日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズ(CS)がついに始まる。セ・リーグは、ファーストステージでヤクルトと…

 日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズ(CS)がついに始まる。セ・リーグは、ファーストステージでヤクルトと巨人が対戦。その勝者がセ・リーグ3連覇を達成した広島と戦う。昨年はシーズン3位のDeNAがファーストステージで阪神、ファイナルステージで広島を下し、日本シリーズへと駒を進めた。果たして、今年も”下剋上”は起こるのか。西山秀二氏、野村弘樹氏、門倉健氏の3人の解説者にCSセ・リーグの行方を占ってもらった。



今シーズン、15勝(8完封)と圧倒的な数字を残した巨人・菅野智之

 まずファーストステージで戦うヤクルトと巨人の今シーズンの対戦成績は13勝11敗1分と、それほど大きな差はない。この両チームの戦いにおいて、ポイントはどこになるのだろうか。西山氏の見解はこうだ。

「ともに1点を守り切るというチームではないので、やはり打ち合いになるんじゃないかと思います。ヤクルトは3度目のトリプルスリーを達成した山田哲人、セ・リーグ打点王がほぼ確実のバレンティンを軸に、破壊力のある打線が強みです。一方の巨人も、4年目の岡本和真が大ブレイクし、ここにきてベテランも調子を上げている。1点勝負の展開にはならないような気がします」

 一方、野村氏と門倉氏は、投手の出来が勝敗のカギを握るという。

「レギュラーシーズンに比べて短期決戦はリードも慎重になりますし、それほど打ち合いになるイメージがありません。投手陣の出来が勝敗を大きく左右するような気がします。とくにヤクルト・ライアン(小川泰弘)、巨人・菅野智之の両エースのピッチングは重要になると思います」(野村氏)

「もちろん先発は大事ですが、短期決戦は早め早めの継投になります。理想は先発が6~7回を投げて、あとをリリーフに託す展開ですが、それは本当に難しい。そうなると、ミドル、ロングを投げられる投手が必要になります。そのポジションを誰にするのか、継投のタイミング、ベンチワークも重要になってきます」(門倉氏)

 ファーストステージ初戦の先発だが、ヤクルトが小川、巨人は今村信貴と発表された。今シーズン、小川は対巨人戦に5試合先発して4勝0敗、防御率1.53と”ジャイアンツキラー”ぶりを発揮した。一方の今村はヤクルト戦に1試合登板して0勝1敗、防御率4.26。巨人はシーズン最終戦で登板した菅野の疲労を考慮してのことだろうが、野村氏は次のように語る。

「菅野がリリーフ登板した10月9日の阪神戦は、点差もありました(5点差)し、無理に投げさせる状況ではなかったと思います。それでも登板させたのは、端からCSファーストステージは2戦目に菅野と決めていたのかもしれません。ファーストステージは超短期決戦ですので、初戦の重要性は言うまでもありません。ただ巨人としたら、苦手としているライアンに菅野をぶつけるよりも、2戦目に待機させて確実に勝つ。しかも2戦目に菅野が控えているということで、小川にプレッシャーをかけることもできる。2戦目に菅野という選択肢は”あり”だと思います」

 西山氏も続く。

「巨人ベンチは3戦勝負になると想定しているのかもしれません。仮に、初戦で落としても菅野がいる。もし初戦を取ることができれば、連勝の可能性が高まる。そうなるとファイナルステージの1戦目にメルセデスを先発させられる。1戦目にエースが投げないというのは消極的な作戦に見えますが、巨人ベンチは大勝負に出たと思いますね」

 また巨人は、高橋由伸監督が10月3日に今シーズン限りでの辞任を発表。それ以降は2試合だけだが、ともに快勝。チームの雰囲気も変わってきたように見える。高橋監督の辞任は大きな影響を及ぼすのだろうか。

「高橋監督が辞任を発表し、そこから一体感が生まれたのは間違いないです。とくにベテラン選手は少なからず責任を感じているはずでしょうし、『高橋監督のために』と思っている選手は多いと思います。もちろん、チームがまとまったからといって勝てるわけではありませんが、マイナスにはなっていないと思います。ヤクルトにとっても、そこは要警戒じゃないでしょうか」(門倉氏)

 シーズン同様、激しい戦いが繰り広げられそうだ。そしてファーストステージの勝者が広島と戦うが、今季の対戦成績はヤクルトが6勝19敗、巨人が7勝17敗1分と、ともに大きく負け越している。数字だけ見れば広島の勝利で終わりそうだが、それぞれ予想はこうだ。

「今年に関しては”下剋上”はないでしょうし、あってはならないと思います。今シーズンの広島打線はどの投手がきても、ある程度得点できます。ヤクルト、巨人の先発陣を見ても、完璧に抑えられそうなのは菅野ぐらい。3連勝できるかどうかはわかりませんが、普通に勝ち抜いて日本シリーズに進むと思います」(西山氏)

「ヤクルト、巨人ともに投手陣の層が厚くないので、広島打線を抑えるのは至難の業だと思います。ファーストステージでどちらのチームが勝ち上がってくるかわかりませんが、2戦連勝でファイナルに進まないと厳しいかもしれないですね。うまく連勝で勝ち上がってきたとして、ようやくいい勝負ができるかも……というイメージです。広島は去年の悔しさもあるし、今年こその思いは強いはず。今年に関しては、簡単に負けないと思います」

「シーズンとCSは別物と言いますが、これだけ差は簡単に埋まるとも思えません。とくに広島打線は一発もありますし、機動力もある。どこからでも得点できるのは最大の強みです。苦戦することはあっても、最後に勝つのは広島かなと思います」(門倉氏)

 2位のヤクルトに7ゲーム差をつけ、巨人とは13.5ゲーム差。”広島圧勝ムード”が漂うが、あえて不安材料を挙げるとすれば、どこになるのだろうか。

「今シーズン15勝を挙げ、菅野とともに最多勝の大瀬良ですが、9月1日以来、白星がありません。もちろん、打線の援護に恵まれなかった試合もありますが、ボール自体、前半戦のよかった時のような強さを感じません。おそらく広島ベンチは、ポストシーズンは大瀬良を軸で考えていると思うのですが、このまま勝てないとなると……不安ですよね」(西山氏)

「シーズン終盤、やや落ちてきた印象があります。それまでがうまく行き過ぎていたのかもしれませんが、広島というチームは不安の投手陣を打線がカバーして勝ってきました。その戦いができないと苦戦するかもしれないですね。とはいえ、広島は3敗できるわけですから、焦る必要はありません」(野村氏)

「初戦の入り方だと思います。試合勘も多少は鈍っているでしょうし、昨年負けていることもあって独特の緊張感のなかで戦わないといけない。そのなかでどれだけ普段どおりのプレーができるかどうかが重要になってきます。個人的に注目しているのは、初戦の先発を誰にするか。今季15勝を挙げた大瀬良大地なのか、それとも調子を上げてきたジョンソンなのか。今年1年間頑張った大瀬良に託したい気持ちも理解できますが、個人的にはジョンソンが面白いと思っています。ここを取れば一気に決まる可能性があります」(門倉氏)

 3者とも広島有利と予想したが、何が起こるのかわからないのがCSの面白さであり、怖さでもある。果たして、CSを勝ち上がるのはどのチームなのか。セ・リーグCSファーストステージは神宮球場で18時にプレーボールする。