東京六大学野球秋季リーグ戦対明大3回戦 2018年9月18日(火) 神宮球場 3回戦までもつれ込んだ『血の法明戦』は、息詰まる投手戦となった。先発の三浦銀二(キャ1)と森下暢仁(明大)は、左の強打者の多い両校打者陣に最少限の安打しか許さず…

東京六大学野球秋季リーグ戦対明大3回戦
2018年9月18日(火)
神宮球場

3回戦までもつれ込んだ『血の法明戦』は、息詰まる投手戦となった。先発の三浦銀二(キャ1)と森下暢仁(明大)は、左の強打者の多い両校打者陣に最少限の安打しか許さず、8回までスコアボードに0が刻まれる。試合が動いたのは、9回表の法大の攻撃だった。宇草孔基(営3)の安打を皮切りに、向山基生(営4)、中山翔太(人4)の連続安打で2得点を挙げる。9回裏にマウンドに上がった石川達也(キャ2)がこの2点を守り抜き、『血の法明戦』で2連勝。大きな『勝ち点2』を手にした。

 

戦評

 1勝1分で迎えた『血の法明戦』の3回戦。平日にもかかわらず応援席には多くのファンが詰めかけた神宮球場で、法大は2つ目の勝ち点をかけた死闘を制した。 

 両校の先発は、1回戦と同じ顔触れとなった。
 明大の先発・森下暢仁は、135~140㌔前後の直球を軸に、法大打線を5回までわずか1安打と抑え込む。 
 一方の法大の先発・三浦銀二(キャ1)も、中村浩人(営4)の盗塁阻止など好守備にも助けられ、立ち上がりこそ不安があったものの、安定したピッチングで要所を締める。森下暢に引けを取らない投球で、こちらも5回を4安打にまとめる。

7回を投げ、6安打6三振で無失点と好投した先発の三浦

緊迫した投手戦が繰り広げられる中、試合は拮抗したまま後半へと向かう。しかし、後半戦でも両者譲らぬ展開が続き、8回まで両校無得点。勝負の行方は9回へ持ち越される。

 そして、迎えた9回表。長く続いた均衡を破ったのは、法大だった。先頭打者の宇草孔基(営3)が左前安打を放ち出塁すると、2番・小林満平(法4)が的確な投犠打で1死二塁の場面を作る。ここで打席に立ったのは主将・向山基生(営4)。ストライクからの2球目を中前安打とすると、宇草が一気に2塁からスタートを切る。タイミングではアウトかと思われたが、中堅手・逢澤崚介(明大)の失策もあり、本日最初の得点を挙げる。これで、「気を楽にして打席に入れた」と、続く中山翔太(人4)もフェンスを直撃する強烈な左越え適時打を放ち、さらに1点を追加した。

9回表に決勝打を放った中山

 9回裏、明大の攻撃は、本日猛打賞の越智達矢からだったが、8回裏から続投する石川達也(キャ2)は、気迫溢れる越智から、見事に三振を奪う。その後、代打・北本一樹に二塁打を許すも、続く高瀬雄大・添田真海を討ち取ると、昨日に続き白星を飾った。 

 投手陣の踏ん張りと打者陣の勝負強い打撃で、勝ち点2を獲得した法大。昨季に続き、『血の法明戦』で勝ちを収めた。しかし、青木久典監督は「うちはチャレンジャー。勝ち点2で浮足立っている場合ではない」とすでに気持ちは慶大戦へ向いている。優勝への『チャレンジャー』として、勝ち点3も泥臭く取りに行く。
(塚本花穂)

クローズアップ:石川 達也

 頼もしい『守護神』の誕生だ。9回裏、石川達也(キャ2)が最後の打者を凡打に仕留めると、スタンドのオレンジは一斉に歓喜の声を上げた。

 明大のエース・森下暢仁との投手戦を投げ抜き、7回無失点で降板した三浦銀二(キャ1)の後を任された石川。「1年生に絶対に負けをつけられない」。そう意気込んでマウンドに立った。明大対策として、変化球を低めに集めることを意識したことが功を奏し、明大打線を次々と凡退に抑えていく。投手陣に応えるように、9回表に味方がようやく沈黙を破って2点を先制。この援護に「すごく楽に投げられた」と9回裏も堂々たるピッチングで、チームの2つ目の勝ち点奪取に大きく貢献してみせた。

 リーグ戦初出場を果たした昨季は、「リーグ戦の壁を感じた」と思い描く結果は出せなかった。しかし、そこで経験を積んだことが、今季緊迫した場面でも落ち着いて投げられているゆえんだという。また、夏に強化した上半身のトレーニングによって、今カードのように3連投をした後も、肩に疲れや違和感を感じなくなったと話した。

 昨季の経験から一回りも二回りも成長を遂げ、今季は開幕2カード目にして、すでに3勝を挙げている石川。躍進を続ける背番号16は、次にどんな姿をマウンドで見せてくれるのだろうか。
(大平佳奈)

青木久典監督インタビュー

–今カードを終えて
本当に選手全員が結束力を高めて勝ち取ってくれた勝ち点だと思います。

–優勝に向けて、また1つ『勝ち点2』を取りました
うちはチャレンジャーなので、一戦必勝でやっています。その(一戦必勝の)積み重ねが、最終的な目標の天皇杯(につながっていく)ということになってくわけなので、勝ち点2を取ったからと浮足立っている場合ではありません。それはそういうことと切り替えて、次の慶應戦にいかにチームを高めていくかということが大事になると思います。

–勝った後やバスの様子も含め、いい雰囲気に思えます
本当に、一番の(チームの雰囲気を高める上での)『クスリ』というのは勝つことですね。選手たちの勝った時のああいう仕草を見ると、やはり勝つということは(チームの雰囲気を良くし勝ち続けていくために)いいことだなと思いますから、勝ち続けられるように頑張っていきたいと思います。

–今カードは投手陣の粘りの投球が光りました
先発の三浦と高田、あと石川、全員が役割をしっかり全うしてくれて、本当によく踏ん張ってくれて頼もしいなと思います。

–投手陣のチーム防御率が2.17と、ここまでだけを見ても例年と比べると安定している印象です
助監督の真木(将樹)が、しっかり投手陣を育ててくれていることもあると思いますし、ピッチャー陣も『今度はピッチャーがしっかりチームの勝利に貢献しよう』とやってきた結果じゃないかなと思っています。

–打者陣も、少ないチャンスをものにしているように思います
この3戦は、本当に(明大の)ピッチャーがね、森下(暢仁)君にしろ竹田(祐)君にしろいいピッチングをされて、なかなか打ち崩すのは難しかったんですけど、ワンチャンスを集中力でしっかり攻略してくれたなと思いますね。

–ただ、中山選手、向山選手は打撃の調子が今一つ上がってきていない印象です
やはりクリーンアップにはマークが厳しくなりますし、良い配球だったり攻め方をされているので、自分のバッティングをなかなかできていないというのはありますね。ただ、今日もここという場面で3番、4番が点を取ってくれたというところは、やはり(役割として)大きいんじゃないですかね。

–これから1週間空きますが、その間に調整したいことなどは
ずっと連戦連戦できているので、まずはコンディションを高めることを集中してやりたいなと思います。あとは、ゆっくり早稲田と明治との試合を振り返って、足りないところや課題を出して、そこをしっかり潰して、次戦の慶應戦につなげていきたいなと思います。

–慶大戦に向けて
本当に一戦必勝(が大事)だと思います。(相手の慶大は)春の優勝チームでもあるので、油断せずに一戦必勝で戦っていきたいと思います。

選手インタビュー

向山 基生 主将

-今日の試合を振り返って
今日は三浦が本当に素晴らしい投球をしていたので、援護してあげたかったのですが、結果的に粘り強い試合ができたので、よかったと思います。

-9回表、どんな気持ちで打席に立った
満平(小林)がバントで送ってくれたので、監督も自分を信じて送ってくれたと思い、強い気持ちで打席に立ちました。

-これで勝ち点2を獲得したことになります
開幕ダッシュを目標にした結果、よい結果が出ているので、もう一度気を引き締めて、全部のチームに勝てるようにしたいですね。

-昨季に引き続き、『血の法明戦』を制しました
明治は粘り強く、特別な気持ちもあるので、やはり勝ててよかったと思います。

-この空き週、チームとしてどんな取り組みをするか
このような接戦を制している雰囲気を忘れることなく、こういう試合を想定した練習ができればと思います。

-次の試合に向けて
一戦必勝の気持ちで、慶応に絶対に勝ちたいと思います。

中山 翔太 内野手

–今日の試合を振り返って 
終盤までどっちに転ぶかわからない中、よく粘ったと思います。 

–打率が伸び悩んでいましたが対策などは 
昨日の夜と今日の朝にしっかり(バットを)振り込んできて、打率とかよりも良い場面で打てるように(意識を)しました。 

–9回表の攻撃で前打席の向山選手が先制タイムリーを打ちましたが 
向山は絶対に打ってくれると思っていましたし、向山が打ってくれたことで、僕も気を楽にして打席に入ることができました。 

–追加点となるタイムリーを打ちました 
ずっと良い当たりがなかったので、ここは4年間やってきましたし、思い切って一か八かバットを振りに行きました。 

–慶大戦への意気込みを 
みんなで1週間しっかり練習して、さらにレベルアップをして挑みたいと思います。 

–応援するファンの方へメッセージをお願いします 
ずっと優勝しか見ていない中では応援も力になるので、これからも応援よろしくお願いします。

石川達也 投手

–7回無失点と好投した場面での登板となりました
0-0の緊迫した状況で、投手戦だったのですが、三浦が1年生らしからぬベテランみたいなピッチングをしていたので、1年生に絶対に負けをつけないという気持ちで投げていました。

–明大戦では、変化球を低めに集めることを意識していくと話していたが
北本(一樹)さんにフォークが甘く入って、右中間に打たれたのですが、北本さん以外は低めに集められたと思います。越智(達矢)さんも三振に取れましたし、高瀬(雄大)さんもセカンドゴロで打ち取れたので、意識できたかなと思います。

–勝利数を3としました
本当に野手陣のみなさんのおかげだと思っています。

–重要な場面で登板し、好投が続いている
リリーフでイニングが限られているので、短いイニングで全力で投げるだけ、というのを自分の中で掲げて頑張って投げています。

–チームとしては、2つ目の勝ち点を取ることができたが
春よりも強くなっているというか、粘りが出てきていると思っています。投手陣が粘っていれば、今日みたいに野手陣が(点を)取ってくれると信じて、ピッチャーで勝ったという試合を増やしていければいいかなと思います。

–残り3カードに向けて
2失点はしているのですが、今はまだ防御率0.00なので、その防御率0.00で今季が終われるようにしたいです。自分がマウンドに上がったら、絶対に失点しないように頑張っていきたいです。

三浦 銀二 投手

–中1日の先発登板でしたが
コンディションは、体調的には全然投げられる状態だったので、後ろにもいい投手がたくさんいるので、初回から腕を振って投げようとは思っていました。

–捕手の中村浩選手とは試合前にどんな話をしたか
1度対戦した相手なので、細心の注意を払いながらやっていこうと話しました。

–なかなか打線の援護がありませんでした
相手の投手との勝負でもあったので、相手投手が点を取られるまでは自分も取られないようにしなければと思っていました。

–7回の打席を前に代打を出されましたが、その時の気持ちは
まだ投げられる状態ではあったので悔しくはありましたけど、チームが勝てたのでそれはよかったなと思っています。

–次戦の慶大に対して持つ印象は
明大同様、隙が無い打線であると思うので、しっかりビデオなどを見ながら捕手とも話しながら対策できればと思います。

–これからに向けて意気込みを
与えられた場面で与えられた仕事をしてしっかり投げようと思います。

フォトギャラリー

森下暢から1回に安打を放った小林
走塁ミスもあり点の取れない苦しい展開が続いた
森下暢からマルチ安打の相馬
今日攻撃の火付け役となった宇草
中前安打を放ち先制の打点を挙げた向山
本塁に生還した宇草を見てガッツポーズをした向山
2回を無失点に抑え、救援投手ながら3勝目を手にした石川
挨拶後に喜びあった選手たち