「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

 

泉圭輔 いずみ・けいすけ
金沢西高→金沢星稜大
投手・右投右打・187センチ81キロ・1997年3月2日生(21歳)

 

 

 

 これまでの21年間すべてを石川県で過ごし、全国大会に出たのも小学5年時のみで控えの野手。そんな檜舞台とは無縁だった右腕が現在大きな注目を集めている。
 長身と柔軟性を生かしたフォームから、伸びやかな球筋のストレートを投じ、最速は146km/h。左打者の外角に逃げるように落ちるツーシームも武器で、ポーカーフェイスで淡々と打者を打ち取っていく。

 それは一世一代の舞台でも変わらなかった。8月19日の青山学院大戦には10球団30人のスカウトが集結した。オープン戦であるため、スタンドにはほぼスカウトしかいないという独特な緊張感に包まれていた。しかし、泉は普段通りの投球で甲子園経験者がズラリと並ぶ打線を5回1安打無失点に抑えて見せた。ある担当スカウトは「(スカウトや編成を取り仕切る)上層部の人間を連れて行って良かったよ」と目尻を下げた。

 普段の話し口は穏やかで、1年前までしていたというすき家のアルバイトも板についていたことは容易に想像がつく。一方で北川良監督が「おとなしそうだけど芯が強いんですよね」と評するように、意志の強さは随所に感じられる。
高校は谷内亮太(ヤクルト)の姿に憧れ金沢西に進学。谷内も育成した井村茂雄監督(現金沢桜丘監督)から体の使い方と取り組む姿勢について丹念に繰り返し教え込まれ「理解力が高く(吸収がよく)身体で表現するのが早かったです」と井村監督は振り返る。大学も県外から特待生の話もあったが「いくら特待生でも県外はお金がかかるので」と地元の金沢星稜大に進んだ。
 そして1年秋から白星を積み上げる中で、3年秋にはプロ志望届を出さないことを条件に強豪社会人からオファーがあったが、それを断りプロの世界に飛び込むことを決断。北川監督が「NPBに行きたいという強い気持ちが良い方向に出ています」と称えるように、球質もさらに上がってきており、「球を扱うセンスが良い」「1年間しっかり練習ができれば上(一軍)でも使えるようになりそう」とスカウト陣はその伸びしろの大きさに期待を込める。
 泉も「10年、20年と活躍できる選手になっていきたいです」と高い目標を掲げる。自他ともに認める無限大の可能性を持つ無名の大型右腕の行く先を決める運命の日は、もうまもなくだ。

文・写真=高木遊