代表に求められ続けている。 早大在学中の2010年に初招集されてから、今年でもう9年目だ。 7月1日の「なの花薬局ジャパンセブンズ2018」で優勝したセブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)。セブンズ代表候補が集まる集団の中で、豊田…

代表に求められ続けている。
早大在学中の2010年に初招集されてから、今年でもう9年目だ。

7月1日の「なの花薬局ジャパンセブンズ2018」で優勝したセブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)。セブンズ代表候補が集まる集団の中で、豊田自動織機の坂井克行はすっかり古株だった。
 
「年齢は僕が1番上ではないですが、歴代でいうと僕が1番長いです。ずっとフル参加ではないですけど、1年通して呼ばれなかったことはないですね」

 驚くべきは、2013年のセブンズ・ワールドカップや2016年リオ五輪など、世界トップレベルで戦いながら、大きな怪我がないことだ。セブンズ代表主将も務めた鉄人は屈託なく笑った。

「それが僕の強みですね。丈夫な身体に産んでくれた親に感謝です」

 四日市農芸高から早大、豊田自動織機と進んだ29歳。鋭角のステップを繰り出す172センチ、88キロの体躯には、驚異的な耐久性が備わっていた。

今年6月、男子セブンズ代表は指揮官が替わった。

2016年秋からヘッドコーチ(HC)を務めてきたダミアン・カラウナ氏から、男女7人制日本代表総監督の岩渕健輔氏へ。

 経験豊富な坂井は現在のチームをどう見ているのか。

「オリンピアンになるのではなくて、メダリストになる――。(岩渕HCになって)そこが明確に提示されたことで、練習の雰囲気が変わりましたね。リオ五輪の時などは『オリンピックに出たい』の方が強かったかなと。そうではなくて『メダルを取る』ということを大事にしたいなと思います」

オリンピアンになるのではなく、メダリストになる。
 目標がより明確に、シビアになったことで、練習中の声かけも変わったという。

「たとえば『その練習でニュージーランドやフィジー、南アフリカに勝てるのか』と。勝てないのであれば『だったらもっと質を上げないと』ということです。練習の質が変わりますよね」

 7月20日からサンフランシスコでワールドカップ・セブンズが始まる。坂井はその位置付けを「現状をはかる1番近い大会」と語った。

 負ければ優勝の消えるトーナメントで、日本代表は初戦でウルグアイ、第2戦でフィジーとの対戦が決まっている。目標のひとつはセブンズ王国・フィジーの撃破だ。

「フィジーは誰がどう見ても世界一のアタックです。フィジーのアタックにどれくらいディフェンスでしつこくいけるか、というところかなと思います」

ただ大目標は「オリンピックでメダルを取ること」。
 2020年東京五輪を見据える坂井は、ベテランとしての心構えをこう語った。

「コーチ陣から求められていることを最初に体現する。これに尽きるかなと思います」

2年後の2020年はセブンズ11年目になる。ベテランだからこそ先頭で身体を張り、仲間と一緒に表彰台に上がりたい。(文/多羅正崇)