夏の甲子園が終われば、次は「U-18アジア選手権」が9月3日から宮崎で開催される。正式な代表メンバーは、甲子園決勝…

 夏の甲子園が終われば、次は「U-18アジア選手権」が9月3日から宮崎で開催される。正式な代表メンバーは、甲子園決勝の日に発表されるが、ひと足早く、独断と偏見で「U-18侍ジャパン」を考えてみた。



チームを秋田県勢103年ぶりとなる決勝へ導いた金足農のエース・吉田輝星

【投手】
吉田輝星(金足農)/3年/右投右打
柿木蓮(大阪桐蔭)/3年/右投右打
渡辺勇太朗(浦和学院)/3年/右投右打
勝又温史(日大鶴ヶ丘)/3年/右投左打
板川佳矢(横浜)/3年/左投左打
及川雅貴(横浜)/2年/左投左打
林優樹(近江)/2年/左投左打
西純矢(創志学園)/2年/右投右打

【捕手】
小泉航平(大阪桐蔭)/3年/右投右打
有馬諒(近江)/2年/右投右打

【内野手】
根尾昂(大阪桐蔭)/3年/右投左打
小園海斗(報徳学園)/3年/右投左打
北村恵吾(近江)/3年/右投右打
斉藤大輝(横浜)/3年/右投右打
奈良間大己(常葉大菊川)/3年/右投右打

【外野手】
藤原恭大(大阪桐蔭)/3年/左投左打
蛭間拓哉(浦和学院)/3年/右投左打
伊藤海斗(酒田南)/2年/左投左打

 今年の夏の大会は「こんなにもいい選手がいたのか……」と、多士済々の逸材が次々に現れた。U-18のメンバーは18名だから、今回の甲子園に出場した選手からだけでも十分に選ぶことはできたが、高校日本代表という名の通り、広く在野からも探すことにした。

 選考した経緯は、次のとおりだ。

 U-18の大会だが、今年はアジア大会で、来年が世界大会となる。”本番”はむしろ来年と考え、その時に主軸となるべき現2年生に多く経験を積ませたいと考え、5人の2年生を入れた。

 この夏、岩手県大会で154キロをマークし、一躍話題となった大船渡の佐々木朗希(ろうき/右投右打)も2年生。余力を残したフォームから150キロ台のストレートを立て続けに投げ、そのテンションにちょっとでも”刺激”が加わったら160キロぐらいはあっさりマークしてしまいそうな大器である。

 おそらく来年のU-18には必ず入ってくる選手であり、今回も経験のために”選出”という選択肢もあったが、まだ精神的に幼いことと、なによりこの夏の甲子園出場組に素晴らしい選手がたくさんいたために断念した。

 そして選考において重要視したのが、複数のポジションをこなせる選手である。甲子園が終わって、およそ2週間。大会終盤まで戦った選手は、疲労も残っているだろうし、故障する可能性もある。そういうことで、マルチプレーヤーは大きなポイントになる。

 投手から見ていくと、右が5人に左が3人。吉田、渡辺、西、板川、及川は先発組。勝又、柿木は先発、リリーフとどちらでも使え、ここ一番の左打者対策に魔球・チェンジアップを持つ林の存在は心強い。

 また、勝又と板川には”打者”としての期待も大きい。勝又の長打力、板川のミート力は絶品だ。

 もし枠があれば、木村颯太(佐賀商)も入れたかったひとりだ。この夏の甲子園で見せた、チームを背負ってマウンドに立つ渾身の投げっぷりに”エースの矜持”を感じた。

 捕手は迷った。今年の高校球界に、正直”第一人者”的な存在が見当たらない。そこで、今春のセンバツ、この夏の甲子園と大舞台で経験を積みながら、うまくなった小泉と有馬のふたりを選んだ。

 最も大変だったのが、内野手だ。数え切れないぐらい、いい選手が揃っており、とくに二遊間は”逸材”の宝庫だ。

 二塁手は、山田健太(大阪桐蔭/3年/右投右打)、東虎之介(常葉大菊川/3年/右投左打)、北村涼(龍谷大平安/2年/右投右打)。遊撃手は、宮尾将(慶応/3年/右投左打)、松田憲之朗(龍谷大平安/3年/右投右打)と、好守・好打の選手が並ぶが、根尾、小園、奈良間、斉藤には堂々としたプレーぶりと圧倒的な存在感が光る。

 北村は、野村佑希(花咲徳栄/3年/右投右打)との争いだった。ともに持ち味の強打、長打力を発揮したが、守備力でわずかに北村が上回った。基本は一塁手として起用したいが、たとえば勝又が一塁を守る場合、北村を三塁で使うこともできる。

 外野手に関しては、藤原、蛭間の選出に意義を唱える人はいないと思うが、伊藤という選手を知っているのは、はたしてどれぐらいいるだろうか……。

 全国的には無名の存在だが、来年のU-18の有力候補と見込んでいる大型スラッガーだ。今年春のチームの不祥事で夏の県大会はぶっつけ本番になったが、それでも伊藤は長打を連発して、チームを決勝まで導いた。タイミングが合えば場外に軽々と飛ばす爆発力と、大きな試合でも平然と力を発揮できる実戦力が魅力の選手だ。

 そしてこのチームのカギを握るのは、やはり根尾だ。投手、内野手、外野手とこなせ、打者としても超一流。本当なら、来年の”本番”にこういう選手がいるとありがたいのだが……。

 と、あくまで私の独断と偏見で18人を選んだが、はたして今年の「U-18侍ジャパン」はどんなメンバーになるのか。夏の甲子園が終わっても、熱い戦いはまだまだ続くのである。