「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」小園海斗(こぞの・かいと)報徳学園178センチ 79キロ内野手 右投右打2000年6月7日生まれ【写真提供=共同通信社】 『日本一のショート』。帽子のひさしに書き込み、グラブにも刺繍を入れている。今年の…

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

小園海斗(こぞの・かいと)報徳学園
178センチ 79キロ
内野手 右投右打
2000年6月7日生まれ
【写真提供=共同通信社】

 

『日本一のショート』。帽子のひさしに書き込み、グラブにも刺繍を入れている。

今年の高校生野手は遊撃手にスーパー選手が揃っていた。その中でのトップランナーは小園ということになるだろうか。U18侍ジャパンに2年連続で選ばれ、9月に行われた宮崎のアジア選手権でショートのポジションを堅持し、世代代表を印象付けた。

 しかし、その宮崎で最重要試合の韓国戦で致命的な三つもの失策を犯す。イップス的にゴロが飛んでくると体が硬直していた。名手もまだ、高校生だったということか。
 強肩(遠投110メートル)と俊足(50メートル5秒8)で守備範囲は驚くほど広い。甲子園では土と外野の芝生の境目辺り、むしろ芝生の上で守った。高校生クラスではお目にかかったことのない位置だ。

相手の攻撃を終えてその定位置から自チームのベンチに駆ける姿が最高に格好いい。大きなストライド。前傾した上半身が揺れない。上下動がないから跳ねているように、きれいに見えるのだ。

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 夏の甲子園、初戦の聖光学院戦。1番に座り回の先頭打者で打席に入ると3本の二塁打で出塁した。2番がバントで送り、3番がその都度、ホームに迎え入れて3対2で勝利した。3本の二塁打は左右に飛ばしたもので、バットコントロールの巧さを見せた。
 加えて下級生の頃よりパワーがついた。「冬からお米をたくさん食べて体重を増やした」と食育も生きた。夏の東兵庫大会、大一番の滝川二戦でバックスクリーンに決勝2ランホームランを放った。
 また、8月の大学侍ジャパンとのアジア選手権壮行試合では、ドラフト1位候補の日体大・松本から木製バットでホームランを打って対応力も見せた。高校通算本塁打は38本。
「立浪(元中日)級。足と守備はすぐにでもプロで通用する。2000本安打、ゴールデングラブを毎年取るような選手になる」。そんな声が聞こえてくる。

 宝塚市出身で枚方ボーイズでは全国優勝を経験。U15代表として世界一にも輝いている。報徳学園では1年春から1番ショートでレギュラー。いきなり春の県大会で25打数10安打のデビューだった。2年センバツは18打数9安打1本塁打でベスト4。3年の夏は12打数4安打でベスト8だった。
 打席に入るとグラウンドの雰囲気が変わる。夏の愛工大名電との2回戦、0対1で迎えた三回2死走者なし。小園が振り逃げで出塁すると相手チームが浮足立った。二盗と安打の後、投手が暴投して同点のホームイン。そこからエラーや三連続四死球などで大量点になって試合を決定づけた。

帽子の書き込みやグラブの刺繍以上の何か。存在感そのものを既に漂わせている。

(文・清水岳志)