今季J1も残すところ、あと5節。優勝争いは、川崎フロンターレとサンフレッチェ広島の2クラブに絞られたと言っていいだ…
今季J1も残すところ、あと5節。優勝争いは、川崎フロンターレとサンフレッチェ広島の2クラブに絞られたと言っていいだろうが、残留争いは大混戦だ。これから先は毎節のように、どこかのスタジアムで悲喜こもごものドラマが繰り広げられる。

過去に例がないほど、多くのチームが絡んでいる今季のJ1残留争い
昨季までは単純に下位3クラブ、つまり、16位から18位のクラブがJ2へ自動降格となっていたが、今季は17、18位の下位2クラブのみが自動降格。そして、16位のクラブはJ1参入プレーオフへ回り、J2のいずれかのクラブ(リーグ戦3位から6位までのクラブのうち、トーナメント方式のプレーオフを勝ち上がった1クラブ)と対戦する。これに勝てばJ1残留、負ければJ2降格となる。
つまり、昨季までは16位以下なら何位でも同じだったが、今季は16位に入っておけば、まだ自力で残留する可能性を残すことになる。
さて、現在の順位(第29節終了時点)だが、18位にいるのは、勝ち点28のV・ファーレン長崎。W杯開催による中断明けからの10戦で1勝8敗1分けと、大きく後れを取ったことが響いている。
かなり厳しい状況にあるのは間違いないが、言い換えれば、連敗を繰り返しながらも、16位の名古屋グランパスとは勝ち点3差、勝ち点で並ぶ14位の柏レイソル、15位のジュビロ磐田とも同5差。残留を争う他のクラブももたついているため、意外なほど差は開いていない。決して絶望的な状況ではないだろう。
長崎と同じく自動降格圏の17位に沈んでいるのは、勝ち点30のサガン鳥栖。降格危機を脱するべく、今夏の移籍市場でFWフェルナンド・トーレスを筆頭に、FW豊田陽平、FW金崎夢生などを獲得したものの、劇的な効果は見られていない。
とはいえ、最近10試合の成績は4勝3敗3分けと、それなりに安定。7連敗を喫するなど大きく低迷した前半戦に比べれば、はるかに調子は上向いている。このまま取れる勝ち点を確実に積み重ねていけば、道が開ける可能性は十分にある。
安定傾向の鳥栖とは対照的に、波が激しいのが、勝ち点31で16位の名古屋だ。
第15節終了時点では、18クラブ中、唯一のひと桁勝ち点(勝ち点9)で最下位に沈んでいたが、中断明けから一気に逆襲。第19節からの怒涛の7連勝で一時は11位まで順位を上げ、降格圏脱出はおろか、上位進出までうかがおうかという位置につけた。
ところが、第26節で最下位の長崎に連勝を止められると、今度はそこから3連敗で降格圏に逆戻り。強いのか、弱いのか、何ともつかみどころがない。単純に戦力だけを見比べれば、問題なく残留できるはずだが、あまりに大きい浮き沈みは気になるところだ。
名古屋同様に波が激しいのが、勝ち点36で12位のガンバ大阪。中断明けにいきなり連敗を喫するなど、第24節終了時点では、最下位の長崎と勝ち点で並ぶ17位に沈んでいたものの、その後、直近の5連勝で大きく巻き返した。
しかし、その戦いぶりは盤石とは言い難く、名古屋と同じような歩みをたどらないとも限らない。順位のうえでは、降格危機を抜け出した感もあるが、予断を許さない状況にある。
その他、残留争いのなかにあるのは、勝ち点35で13位の湘南ベルマーレ、勝ち点33で並ぶ14位の柏と15位の磐田。湘南が大きな波なく残留圏内をキープしているのに対し、心配なのは後半戦に入って順位が下降傾向にある柏と磐田だ。
2カ月の中断に入る第15節終了時点では、磐田は8位、柏は9位につけながら、気がつけば、J2降格がちらつくふた桁順位である。
最近10試合の成績も、磐田が2勝5敗3分け、柏が4勝5敗1分けと似たような状況にある。現在の順位では残留圏内にいるものの、順位の推移を見ると、少々不安になるところだ。
ここまで18位から12位までの7クラブを挙げたが、とにもかくにも今季J1は大混戦だけに、どこまでを残留争いに含めるかは判断が難しい。現実的な可能性としては、勝ち点38で10位の横浜F・マリノスまで、というところだろうか。
正直、今後の展開を予想するのは難しいが、カギを握りそうな要素を3つ挙げておきたい。
ひとつ目は、試合日程の違いだ。
これまでに見てきた順位と勝ち点は、第29節終了時点でのものだが、実は各クラブの残り試合数には差がある。というのも、悪天候の影響によって開催が延期されている試合があるからだ。
ここまでに挙げてきたクラブのなかでは、湘南と磐田が1試合、名古屋が2試合を、他よりも多く残している。残り試合が多い分、より多くの勝ち点を得る可能性があり、一般論で言えば有利な状況にあると言える。
だがその一方で、これから先、他クラブよりも多くの試合をこなさなければならない分、日程は厳しくなり、肉体的負担も大きくなる。それを考えると、一概に有利とばかりも言い切れないだろう。
また、湘南と横浜FMは、ルヴァンカップで決勝に進出している。他のクラブが試合のない週に試合をする負担はあるが、優勝すれば勢いに乗れる可能性もある。
ふたつ目が、11月16日、11月20日に日本代表戦が行なわれるため、J1の開催が1週空くこと。
一昨季は直近の3試合を2勝1分けで中断期間を迎えた名古屋が、勢いを削がれる形となり、最後に2連敗して降格の憂き目に遭っている。残り2節の段階で入る、”ミニ中断期間”をいかにうまく乗り越えるかがポイントになる。
そして最後に、J2町田ゼルビアの動向だ。
下位2クラブが自動降格、16位がプレーオフに回るのは既述のとおりだが、J1昇格に必要なライセンスを有しない町田が、J2で2位以内に入った場合、話は変わってくる。
その場合、3位のクラブが繰り上がりで自動昇格の権利を得ることはなく、自動昇格は1クラブのみとなる。これにともない、J1から自動降格するのは18位の1クラブのみとなり、17位のクラブがプレーオフに回り、16位は残留が確定する。
つまり、町田がJ2で2位以内に入ってくれれば、J1からの降格枠がひとつ減ることになるのだ。町田は第37節を終え(1試合未消化)、首位と勝ち点1差の2位につけており、そのまま2位以内に入る可能性は十分。今季J1の残留争いにおいては、J2の結果も大きなカギを握っている。