平野美宇 張本智和 写真:西村尚己/アフロスポーツ


 全32競技で熱戦が繰り広げられた「ユース五輪2018」<9月6~18日/アルゼンチン・ブエノスアイレス>が幕を閉じる。原則15~18歳を対象とした卓球競技の日本代表として同大会に初出場した張本智和(JOCエリートアカデミー)と平野美宇(日本生命)は、男女シングルスと混合団体(男女シングルスおよび混合ダブルスの計3試合で2勝先取制)でいずれも銀メダルを獲得し、計3個のメダルを日本に持ち帰った。

 この活躍ぶりは称賛に値するものだが、「打倒中国」を掲げ金メダル獲得を誓っていた本人たちは、その中国に金メダルを3個とも奪われ、悔しさのほうが勝るほろ苦い大会となったようだ。ちなみに本家の五輪同様、ユース五輪の開催も4年に1回。したがって現在15歳の張本と18歳の平野はこれが最初で最後のユース五輪となる。

 ユースといえど「五輪」の付く大会で同世代の選手に負けた2人の悔しさは想像に難くない。特に女子シングルス決勝と混合団体決勝の両方で同い年の孫穎莎(中国)に敗れた平野は、混合団体1試合目のシングルス(3ゲーム先取制)でゲームカウント2-1とリードし、迎えた第4ゲームで5回のマッチポイントを握りながら逆転を許した。勝敗を分けた、場面について孫穎莎はこの第4ゲームを挙げ、「平野選手のプレーはとても良かったが、彼女が9-7リードでサーブミスをした時、彼女がそのポイントをどうしても欲しがっているのがわかった。それを見てまだ逆転のチャンスはあると感じた」と試合後に語っている。

 つまり平野の「焦り」を感じ取り、そこに付け入って相手を崩すことに成功したというわけだ。

 これに対し平野自身はどうだっただろう。孫穎莎の言う通り焦りがなかったわけではないだろうが、2017年4月のアジア選手権で当時中国のトップ3(丁寧、朱雨玲、陳夢)を倒して優勝して以来、中国人選手になかなか勝てず行き詰まりを感じていた時期、2018年3月にプロ宣言をして練習環境を変え、現在は復調の真っただ中にいる。一時は自信を失い「卓球を辞めたい」とさえ思ったというが、再び競技と向き合う今は「卓球が楽しい」と言う。

平野美宇 西村尚己/アフロスポーツ


 平野の精神面と技術面、そして最大の課題に挙げる戦術が噛み合うまであと一歩といったところ。ユース五輪でも彼女なりに考え試した戦術やプレーも多々あり、決して後ろ向きな敗戦ではなかったと見る。平野がかつての勢いを取り戻す日もそう遠くないはずだ。

 一方、張本に関しては、男子シングルス決勝で負けた王楚欽(中国)に混合団体の男子シングルス決勝で勝ち、同じ大会でリベンジを果たした意味は大きい。張本も自身のSNSで「結果にはもちろん満足してません。でも、団体では個人戦のリベンジができたのは唯一の収穫です」と話している。また、王楚欽は張本との一戦を振り返り、「(シングルスの時とは)戦術を変えてくると思っていたが、想像以上で対応できなかった」と語っている。

張本智和 写真:AP/アフロ


 張本はブエノスアイレスから一路、フランス・パリに向かい、19日に開幕する男子ワールドカップに臨む。大会は21日までの3日間。日本からはもうひとり丹羽孝希(スヴェンソン)が出場する。さらに翌週は24日にいよいよ開幕を迎える卓球プロアマ混合リーグ「Tリーグ」に出場するという過密スケジュールだ。

(文=高樹ミナ)