定と違うかたちで来るだろうなとは思っていたんですけど、(バトンを受け取ったのが)2番目だったということもあって、気持ちに焦りが出てしまいました。やらなきゃいけないと力み過ぎてしまって、いつも以上に最初からとばし過ぎてしまいました。

――2位でバトンを受け取り一度トップに立ったものの、そこから力尽きてしまうというレース展開になりましたが

入りの200メートルが、普段の400メートルのレースよりも0.6秒ぐらい速くて。だいぶ(速く)入り過ぎてしまいました。何も考えていない、焦りに身を任せたレースをしてしまったと反省しています。

――ゴール後伊東選手が駆け寄ってきましたが、どのような言葉をかけられたのでしょうか

お互い自分が悪いと思っていて。伊東からは、バトンを落として申し訳ないという話がありました。こちらからは、今回は明らかに自分の責任で、2位でバトンを持ってきてくれたのに遅れて申し訳ないという話をしました。

――試合後のミーティングではどのようなことを話したのでしょうか

今回のレースの反省点やこれまで試合に対してどう接してきたか、チームの関係性などについて話しました。

――来シーズンへの意気込みをお願いします

今シーズンは、最後こういったふがいない結果で終わってしまって。1回、自己ベストを出せたとはいえろくに結果も残せていないですし、チームに迷惑ばかり掛けてしまいました。これからは、安定して強い選手になりたいです。チームを支えられる主力の選手になります。

コメント(北九州陸上カーニバル)

仲野春花(スポ4=福岡・中村学園女)

――この大会に出場した目的や理由は

地元北九州の大会ということで、招待選手として呼んでいただきました。小さい頃からお世話になっている方々がたくさんいる大会なので、恩を返すことができたらと思い出場しました。

――実際地元で試合をして感慨深いものはありましたか

試合前後に競技場内でたくさんの人に声を掛けていただいて。「頑張っているね」と励ましていただけたので、すごく励みになりました。

――この大会に臨むにあたって、試合での目標などはありましたか

シーズン最後の大会ということで、いいかたちで締めくくることができたらと思っていました。ただ今は教育実習期間中ということもあって、しっかり練習が積めていない状況だったので、(記録は)こんなものかなと感じています。

――優勝いたしましたが、今のお気持ちは

記録は良くなかったんですけど、勝てたことに対してみんなにおめでとうと言っていただきました。優勝できてよかったと思います。

――少し前のことも質問させていただきます。最後の日本学生対校選手権(全カレ)は出場できませんでしたが、その時のお気持ちは

最後の全カレで3連覇が懸かっていたということもあって、他の人より思い入れがあったと思います。なんとしてでも出場するという気持ちで臨んだんですけど、7月にしてしまったケガの影響で本調子ではなくて。その状況で出るのは厳しいと判断して、棄権というかたちになりました。私にとって、陸上人生で一番悔しい結果だと思っています。

――その後国民体育大会に出場されましたが、ケガは回復したのでしょうか

ケガは順調に回復しました。ただその分練習が積めていなかったので、一番いい調子で試合を迎えることはできませんでした。

――今シーズン全体の総括をお願いします

前半シーズンは現状維持というかたちでした。自己ベスト更新を目指してやってきたんですけど、更新もできず。要所要所順位を取らなければいけないところでは(順位を)取れたと思うんですけど、ケガをきっかけに秋シーズンはふがいない結果ばかりでした。私にとっては悔しいシーズンでした。

――今年が大学ラストイヤーでした。早大での大学4年間を振り返って、今どう感じていますか

本当に4年間あっという間でした。振り返って感じることはたくさんあるんですけど、やっぱり人に恵まれた4年間だったなと思います。たくさんの人に支えていただいてここまで来られたかなと思うので、早大で陸上ができて私は本当に良かったです。

――早大の後輩へのメッセージをお願いします

全体的にまだ若いチームで、今後3年生以下の頑張りでまだまだ伸びしろがあると思います。来年以降活躍してくれたらうれしいですし、活躍できると思うので、私たちができなかったことを達成してほしいです。