アジア大会でバドミントン団体女子が、強みであるダブルスで力をいかんなく発揮して中国を破り、アジア大会48年ぶりとな…
アジア大会でバドミントン団体女子が、強みであるダブルスで力をいかんなく発揮して中国を破り、アジア大会48年ぶりとなる金メダル獲得の快挙を成し遂げた。

優勝が決まった瞬間、コートで喜びを爆発させたバドミントン女子
この優勝は、”中国を破った”ことに大きな意味がある。
朴柱奉(パク ジュボン)監督はこのように語った。
「今日の決勝へ向けてのミーティングでは『5月のユーバー杯で優勝したときの相手はタイだった。だが、今回の相手は世界トップの中国。ここで勝てば本当の世界チャンピオンになれるから優勝しよう』と話した」
髙橋礼華(日本ユニシス)も「ユーバー杯優勝はうれしかったですが、やっぱり中国とやって優勝したかったとみんな思っていたと思う。そのライバルの中国を相手に、互いにフルメンバーで戦って勝って優勝できたのは本当にうれしいです」と笑顔を見せた。
第1シングルスの山口茜(再春館製薬所)は、準々決勝のインド戦はゲームカウント0対2で敗れ、準決勝のインドネシア戦も1対2で敗戦と調子に乗れなかった。その流れを引きずってしまい、決勝でもチェン・ユーフェイに敗れた。
朴監督が「今日は決勝の第1シングルスということでプレッシャーがかかり、自分のプレーができていなかった」と言うように、第1ゲームは序盤から先行される展開に。中盤からスマッシュを打つようになって少し盛り返したが、15-21であっさりとゲームを先取された。第2ゲームも先行される展開から中盤には9-10と追いすがったが、そこから突き放されて12-21で敗れた。世界ランキング2位の実力を見せられず、団体戦は勝ち星なしで終わった。
今年の対戦成績は3勝1敗と勝ち越している相手だったが、「自分で展開を作るというより、相手にペースを握られて、ついていくだけの感じでゲームが進んでしまった。積極的なプレーができず、相手の方が思い切ってやっているな、という風には思っていました」と山口は試合を振り返る。
「世界選手権では大きな展開のプレーで自分が要所を突いていけたけど、今回は守備面であまり自信を持ってできなかった。全体的に小さなプレーになってしまった。そこが相手にやりたいようにやらせてしまった要因だと思います」
この結果をしっかり受け止めて、今日から始まる個人戦に生かしていきたいと前向きに話した。
劣勢からのスタートとなったが、世界ランキング1位の福島由紀/廣田彩花組(岐阜トリッキーパンダース)は、昨年の世界選手権決勝で敗れた相手、チェン・チンチェン/ジャ・イーファン組に冷静なプレーで2対0と快勝し、1-1のタイに持ち込んだ。
そのあとを受けたのが、この団体戦では持ち前の粘りのプレーを見せて2勝している奥原希望(日本ユニシス)だ。相手は、世界ランキング7位のヘ・ビンジャオ。
「彼女は最近すごくパフォーマンスがいいので、カウンターに対してしっかり警戒することと、あとは自分の強みであるラリーでも心が折れないように入っていこうと思った」
そんな言葉通り、多彩なテクニックで相手のミスを誘い、第1ゲームは21-16で取って試合を優位に進めた。第2ゲームは互いに連続ポイントを取り合う展開になり、後半は競り合いに。13-16から奥原のドロップが決まった時に、飛び込んで取ろうとした相手が左肩を痛めて試合が中断する場面もあった。
それでも奥原は「中国選手はそういうことがよくあるので、棄権をするとは思っていなかった。相手は疲れているから休みたいんだなと思って、プラスに考えていました」と冷静だった。だが、試合が再開してからも追い詰めることはできず、19-21でゲームを落としてファイナルゲームへともつれ込んだのだ。
そのファイナルは奥原が「後半は相手に疲れが見えた」と言うように、序盤から一方的な展開で、3-1から5連続得点を奪うと、8-2からは8連続得点で16-2にしてあっさりと勝負を決めたかに見えた。
しかし、最後は少し苦しんだ。「勝ちが見えたところで早く勝負を決めたいと思ってしまった。そこからは相手が開き直って、もう1回ファイティングしてきたので、それに自分が合わせてしまったのがよくなかったと思う。彼女はすごくうまい選手なので、相手の作戦にやられてしまった」と、17-14まで迫られた。
タッチの柔らかなドロップやカットが、向かい風に押し返されてネットに引っかかるというプレーが、大事なところで出ててしまった。
「そこからは急がずに、ゆっくりゆっくり目の前の1点を見ました。審判にも注意されたけど、注意されるまで間を取って自分のペースに戻ろうと考えました」
こう話す奥原は、相手のミスから18点目を取ると、落ち着いたプレーで19点目も連取。相手に15点目を取られたが、そこから2点連取して勝負を決めた。
そして最後は髙橋礼華/松友美佐紀組(日本ユニシス)が、ファン・ドンピンの新ペアと対戦し、危なげのない安定した戦いを見せて21-16、21-11のストレートで制して優勝を決めた。
奥原は「日本の強みは2組のダブルスが絶対的にポイントを獲得してくれるという信頼感があること。茜ちゃんは負けてしまいましたが、福島/廣田ペアと私、髙橋/松友ペアという先輩たちが茜ちゃんをしっかりフォローできたというのがチームの強いところだと思うし、相手も第1シングルスを取ったからといって、多分『このあともいける』という気持ちはなかったと思います。そういう風に、すべてのところで勝負ができるのが、今の日本の強いところだと思います」と語った。
女子ダブルスの2組は、ともに1ゲームも落とさず3試合を勝利した。一方、女子シングルスは、奥原が3試合ともファイナルにもつれ込む試合を持ち味の粘りで制して3勝で、山口は3連敗と苦しんだが、アジア大会48年ぶりの中国を破っての優勝は、それぞれの選手たちに勢いをつけるものになったはずだ。