9月8日、東京六大学野球秋季リーグの開幕戦が行われ3連覇を狙う慶大が東大に先制を許しながらも6対3と逆転勝ちして先勝した。「今日はなんとか開幕戦ということで差し引いたとしても、明日以降もこんな試合していたら、とても優勝にふさわしいチームとは…

9月8日、東京六大学野球秋季リーグの開幕戦が行われ3連覇を狙う慶大が東大に先制を許しながらも6対3と逆転勝ちして先勝した。

「今日はなんとか開幕戦ということで差し引いたとしても、明日以降もこんな試合していたら、とても優勝にふさわしいチームとは言えません」
 試合後に慶大・大久保秀昭監督が苦言を呈したように攻守にミスが出て、決して良い試合内容ではなかったが、その中で中村健人外野手(3年・中京大中京) の活躍が光った。
 慶大は初回に先発の高橋亮吾投手(3年・慶應湘南藤沢)が安打と四球で走者を出すと、東大の5番・岡俊希外野手(2年・小倉)にレフトスタンドへ飛び込む3ラン本塁打を打たれて先制を許した。
 それでも慶大は2回に正木智也外野手(1年・慶應義塾)のタイムリーで2点を返す。3回には嶋田翔内野手(2年・樹徳)と投手・高橋がそれぞれレフト前にタイムリーを放ち勝ち越しに成功。先頭にかえり、1番・河合大樹外野手(4年・関西学院)の右手負傷により緊急出場していた中村健人外野手(3年・中京大中京)がセンターバックスクリーン右横に飛び込む2ラン本塁打を放った。
 春季リーグの開幕当初はレギュラーとして出場していた中村だが徐々に調子を落とし、リーグ戦終盤や全日本大学野球選手権は控えに回って悔しい思いをした。そこで夏場は林卓史助監督から「感覚的だけでなく理論的にも打てるように」というアドバイスもあり、『プロ野球 バッティング解体振書』(手塚一志著)など複数の技術本を読み漁った。こうして持ち前のパワーを生かせるよう取り組んできたことが開幕戦から発揮されたという。
苦しい船出とはなった慶大だが、また1人頼もしい存在が現れたことで、3連覇への勢いはさらに加速するかもしれない。

入学後からウェイトトレーニングや食事で体重も6kgを増えたという中村。力強い打撃が魅力だ

★東京大vs慶應義塾大1回戦
東大 300000010=4
慶大 02400000X=6
【東】●小林大、宮本、有坂、奥野-三鍋
【慶】○高橋亮、高橋佑-郡司
本塁打:東大・岡(1回3ラン)慶大・中村(3回2ラン)
※慶大1勝

初回に3点を奪われながらも以降は6回まで無失点に抑えた高橋

文・写真=高木遊