東京六大学野球秋季リーグ戦対慶大1回戦 2018年10月1日(月) 神宮球場 試合は5回裏に決まった。小原和樹に逆転の2ラン本塁打を許すと、そこから打線は変化球を上手く織り交ぜる慶大の投手陣を攻略できない。初回に川口凌(人4)の適時打でも…

東京六大学野球秋季リーグ戦対慶大1回戦
2018年10月1日(月)
神宮球場

試合は5回裏に決まった。小原和樹に逆転の2ラン本塁打を許すと、そこから打線は変化球を上手く織り交ぜる慶大の投手陣を攻略できない。初回に川口凌(人4)の適時打でもぎ取った1点以降、得点することは叶わず。法大ナインも善戦したが、終始慶大のペースで試合は終了。まさに、『2連覇』の実力を見せつけられる結果となった。

戦評
同率首位で迎えた慶大との直接対決。12季ぶりの優勝の行方を左右する大事な初戦だったが、法大は1球に泣き、1-2で惜敗した。

法大は三浦銀二(キャ1)、慶大は髙橋佑樹が先発。先制したのは法大だった。1回表、今季頼れるリードオフマンに成長した宇草孔基(営3)が中前二塁打を放つと、小林満平(法4)の捕犠打と2つの四球で2死満塁とする。ここで今季絶好調の川口凌(人4)が髙橋佑の内角高めの直球を弾き返すと左翼手・柳町達の前にポトリ。

一時先制打を放った川口凌

二塁走者の中山翔太(人4)は柳町の本塁送球で本塁憤死となったが、三塁走者の宇草がホームイン。幸先よく1点を先制する。

先発の三浦は140㌔中盤の直球を中心に強力慶大打線を4回までわずか2安打無失点に抑える。一方、法大打線は髙橋佑から3、4、5回と先頭打者を出すも、慶大の好守備に阻まれ、追加点を奪えない。息詰まる投手戦のなか、今季2勝目の権利がかかった5回裏、三浦が1死一塁で、この試合で好守備を披露していた7番・小原和樹を打席に迎える。真ん中高めに浮いた直球を捉えられると、打球は無情にも左翼席へ。小原の1号2ラン本塁打で1-2と慶大に逆転を許す。さらに6回、内野安打と2つの四死球で2死満塁のピンチを作り、三浦はマウンドを降りた。1年生右腕は小原の本塁打について「気の緩みがあった」と唇を噛んだ。このピンチでマウンドに立ったのは石川達也(キャ2)。嶋田翔から鮮やかに空振り三振を奪い、絶体絶命のピンチを脱する。さらに8回裏には3番手の朝山広憲(法3)が1死二塁の窮地を迎えたが、後続を絶ちきり、法大の逆転劇へ望みをつなぐ。しかし、法大打線は髙橋佑樹、髙橋亮吾のリレーの前に2回以降2安打無得点と沈黙。投手陣の粘りは勝利へつながらなかった。

二度の好機でいずれも空振り三振に倒れた向山基生(営4)主将は「明日は野手陣で打ち崩せるように、良い入りができるようにやっていきたい」と前を向いた。台風が過ぎ去った神宮に、明日こそオレンジ旋風を吹かせたい。(藤原陸人) 

クローズアップ:川口 凌

4年生にとってラストシーズンとなる今季、川口凌(人4)の勢いが止まらない。

初回、二塁打と四球などで2死満塁の好機を作った場面で打席へ向かった。「絶対に打ってやろう」。狙い球ではなかったものの、初球の甘く入った直球を左前にはじき返し、先制の適時打に。これで打点はチームトップタイの5となった。

好調を続ける川口だが、昨季の打率は.163。目標としていたベストナインには遠く及ばず「もう最悪」と振り返った。しかし、今季は開幕戦から猛打賞の活躍。その後もバットからは次々に快音が響いている。この要因について川口は「気持ちの効果」と語った。「最後のリーグ戦、後悔のないように」という意識で打席に立つことで、現在.385の打率をマークできている。6番打者でありながらコンスタントに安打が出ており、法大打線にとって間違いなく心強い存在だ。

ここ数試合は主軸が苦しんでいる状況だが、川口は「あいつらは絶対に打ってくれる」と仲間への信頼を欠くことはない。大学野球ができるのは明治神宮大会を含めても、残り約1カ月。最上級生としての強い思いを胸に、下位打線からチームを支える。

(渡辺詩織)

選手インタビュー

向山 基生 主将
-空き週を挟んでの首位対決となりましたが、どのように臨んだ
慶応は連覇しているチームなので、受け身にならず、チャレンジャーの気持ちを持って初回から入っていこうとやりました。

-その初回に先制点を挙げました
自分が犠牲フライをあげられなかったので、川口(凌)が打ってくれて、初回は良い入りができたなと思います。

-そこから逆転負けという形になりましたが
三浦は毎試合頑張ってくれているので、野手がもう少し早い段階で追加点を取ってあげないと苦しいピッチングになると思います。なので、明日は打者が奮起したいと思います。

-ご自身は4打席無安打でした
なかなか相手も打たさないように投げてくるので、調整して明日打ちたいと思います。

-ミーティングではなにを話した
野手陣が奮起してほしいということと、チャンスの場面でどんどん振れるように準備してほしいということを、ミーティングしました。

-明日の試合では、森田(晃介)選手や菊地(恭志郎)選手など、様々なピッチャーの登板がありそうですが、どう戦いたい
(みんな)良いピッチャーだと思うので、しっかりミーティングで対策を練って、明日は野手陣で打ち崩せるように、良い入りができるようにやっていきたいです。明日は絶対に勝ちます。


川口 凌 内野手
-今日の試合を振り返って
こういう1点差の試合を勝ちきれないと勝ち点はもちろん(取れないし)、優勝はできないと思うので、明日は野手陣が何とか頑張って勝ちたいなと思います。

-勝ちきれなかった要因とは
ミーティングの中では、慶應がバッティング練習から今日はいつもの慶應とは違う雰囲気で入ってきているのに対して、僕たちは空き週があって(試合への)入り方が向こう(慶大)よりちょっと受け(に入っ)てしまっていたかなという話があったので、そういう部分だと思います。

-初回に先制打を放ちました
変化球を狙っていたんですけど、真っ直ぐが甘く入ってきたので、バットを出したらたまたま良いところに飛んでくれたので、それはラッキーかなと思います。

-打席に立つ上で意識したことは
チャンスだったので、先制点というのは非常にチームにとっても大きいものになると思いますし、『絶対に打ってやろう』という気持ちで打席に入りました。

-主軸が苦しんでいる状況ですが、川口選手はどのような働きをしていきたいか
主軸のやつらは絶対に大事な場面で打ってくれると思うので、僕たちは下位打線になればなるほどいやらしくじゃないですけど、相手チームにとって嫌な打線になっていきたいと思います。

-明日に向けて
もう負けられないので、とにかく勝ち点をしっかり取ることと、目の前の1試合を勝ちきることを全員で意識してやっていきたいと思います。


中村 浩人 捕手
ー今日の試合を振り返って
1点差の試合を落としてしまったというのが、とても悔しいです。

ー先発の三浦銀二(キャ1)投手の調子は
良くも悪くもないという感じでした。序盤、うまくゼロに抑えられていたのですが、1球に泣いたという感じです。

ー1週間日程が空きましたが、どのような調整を
勝ち点2を取れたということで、その良かったところと、悪かったところをミーティングで話し合ったり、慶應の対策をしっかりしたり、ということをして臨みました。

ー個人としては1安打を放ちました
先頭打者だったので、出塁しようという思いで打席に立って、打つことができました。9回の打席も、延長がないとわかっていて、2点取らなければいけない状況だったので、安打で塁に出ようと積極的にいきました。

ーリリーフ陣は安定した投球を見せています
本当に、いろいろな修羅場をくぐってきている2人なので、信頼しています。明日以降も、バッテリーとして頑張っていきたいと思います。

ー次戦に向けて意気込みをお願いします
明日は絶対に勝ちます。


宇草 孔基 外野手
-今日の試合を振り返って
慶應戦は初戦を全員で取ろうという形で入ったので、負けてしまって悔しいのですが、もう気持ちは切り替えています。

-1,2打席目、先頭打者として安打を放ちました
慶應は2連敗していて、僕たちはチャレンジャーなので、思い切って、しっかり1球目や1打席目を意識しながら攻めていこうと思っていたので、あのようなヒットや走塁につながったのかなと思います。

-3,4打席目で2打席連続三振でした
3打席目は仕方ないなって思うのですが、4打席目で高橋(亮吾)が出てきた時に、思ったより真っ直ぐがきて。でも初めて対戦したので、見れて良かったなという感じです。

-全体的に打撃結果に差があるように思われます
自分の中では常にいつも通りという感じです。三振はしてしまったのですが、原因もしっかり分かってますし、内容がとても悪かったわけではないので、気にしすぎずに捉えています。

-慶大対策
チームとしては受けないで攻めていくってことで、ピッチャーに関しては色々対策しました。

-明日の試合に向けて
もう勝つしかないのでまずは明日の1戦ですね。明日から2連勝、とか負けられないとか考えるのではなくて、切り替えて頑張りたいと思います。


三浦 銀二 投手
-空き週を挟んでの登板でしたがどのように調整してきましたか
試合前は悪くはなかったと思います。

-5回2/3を2失点という内容でした
回を追うごとに制球が乱れましたし、甘い球も多くなってきて、そこは反省すべき点だと思います。

-5回裏に小原(和樹)選手に本塁打を打たれた場面を振り替えって
自分の気持ちの中で少し気の緩みがあったと思うので、これから気を付けたいです。

-慶大打線から受けた印象は
他大学と同様、一人ひとりに気が抜けなくて、本当に気が抜けたら今日みたいにやられてしまうので、次に登板する機会があったらしっかり投げたいと思います。

-今日はとても暑い中での試合でした
暑いので汗の量とかも多くて、すぐにバテると思うので、球数は少なくいこうと思いました。

-次戦へ意気込みを
次はしっかり自分の投球をしたいと思います。



フォトギャラリー

先発し、5回3分の2を2失点の三浦
初回に得点につながる安打を放った宇草
犠打で好機を広げた小林
安打も放ち盗塁も刺すなど攻守にわたり好調の中村浩
5回裏のピンチの場面でのバッテリーと青木久典監督(左)
救援登板し、満塁のピンチをしのいだ石川
8回裏を無失点に抑えた朝山
最後は代打の吉岡郁哉が粘りを見せるも凡退