徳山大が延長11回タイブレークの末、サヨナラで大阪商業大を下し、14年ぶりの8強進出を決めた。 徳山大勝利の立役者となったのが、エースで主将の岡直人投手(4年・徳山商工)だ。今春のリーグ戦で、13試合中9試合に先発して7勝を挙げた大黒柱がこ…

徳山大が延長11回タイブレークの末、サヨナラで大阪商業大を下し、14年ぶりの8強進出を決めた。

 徳山大勝利の立役者となったのが、エースで主将の岡直人投手(4年・徳山商工)だ。今春のリーグ戦で、13試合中9試合に先発して7勝を挙げた大黒柱がこの日も獅子奮迅の働きを見せた。ストレートの球速は130㎞台だが、コーナーを丁寧に投げ分け凡打の山を築く。終盤には左ふくらはぎがつりそうになるアクシデントもあったが、「気持ちでカバーしてくれた」(中村光宏監督)と2度のタイブレークも無失点で乗り切った。

 そして、息詰まる投手戦はまさかの形で終わりを迎える。11回裏、無死一、二塁からスタートするタイブレークで先頭の小村泰生内野手(2年・池田)が犠打を空振り。その際に飛び出した二塁走者の迫川紗也外野手(1年・天理)を刺そうと太田光捕手(4年・広陵)が二塁に送球するが、まさかの悪送球。ボールが外野を転々とする間に迫川は一気に本塁へ突入する。中堅手の植田勝至外野手(4年・興国)が懸命のバックホームを見せるが、判定はセーフ。徳山大がサヨナラ勝ちとなり、大阪商業大は攻守に渡ってチームを牽引してきた主将のミスで選手権を去ることになった。

 

白熱の接戦は主将の失策でまさかの幕切れとなった

 

 周南市(旧徳山市)出身の岡は「地元で全国に行きたい」と家から車で10~15分しかかからない徳山大に進学。甲子園出場経験はなく、今大会が初の全国大会だったが、強豪校を相手に堂々とした投球を披露した。この日は11回を投げ抜き161球の熱投だったが、リーグ戦では連投の経験もあり、「明日も行くつもりでいます」と翌日の準々決勝に意欲を見せた。チームの絶対的エースがさらなる快進撃へ導くか注目したい。

 

11回完投でチームを14年ぶりの全国8強に導いた岡

 

★2回戦・徳山大vs大阪商業大
大商大 00001000000=1
徳山大 00010000001x=2
(延長11回・タイブレーク)
【大】尾田、●大西-太田
【徳】○岡-中熊

◎徳山大・中村光宏監督
「岡はボールに勢いがあって、前回よりも調子がよかったので心中のつもりでした。(岡の良さは)勝負所で捕手の配球に対してキッチリ投げ切れるところが評価できると思います。(タイブレークについて)割り切っていくしかないと思っていました。疲労もあったと思いますが、気持ちで抑えてくれという話をしました。(次は国際武道大が相手だが)一戦必勝で乗り込んできたので自分たちの野球をしたいです」

◎徳山大・岡直人投手
「試合が終わった瞬間は正直、驚いていて特に感情はありませんでしたが、終わってみて野球をやってきてよかったなと思いました。何も考えずに自分がやってきたことに自信を持って投げた結果だと思います。野球人生の中で一番記憶に残る試合になりました」

◎大阪商業大・太田光捕手
「(最後の暴投に関して)自分の実力不足です。投げたことに後悔はしていません。バッティングでは力が入ってしまって、余裕がなかったです。油断はありませんでしたが、固くなってしまいました。自分が主将なので変えなければいけなかったです。全国にはもっといい投手がいるので打ち勝つために練習しないといけないです」

文=馬場遼
写真=中西陽香