ドラフトまで残り1カ月となり、日増しに注目度も高まっている。言うまでもなく、ドラフトの成果はチーム躍進の大部分を占…
ドラフトまで残り1カ月となり、日増しに注目度も高まっている。言うまでもなく、ドラフトの成果はチーム躍進の大部分を占めており、そのためにも現状のチーム事情を理解する必要がある。そこで12球団を見渡し、現時点のチーム構成、戦力を冷静に分析。その上で、今年のドラフトで獲るべき選手を挙げたいと思う。まずはパ・リーグから。
※各球団のチーム成績や個人成績は9月24日時点
チーム事情から見たドラフト戦略~パ・リーグ編

即戦力との呼び声が高い東洋大のエース・上茶谷大河
●東北楽天ゴールデンイーグルス
昨年の3位から、今季はシーズン途中に梨田昌孝監督の辞任もあって、最下位に甘んじている。
防御率リーグトップの岸孝之の奮投はあったが、昨シーズン15勝の則本昂大と守護神・松井裕樹に本来の迫力がなく、打線もペゲーロの不振、アマダーが禁止薬物使用で出場停止、茂木栄五郎も故障が続くなど、”主力”の低調が響いた。
そんななか、2年目の田中和基が打率.270、18本塁打、21盗塁とリードオフマンに定着。また5年目の内田靖人がサードの定位置を獲る勢いを見せるなど、若手野手が育ちつつあるのは希望の光。
そうなると、やはり補強ポイントは投手だ。それもローテーションの軸となる先発がほしいところ。
そこで名前が挙がるのが、松本航(日体大/右投右打)と上茶谷大河(かみちゃたに・たいが/東洋大/右投右打)のふたり。ともに1年目から10勝前後を期待できる高い実戦力を持つ本格派だ。
それとも故障がちの茂木に不安があるなら、遊撃手として根尾昂(ねお・あきら/大阪桐蔭/右投左打)を1位で指名して、齋藤友貴哉(ホンダ/右投左打)、清水昇(国学院大/右投左打)の両右腕か、富山凌雅(トヨタ自動車/左投左打)の左腕を即戦力候補として狙いにいく手もあるだろう。
また”地元枠”として、必殺スクリューを武器とする快速左腕・高橋優貴(八戸学院大)の獲得も視野に入れたいところだ。
●千葉ロッテマリーンズ
チーム防御率3.95はリーグ5位と、今シーズンは先発、リリーフとも駒不足に苦しんだ。まずは投手を第一の補強に考えるべきだが、チームの顔である福浦和也、角中勝也の”後継者”を探したいタイミングではないだろうか。
昨年ドラフト1位の安田尚憲に続いて、もうひとり10年以上、打線の中軸としてコンスタントな成績を残せる打者がほしい。
筆頭は大阪桐蔭の外野手・藤原恭大(きょうた/左投左打)。甲子園でも見せたハイレベルな打撃技術で、1年目からレギュラー獲得も十分に期待できる。チームも中村奨吾、荻野貴司、藤岡裕大と走れる選手が多く、そこに藤原の快足が加われば、相手にとっては脅威となる。
もちろん、2位以下で投手の補強も行ないたい。先発は2年目の酒居知史、種市篤暉(あつき)の台頭が見込めるが、気になるのはリリーフだ。西野勇士がヒジを痛めて離脱したように、リリーフの駒はいくらいても困らない。欲を言えば、絶対的守護神を期待できる投手がほしいところ。
今年なら甲斐野央(かいの・ひろし/東洋大/右投左打)という”適役”がいる。最速159キロのストレートを武器に、大学でもリリーフとして活躍。試合終盤を任せられる投手がひとり加われば、チームの戦い方は劇的に変わる。なんとしてもリリーフで軸となれる投手を獲得したい。
下位は、3~5年後のチームを見据えて、若手野手を育てておきたい。内野手なら太田椋(りょう/天理/右投右打)、増田陸(明秀日立/右投右打)、松井義弥(折尾愛真/右投左打)、外野手なら万波中正(横浜/右投右打)など、将来性豊かな高校生を獲るのも面白いだろう。
●オリックス・バファローズ
2015年は吉田正尚、近藤大亮、大城滉二、杉本裕太郎などをドラフトで獲得し、2016年は山岡泰輔、黒木優太、山本由伸、澤田圭佑……、そして昨年は田嶋大樹、福田周平と、ここ3年間のオリックスのドラフトでの成果は目を見張るものがある。
チーム防御率3.73は、決してほめられた数字ではないが、それでも堂々の12球団トップ。一方で、チーム打率.243は12球団中11位と、完全な”二極構造”になっている。
普通に考えれば「打てる打者」となるのだろうが、あえて”投手王国”を目指すのもありだと思う。
現在、球界の傾向は”打高投低”。そんな状況で打力を少々強化しても、どんぐりの背比べになるだけ。ここは”独自路線”で、さらなる投手強化を図りたい。
西勇輝、金子千尋、山岡泰輔、田嶋大樹、松葉貴大と先発陣は充実しているが、あと2枚加われば盤石か。今の先発陣に足りない要素があるとすれば、”高さ”と”角度”だ。
そこでお薦めしたい投手が、187センチの長身右腕・梅津晃大(東洋大/右投右打)。高校、大学とエースの経験はないが、潜在能力の高さはピカイチ。本当のピークはプロ入団後と見ている。
もうひとり狙いにいくなら、変化球の精度と両サイド低めに抜群の制球力を誇る温水賀一(ぬくみず・かい/大阪ガス/右投右打)を推す。派手な存在ではないが「勝てる投手」だ。
攻撃陣に目を移すと、一発のある打者がほしい。東京ガスの外野手・笹川晃平(右投右打)、亜細亜大の捕手・頓宮裕真(とんぐう・ゆうま/右投右打)、市立岐阜商の遊撃手・中神拓都(なかがみ・たくと/右投右打)の3人は、右打の大砲候補だ。ここからひとりでも中軸を担う選手になれば、打線も一気に厚みを増すに違いない。
●北海道日本ハムファイターズ
日本ハムといえば、「いちばん選手を1位指名する」という信念のもと、これまでダルビッシュ有、中田翔、大谷翔平など、アマ球界の大物を積極果敢に指名し、獲得してきた。
ならば、今年の「ナンバーワン選手」は誰か? 私は根尾昂(大阪桐蔭/右投左打)と見る。
夏の甲子園のあとに開催されたU-18のアジア選手権。ほとんどの選手が疲れから本来のプレーを発揮できないなか、唯一、甲子園と同じテンションで向き合っていたのが根尾だ。プレーの精度はもちろん、野球に対する真摯な姿勢は尊敬に値する。
さらに日本ハムには、昨年のドラフト1位・清宮幸太郎がいる。根尾と清宮のふたりが同じチームにいたら、どんな化学反応を起こすのだろうか。想像しただけでも胸が躍る。
チームの現状を見ると、手薄な先発陣を確実に補強したい。長いイニングをコンスタントに投げられる投手の獲得は急務だ。
候補として挙げたいのが、中村稔弥(としや/亜細亜大/左投左打)、山上大輔(立命館大/右打左投)の大学生ふたりに、今季急成長中の板東湧梧(JR東日本/右投右打)。3人とも球威があり、大崩れしないタイプで、即戦力として期待できる。
一軍は優勝争いできる戦力を誇るが、二軍に不安を抱える。「計画的な補強・育成」を標榜する球団にしては、ここ数年ファームは精彩を欠いている。今季もイースタンリーグでは首位の巨人に30ゲーム差近く離されて、最下位に低迷する。
メンバーも将来的にチームの中心になるべき存在に乏しく、3~5年先のチーム構成が見えない。ここは将来性のある高校生野手を積極的に獲りたいところ。
高校時代に清宮とクリーンアップを組んでいた野村大樹(早稲田実業/右投右打)を筆頭に、昨年からチームの4番を任されている野村佑希(花咲徳栄/右投右打)、バッティングセンス抜群の外野手・山下航汰(健大高崎/右投左打)、走攻守三拍子揃った大型外野手・湯浅麗斗(れいと/生光学園/右投右打)など、可能性を秘めた打者は多い。
●福岡ソフトバンクホークス
昨年までこれといった活躍のなかった加治屋蓮が、今季は中継ぎの一角としてここまで66試合に登板するなど急成長。「さすがホークス……」と感心していたが、実は意外なことを発見した。
加治屋と今季ストッパーとして活躍する森唯斗を獲得した2013年のドラフトはよかったとして、2014年以降、ソフトバンクは20人の選手を獲得(育成ドラフトは省く)したが、一軍の戦力になっている選手がひとりもいないのだ。
その結果、一軍メンバーの”高齢化”は急激に進んでおり、とくに野手は現在26歳の牧原大成より年下なのは、上林誠知(23歳)だけという状態だ。チームの絶対的存在である柳田悠岐も今年30歳。今のうちに後継者を見つけておきたい。
柳田のようにズバ抜けた身体能力を持つ選手は毎年のようにいるわけではないが、今年は辰己涼介(立命館大/右投左打)がいる。今年春のリーグ戦で打率.429、2本塁打、7打点でMVPを獲得。国際経験でも結果を残しており、柳田の後継者としてうってつけの人材だ。
内野手なら、三菱自動車岡崎の二塁手・山野辺翔(やまのべ・かける/右投右打)を推したい。実戦力の高さとスピードに定評があり、身長170センチと小柄ながら一発の魅力もある。
さらに数年先のチーム構成を考えれば、高校生野手にも目を向けたい。昨年夏から甲子園で活躍している林晃汰(智弁和歌山/右投左打)、投手ながら非凡なバッティングセンスが光る勝又温史(あつし/日大鶴ヶ丘/右投左打)、高校通算57本塁打の森下翔太(東海大相模/右投右打)らの名前が浮かぶ。
また松田宣浩の後釜には、王貞治球団会長の後輩にあたる野村大樹(早稲田実業/右投右打)を指名するという手もある。いずれにしても、今年のドラフトは野手中心に獲得したいところだ。
●埼玉西武ライオンズ
実に興味深いチームである。今季パ・リーグを独走し、優勝目前の西武。12球団屈指の攻撃力を誇り、753得点は堂々のトップ。その一方で、チーム防御率4.32は断トツのリーグ最下位である。充実しているのは一軍のレギュラー野手陣のみで、そのほかの部分については、とても心細い。
ファームも低迷しており、虎視眈々と「一軍の主力になってやる!」というイキのいい若手も見当たらない。
第一の補強ポイントは投手。とくに先発は、今オフ菊池雄星のメジャー挑戦が噂されており、即戦力がほしいところ。
筆頭は上茶谷大河(東洋大/右投右打)。チームの絶対的エースとしてマウンド経験も豊富で、2ケタ勝利も期待できる剛腕投手だ。
ただ、上茶谷は重複する可能性も高く、もし抽選で外れたとしたら、ここはハンパな即戦力ではなく、180度方向転換して「将来の大物」を狙いにいくべきだ。イチオシは地元・浦和学院の渡邉勇太朗(右投右打)。この夏、甲子園でも活躍した身長190センチの大型右腕だ。まだまだ伸びしろがあり、球界を代表する投手になる可能性を秘めた逸材だ。
1位指名はもちろん、少なくとも3位までは投手を指名したいところ。社会人には岡野祐一郎(東芝/右投右打)、温水賀一(大阪ガス/右投右打)、高橋拓巳(日本生命/左投左打)といった即戦力候補がおり、大学生にも高橋優貴(八戸学院大/左投左打)という好左腕がいる。
さらに「常勝・西武」を復活させるなら、今のうちからファームで徹底的に鍛えておきたい。育成ポイントはスバリ、捕手と内野手だ。
捕手なら戸高誠也(九州国際大付/右投右打)、土井克也(唐津商/右投右打)、内野手なら藤田希和(きより/福知山成美/右投左打)あたりが面白い。
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