林は防御率1.66、鶴田は粘りの投球、山口直はゴロアウトの山 第100回全国高等学校野球選手権記念大会では、大会が進むごとに評価を上げていった選手たちも数多くいた。金足農・吉田など大会前から評判の高い選手も数々いたが、決して注目度の高くなか…

林は防御率1.66、鶴田は粘りの投球、山口直はゴロアウトの山

 第100回全国高等学校野球選手権記念大会では、大会が進むごとに評価を上げていった選手たちも数多くいた。金足農・吉田など大会前から評判の高い選手も数々いたが、決して注目度の高くなかった選手やチームも勝ち上がり、大会の空前の盛り上がりに大きな役割を果たした。今回は、大会期間中に大きな成長を遂げた選手たちの投手編だ。

〇林優樹(近江)

 右の佐合、松岡、左の林、金城と4投手の継投が身上の近江だが、試合を重ねるごとに信頼感を増していったのが、2年生左腕の林だ。4試合、21回2/3を投げて24三振。防御率1.66をマーク。特に3回戦の常葉大菊川戦は、先発して8イニングを3安打1失点11奪三振の力投。スライダー、チェンジアップをウイニングショットに、“フルスイング打線”を寄せつけなかった。特に、右打者の内角に直球を見せておいて外角低めに落とすチェンジアップは絶品。捕手の有馬との2年生バッテリーは、今から来年が楽しみだ。

〇鶴田克樹(下関国際)

 ダークホースながらベスト8入りを果たした下関国際のエースは、大会前こそ知名度は低かったが、140キロ台後半の速球や、右打者へのスライダー、左打者へのツーシームと、外に逃げる球を持ち味とし、花巻東、創志学園、木更津総合と強豪チームを次々と撃破。準々決勝の日大三戦も、7回2死まで相手を無安打に封じるという快投を見せた。3回戦までの3試合、27イニングで被安打26、奪三振25。安打数が三振数より多いながら、勝負どころで決定打を許さなかった。最も内容がよかった日大三戦で逆転負けを喫したが、粘り強いピッチングは大きなインパクトを残した。

済美・山口は愛媛大会から1人で投げ抜く

〇山口直哉(済美)

 金足農・吉田と同じく、山口も愛媛大会から今大会3回戦までをすべて1人で投げ抜いてきた。5試合で607球。2回戦の星稜戦では延長13回を184球で完投した。球速こそ140キロ台前半だが、変化球をコーナーに散らし、打たせて取るピッチング。1回戦の中央学院(西千葉)、3回戦の高知商(高知)戦では、ともに12個のゴロアウトを取っている。敗れた準決勝の大阪桐蔭戦でさえ、9個のゴロアウトを取った。カーブ、スライダー、チェンジアップなど多彩な球種を操り、2回戦の星稜(石川)戦こそ13回11失点、自責点8と崩れたが、自分のピッチングを貫いてチームを4強に導いた。

〇渡辺勇太朗(浦和学院)

 南埼玉大会を継投で勝ち進んできた浦和学院は、今大会も初戦の2回戦、仙台育英(宮城)戦は4投手継投による完封勝ちだった。だが、3回戦の二松学舎大付(東東京)戦は渡辺が先発し、この夏初めての完封。MAX149キロの直球で押す強気のピッチングで、プロ注目のポテンシャルを見せつけた。準々決勝の大阪桐蔭戦では、根尾、藤原、石川に3被弾。特に、藤原には内角の厳しいコースの球を右翼席へ放り込まれるという悔しさを味わったが、持っている才能が一級品であることは間違いない。

〇奥川恭伸(星稜)

 開幕カードだった1回戦の藤蔭(大分)戦では8回にMAX150キロを出し、8回8奪三振。続く済美戦では、足がつって4回限りで降板したものの、先発としての役割は果たした。2年生ながらスケールの大きさを感じさせ、侍ジャパンU-18にも選出された。劇的な逆転サヨナラ満塁弾で敗退してしまったが、星稜は野手にも1年生遊撃手として活躍する内山壮真などもおり、来年が楽しみなチームだ。(Full-Count編集部)