長田智希(スポ1=大阪・東海大仰星)と河瀬諒介(スポ1=大阪・東海大仰星)。黄金世代の東海大仰星高からやってきた二人は、1年生ながらAチームでスタメン出場を果たすなど、すでに頭角を現している。勢いそのまま自身初となる関東大学対抗戦(対抗戦…

 長田智希(スポ1=大阪・東海大仰星)と河瀬諒介(スポ1=大阪・東海大仰星)。黄金世代の東海大仰星高からやってきた二人は、1年生ながらAチームでスタメン出場を果たすなど、すでに頭角を現している。勢いそのまま自身初となる関東大学対抗戦(対抗戦)でも活躍が見込まれるお二人からお話を伺った。

※この取材は9月3日に行われたものです。

大学生になって


FBとして対抗戦デビューも果たした河瀬

――お二人は同じ高校出身ですが、初めて会ったのもその時ですか

長田・河瀬 そうですね。

――クラスは同じだったのですか

河瀬 いや、クラスは一緒になったことないです。

長田 3年間全部違うクラスでした。

――ではラグビー部に入部した時に初めて会ったということですね

河瀬 そうですね。

――その時のお互いの第一印象は覚えていますか

長田 あんまり覚えてないな。

河瀬 色が元々黒かったんで。すごい黒いやつおるな、とは思いました(笑)。

――早大入学の経緯は

河瀬 僕はラグビーをする環境がすごい整っているという部分で決めました。人工芝のグラウンドと、天然芝のグラウンド1面があるっていうのが魅力だなと思ったのと、あと早大の展開ラグビーっていうのに惹かれて。高校も展開ラグビーをしてて、僕も展開ラグビーが好きなので。それが決め手でした。

長田 僕も同じような感じになるんですけど。ワセダのやってるラグビーというのが僕に合っているかなと思って、ここを選びました。

――大学に入ってみてそのイメージと実態とで違う点はありましたか

長田 いや、そんなに。

河瀬 同じでしたね。

――では高校と大学とで違う点はどのような所でしょう

河瀬 自由な時間が増えましたね。高校の時は練習がずっとあったりしてたんですけど、大学に入ってからはオフも週1回あって、リカバリーする時間であったり、自分で体調を整える部分が違いますね。

長田 ラグビー面で言うと、違うところは試合の時間が違ったり、大学生だとフィジカルの面だったりで大きな差があるとは感じます。

――ラグビー以外の面では

長田 うーん、一緒のような感じですかね。まぁ寮に入ったというところは違います。高校時代は自宅から通ってって感じだったんで、寮にいることでラグビーをより考えられる環境にいられるみたいな。ウエイト場にすぐ行けたりだとか、グラウンドがすぐ前にある環境というか。ラグビーに熱中できる環境にいます。

――お二人はどの先輩と同じ部屋なのですか

長田 僕は3年生の中野将伍さん(スポ3=福岡・東筑)と、4年生の伊藤大貴さん(スポ4=愛知・春日丘)の三人部屋です。

河瀬 僕は3年生の齋藤直人さん(スポ3=神奈川・桐蔭)と二人部屋ですね。

――同じ部屋の方と遊びにいったりはしますか

長田・河瀬 それはあんまりしないですね。

――1年生同士での方が遊びに行くことは多いですかね

河瀬 そうですね。

――お二人はどこか遊びに行かれましたか

河瀬 丁度きょう1年生で原宿から渋谷まで歩きました(笑)

――渋谷にはよく行かれるんですか

河瀬 よく行く訳ではないですけど(笑)たまに出かける程度です。

『ワセダ』でプレーするということ


落ち着いて質問に答える長田

――では競技のことに戻ります。お二人ともすでにAチームで出場をされていますが、早大を背負って試合をするということに関して思うところはありますか

長田 一番感じるのは100周年という歴史のある年なのもありますけど、応援してくれる方がたくさんいるので、そういうところではやっぱり責任を感じます。1年生として出ているので、周りの出られない先輩方にこいつが出ても大丈夫だなと思って頂けるようにできたらいいと思います。

河瀬 僕も100周年という伝統のあるチームでスタートから出させて貰えるということはすごい感謝していますし、1年生なのでがむしゃらにプレーするだけかなと思います。

――ポジションについてお伺いします。長田選手はCTBが多いですが、CTBをやるにあたって気を付けていることはありますか

長田 CTBっていうのは最初のところでタテについたりだとか、ディフェンスで重要な部分が多くて、攻守で重要な役割を果たすポジションだと思うので。そこでしっかりアタックでもディフェンスでも体を張って、あとチームで今ゲインラインの攻防というのが一つのテーマとしてあるんですけど、そこの部分でハードワークして貢献しようというのは考えてやってます。

――先日の合宿の東海大戦ではWTBでも出てらっしゃいましたが、どういう経緯でそうなったのでしょうか

長田 経緯というか、WTBというポジションなんですけど、CTBの時と求められていることがあまり変わらなくて。WTBというポジションでもディフェンスだったりアタックだったりの両方でゲインラインの攻防をしっかりするということを求められていると思うので。そういう感じでした。

――河瀬選手はFBをする点で気を付けている点などは

河瀬 特にディフェンスの面で、後ろからの指示が大事になってくると思うので。WTBの選手とSOの選手としっかりコミュニケーションとって連動してやっていくというのと、あとアタックの部分では、自分がどうWTBにラストパスを投げるのかとか、自分から仕掛けて誰がトライを取るのかっていうのを意識してやってます。

――FBはキックが必要になる場面も多いと思いますが

河瀬 キックの部分は岸岡さん(智樹、教3=大阪・東海大仰星)がロングキッカーなので。岸岡さんが蹴って僕がチェイスするという場面が多いんですけど。僕が蹴る時は相手が嫌がるようなところに蹴るようにするというのは意識してます。

――今年のスローガンは『Moving』ですが、バックスのお二人にとって『Moving』とは具体的にどのような役目があるのでしょうか

長田 BKだからというか、チームとして相手より動き続けるという感じで。それはもうBKもフォワードも関係なくとにかく相手より動いて仕掛け続けるという感じなので、BKだからどうというのはあんまりないですね。

――では春からの振り返りに移らせて頂きます。春は1年生がほぼ試合に出場していませんでしたが、お二人はその期間は何をされていたのでしょうか

河瀬 初めの方はずっと1年生だけで練習していることが多かったんですけど。途中U20の追加招集があって抜けることもあって、帰ってきたのが春の最後の試合の直前だったので。試合出る機会は無かったんですけど、新しい環境の中で色々な経験をしたところと、U20行った時の経験が夏につながったかなと思います。

――お二人はU20ではどのような刺激を受けましたか

長田 正直僕らは途中で行って、試合にも出られなかったので、得るものが多かったかというとそうでもないんですけど。やっぱり海外の選手だったり、日本でのひとつ上の世代のトッププレーヤーと一緒にいる中で、自分たちがまだまだ足りないという点はわかりましたし、どういう点が足りないのかも感じられました。

――そんな春を経て夏合宿に突入したわけですが、特に印象深いのは帝京大戦での勝利だと思います。帝京大戦はどのような点が良かったのでしょうか

河瀬 全員がしっかりディフェンスでもアタックでも自分たちから仕掛けるというところでプレッシャーを与えられたのがよかった点かなと思います。

長田 一緒ですね。帝京大って本当に強い相手で、僕らも対戦したことは無かったんですけど、ここ数年勝てていないのは知ってましたし、とても大きい相手で。でも気持ちの面ではだいぶ上回っているのかなという風にはやってる中で感じました。

――夏合宿を経てこういう点が強くなったというのはありますか

河瀬 強くなった点というか自分の課題なんですけど、ボールを持ったりとかディフェンスの部分でも前に出られなかったりだとか、タックルで弾かれたりすることが多かったので。フィジカル面はもっと鍛えなくてはならないなと思いました。

長田 僕も課題という面では一緒で、フィジカルの課題が見つかったのと、あとは自分がどういうプレーをすれば相手に通用するのかという点もいくつか見つかったので、そこはよかったかなと思います。

――フィジカルといえば夏合宿の大東大戦では外国人選手のフィジカルに苦しみましたが、そこについては

長田 今のままだとフィジカルの面では全く歯が立たないです。1人で止めるというのは難しいと思うので、そこを2人、3人でしっかり止めることができたので、大東大戦は負けたんですけど、そこは収穫だったかなと思います。やった感じでは強いなぁという感じですね。

――では現在はそういう点に力を入れて練習しているのでしょうか

長田 そこのフィジカルに追いつくというのも大事だとは思うんですが、それよりはチームとしてのシステムだったりだとか、筑波大戦に向けて筑波大の分析だったりそこに対しての対策をしている感じですかね。

――お互いのプレー面の強みはどういう点だと思いますか

長田 河瀬は足が速いです。それとステップをしっかり蹴れるので、アタックの面ではランが強みです。外側でしっかりゲインラインを突破していってくれます。あとはキックも両足で蹴れたり、そういう技術も持ち合わせてます。

河瀬 長田はアタックの面で言うとアングルチェンジとか、足も速いので外での勝負も出来ますし。体も張るのでボール持ったらどんどん前に行ってくれます。ディフェンスの面では、高校の時は僕がWTBで(長田が)CTBだったので、内側の安心感というか、タックルレンジも広いですし内側ではタックルしてくれると思ってたので。あとキックも飛ぶので、僕がいない時とか裏に行ってくれて蹴り返してくれるので、助かります。

――ではお互いの性格などは

長田 難しいですね。

河瀬 ド真面目ですね。長田は。

長田 そんなことは無いんですけど。

河瀬 真面目で、ラグビー馬鹿って感じです(笑)

――河瀬選手についてはいかがですか

長田 うーん、負けず嫌いなところはありますかね。

――試合前のルーティーンなどはありますか

長田 あんまりないですけど、音楽を聴いたりはします。

河瀬 僕も音楽ですかね。あと気持ちを落ち着かせるためにちょっと歩いたりします。

――お二人とも関西出身ですが、東京に出てきてまず何を思いましたか

河瀬 人が多いなって感じですね。電車とか乗ってても大阪と比べて多いなって感じます。

長田 僕は東京っていったらもっと東京らしい感じなのかなと思ってたんですけど、来てみたら大阪とそんなに変わらないなぁとは思いました。まぁそんなに外に出てないってものありますけどね。寮と大学を行き来してるだけで、あんまり遊びにも行ってないので。

初めての対抗戦

――ではここからは対抗戦について伺いたいと思います。お二人にとって初めての対抗戦となりますが、今どのような心境ですか

長田 対抗戦は色々な強い相手と当たりますけど、やっぱり今考えてるのは初戦の筑波大ですね。筑波大は本当に力がありますし、ここで勝つか負けるかでこの先の流れとかも大分変わってくると思うので。まずは初戦に向けていい準備ができていると思うので、それを継続して初戦に向けてやるだけかなと思います。

河瀬 初めての対抗戦で雰囲気とか全然イメージ湧かないですし、先の試合を見るよりまず初戦かなって感じです。初戦でしっかり勝ってそのまま流れに乗れるようにというのを今は考えてます。

――今年はラグビー部にとっては100周年という記念の年ですが、部の雰囲気はどうですか

長田 100周年ってことで責任があるのは皆さん意識されてると思うんですけど、それよりも佐藤キャプテン(佐藤真吾主将、スポ4=東京・本郷)の代としてやっていこうという感じですかね。100周年ということをそこまで意識しすぎずにやろうって感じです。でも4年生とかはプレッシャーとかめっちゃあると思うので、そこに対して僕らができることって試合で活躍することだと思うので、しっかり頑張りたいと思います。

――お二人自身は初めての対抗戦ということで緊張していたりなどはしないのですか

長田・河瀬 まだしてないですね。

――初戦の筑波大で重要となるのはどのような点でしょうか

長田 春1回対戦して(早大が)負けてるんですけど、ブレイクダウンのところでペナルティがあったりだとか、チームとして掲げてるゲインラインの攻防でプレッシャーを与えて、アタックでもタテに出ていくのをどれだけやれるかというのがチーム全体として意識してます。

河瀬 僕はFBとして筑波大がキックを多用してくるので、そこでハイパントとかを自分でキャッチして、どれだけボールキープ率を上げられるかが大事になると思います。

――個人としての対抗戦での目標はありますか

長田 まずはスタートからしっかり(試合に)出るというところですかね。出た時には自分の仕事をしっかりやって、1つ1つの勝ちに貢献出来たらと思います。

河瀬 試合に出るというのも大事なことなんですけど、出てケガしないというのも大事かなと思います。ケガしたら元も子もないので、ケガせず出続けられるように頑張りたいと思います。

――今年の他大の印象はどうですか

長田 昨年までだとやっぱり帝京大が強いって感じだったんですけど、今年は練習試合とか春のシーズンの結果とか見ても帝京大以外の明大だったり、それこそ筑波大とか慶大とかも力を付けてきてるんで。差がどんどん無くなってきて、どこが勝ってもおかしくないような感じになってきてると思います。

――最後に対抗戦に向けての意気込みをお願いします

長田 とにかく試合に出て、1年生として出るからには先輩が納得するようなプレーをして、全部勝って対抗戦1位で大学選手権に向かえるようにチームに貢献していけたらなと思います。

河瀬 1年生なのでまず試合に出るってことと、試合に出たらがむしゃらにチームに貢献できるように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 坂巻晃乃介)


力強いガッツポーズで最後は写っていただきました!

◆長田智希(おさだ・ともき)(※写真左)

1999年(平11)11月25日生まれ。身長179センチ、体重85キロ。大阪・東海大仰星高出身。攻撃面ではアングルチェンジに定評がある長田選手。そこから生まれる突破力に加えてディフェンス面でもハードワークをする長田選手は、チームとして力を入れている『ゲインラインの攻防』に欠かせない存在です!

◆河瀬諒介(かわせ・りょうすけ)(※写真右)

1999年(平11)7月21日生まれ。身長183センチ、体重83キロ。大阪・東海大仰星高出身。展開ラグビーが好きで早大を選んだと語った河瀬選手。対抗戦ではFBとしてグラウンドを広く使ったプレーや、自身の強みである足の速さを生かして相手を突破する場面を見せてくれることでしょう!