「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月27日~9月9日/ハードコート)の大会13日目、女子シングルス決勝で第17シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を6-2、6-4のストレートで破り、自身初、日本人初のグランドスラムのシングルス…

「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月27日~9月9日/ハードコート)の大会13日目、女子シングルス決勝で第17シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を6-2、6-4のストレートで破り、自身初、日本人初のグランドスラムのシングルスで優勝を果たした大坂なおみ(日本/日清食品)と準優勝となったセレナが試合後のセレモニーで試合を振り返った。

決勝の第2セットでウォーニングによってセレナにペナルティが科せられるという場面があり、地元選手に対する判定に会場からは大きなブーイングが寄せられるという「荒れた」決勝となった。

そして優勝セレモニーの開催が告げられると、会場からは地鳴りのようなブーイングとも歓声とも取れる声が響き、これには大坂も思わずサンバイザーを目深に被って耐える場面があった。それを見たセレナが大坂を抱き寄せ、耳元で言葉をささやくと大坂の目からは涙がこぼれた。

セレモニーで試合のことについて聞かれたセレナは「無礼なことは言いたくありません。彼女はとても良いプレーをしました。彼女にとって初めてのグランドスラム優勝です」と語ると目に涙をため、続く言葉を発することができなかった。そして「みんな応援してくれてありがとう。そして最高の瞬間にしましょう。もうブーイングはやめてこれを乗り越えましょう。おめでとうなおみ!もうブーイングはやめて!」と声を大きくして涙ながらに伝えた。また「チームのみんな、観衆のみなさんありがとうございます。今後もまたここでプレーできるように頑張ります。今日はタフな一日でした。ありがとうございます」と涙をぬぐいながら、最後は笑顔でスピーチを締めくくった。

続いてインタビューに答えた大坂。準決勝で勝った後、ここでグランドスラムの決勝を戦いたい、セレナと戦いたいと語っていましたね。夢が叶ってどんな気分ですか?と聞かれると「ちょっと質問と違うことを話しますね」と答えた。そして「みんなセレナを応援していたことを知っています。こんな終わり方ですみません」と語った。これには会場から大きなどよめきと拍手が寄せられた。大坂は続けて「試合を観てくださってありがとうございます。本当にありがとう」と語った。

また、勝利を決めた後にチームのみんなとお母さんと抱き合いましたね、と言われた大坂は「母がここに来て試合を観たということは、彼女にとっても大きな意味があったと思います」と答えると、会場からは笑いが起こった。そして「ただ、私の父は生で観るのが嫌なので残念ながらここには来ていません」と語ると、大きな拍手と笑いが起きた。

最後に「セレナと『全米オープン』の決勝でプレーすることが夢でした。それが叶って嬉しいです。プレーしてくれてありがとう」とセレナに向かってぺこりと頭を下げると、会場からは歓声が巻き起こった。

セレナの抗議によって試合の雰囲気も、そしてセレモニーの雰囲気も異様なものとなっていたが、最後はその雰囲気も変わり、緊張からこわばった表情の大坂からも笑顔がこぼれた。(テニスデイリー編集部)

※写真は優勝セレモニーでの大坂

(Photo by Julian Finney/Getty Images)