USオープンで初の4回戦進出を果たした大坂なおみ まさに3度目の正直で、大坂なおみは、初めてUSオープンのベスト16入りを決めた。 グランドスラム今季最終戦となるUSオープン(全米テニス)の3回戦で、第20シードの大坂(WTAランキング…



USオープンで初の4回戦進出を果たした大坂なおみ

 まさに3度目の正直で、大坂なおみは、初めてUSオープンのベスト16入りを決めた。

 グランドスラム今季最終戦となるUSオープン(全米テニス)の3回戦で、第20シードの大坂(WTAランキング19位、8月27日づけ/以下同)は、アリアクサンドラ・サスノビッチ(33位、ベラルーシ)を、6-0、6-0で破り初の4回戦進出を決めた。グランドスラム全体では、2018年オーストラリアンオープン以来の2度目のベスト16となる。

 3回戦で大坂は、第1セット第1ゲームで、いきなり0-40のピンチを迎える。しかし、「相手にいいショットを打たれた後は、自分の気持ちを立て直して、ポジティブにいられるよう心掛けました」と、4回のブレークポイントをしのいでキープに成功。

 その後は大坂のサーブやグランドストロークが冴えまくって、ワンサイドゲームになり、12ゲーム連取のわずか50分で4回戦進出を決めた。大坂は、ツアーレベルで初めて相手に1ゲームも与えない、いわゆる”ベーグル”を達成した。

「今日プレーしている時、スコアのことは考えていなくて、勝ち続けなければいけないことを考えていました」

 過去2年間USオープンで、いずれも3回戦で敗れて涙を見せていた大坂。昨年は、自分自身への期待が膨らむなか、思うようなプレーができず、後悔ばかりが先立つ涙だった。

 ついにニューヨークで4回戦に進出したことにより、大坂の過去2年間の厳しい経験が報われた形になった。

「ここ(ニューヨーク)での過去2年間の経験が報われたと思います。2年前はここで負けた後、東京の大会(東レ パン・パシフィックテニス)で決勝に進出しました。すべての負けから何かしら私は学んでいます。そして今、それらすべての経験が自分のプレーにいい影響を与えてくれていると思っています」

 また、今季から大坂に帯同しているアレクサンドラ・バインコーチは、USオープンでの初のベスト16を次のように評価した。

「素晴らしい活躍です。そして、チームの努力でもあり、再びいろんなことがかみ合った結果だと思います。インディアンウェルズで優勝した後、クレー(左足の切り傷)やグラス(腹筋)シーズンで度々ケガがあった。そしてハードコートでも思うような練習ができないこともあって、彼女には十分な自信がなかったようです。でも、今は彼女自身がプレーを楽しむことが最も大切であり、練習から得られた自信を、試合コートに持ち込むことが大切なのです」

 今回のニューヨークでの大坂のプレーは、20歳と思えないほどとても落ち着いている。それは、彼女の自信の裏付けとも言えるだろう。また、ニューヨークは、大坂が3歳から8歳まで住んでいた思い出深い地でもあり、そこでのプレーを楽しもうとしているように見える。

「彼女が試合へ臨む姿勢もいいですね。彼女は、グランドスラムがいかにとても大切かを理解していて、他の大会と比べてよりよい姿勢で取り組めています。すごくハードに取り組んでいますが、ときには楽しむことでいい結果につながることもあります。ポジティブに、そして楽しんでプレーしてほしいですね」

 USオープンでは初めて大会第2週目の試合に臨む大坂に対して、バインコーチは次のような注文もする。

「もちろん1試合ずつです。いつもどおりのルーティーンの中で練習しますが、もちろん4回戦の後に家に帰るなんて頭にありません。USオープンで僕たちが望む勝利を見せていきたいです」

 4回戦で大坂は、3回戦で第5シードのペトラ・クビトバ(5位、チェコ)を破った第26シードのアリーナ・サバレンカ(20位、ベラルーシ)と初対戦する。サバレンカは、今回のUSオープンで初めてメインドローに名を連ねた成長株で、前哨戦のWTAシンシナティ大会でベスト4、直前のWTAニューヘブン大会ではツアー初優勝を成し遂げ、好調を維持してニューヨーク入りしてきた。

「(大坂が)とてもアグレッシブな選手だということはわかっています。かなりハードヒットしてたくさんボールを打ち込んできます。私はコートに行って、すべてのポイントでファイトするだけです。自分には失うものは何もありませんし、自分ができるすべてをコートで見せるだけです」

 サバレンカはこのように語り、20歳同士の対決となる4回戦では、あくまでも挑戦者としての姿勢を貫いて大坂と対峙しようとしている。

 一方大坂も受けて立つのではなく、勢いのあるサバレンカに対して、チャレンジャー精神で向かっていかなければ、どっちが勝ってもおかしくない際どい勝負を制することはできないだろう。

「今は1試合ずつフォーカスしようとしています」と語る大坂が、USオープン、そしてグランドスラムで初のベスト8入りがなるか大いに注目だ。