戸上隼輔(野田学園高等学校)、大藤沙月(ミキハウスJSC)


 次代を担う卓球ジュニア世代の最高峰「世界ジュニア選手権オーストラリア大会」(12月2~9日/ベンディゴ)の日本代表最終選考会が9月14~16日の3日間、千葉県旭市で開かれ、男女各1名の内定者が決まった。



男子は今年のインターハイを制した戸上隼輔(野田学園高等学校)、女子は全国中学校大会で2冠を達成した大藤沙月(ミキハウスJSC)がそれぞれ優勝し、ともに世界ジュニア選手権初出場の切符を手にした。

 とりわけ戸上は圧巻だった。男女を通じて唯一、予選リーグ5試合と決勝トーナメントの準決勝、決勝の計7試合を全勝。戸上といえばキレのある動きと速いスイングから繰り出す豪快な両ハンドドライブが持ち味だが、それに加えインターハイ前から取り組んできた台上技術の向上やサービス・レシーブといった細かい技術の修正が実を結んだ様子で、本人も「(攻めていった時の)ミスがだいぶ減りましたし、サーブのコースや回転量が相手にわからないようにサーブを出せて、そこから自分のプレーができたのが良かった」と勝因を語った。


 大藤も予選リーグで2敗を喫する苦しい展開ながら決勝トーナメントへ駒を進め、決勝では世界卓球2018スウェーデン大会代表の大型高校生、長崎美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)をゲームオールで破る大接戦を演じた。「(長崎選手には)今まで1回も勝ったことがないし、予選リーグも0-3で負けていたので、決勝リーグではとにかく1ゲームでも多く取ろうと思った。技術では負けるかもしれないけど、気持ちで負けないように頑張った」と大藤。

 152cmの小柄な体型ながら抜群のボールタッチと威力のある両ハンドドライブを武器に、パワードライブやチキータなどの高い技術を誇る長崎を倒す大金星となった。


 世界ジュニア選手権の日本代表には最終的に男女各4人が選ばれる。それぞれ残り3人については8月の世界ランク日本人上位2人と協会本部推薦というのが選考基準。これに従えば男子は8月時点で世界ランク6位だった張本智和(JOCエリートアカデミー)と同89位だった宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)、女子は同6位だった伊藤美誠(スターツSC)と同9位だった平野美宇(日本生命)が該当する。

 しかし張本、伊藤、平野は実質上、シニアに専念しており、東京2020五輪の代表争いにも食い込んでいることや、世界ジュニア選手権閉幕の翌週に控えたITTFワールドツアー・グランドファイナル(12月13~16日/仁川)への出場がほぼ確実なことからスケジュール的にも厳しく、ジュニア代表入りは現実的ではないだろう。

 代表メンバーの確定時期について、日本卓球協会の宮崎義仁強化本部長は「国内だけでなくITTFジュニア・サーキットなどの成績も加味して選考を進め、10月上旬には決まる予定」と説明している。

(文=高樹ミナ)