既に秋春連覇を決めている慶大と、早慶戦で勝ち点を挙げて秋に弾みをつけた早大との3回戦は、両校の意地が張り合う伝統の一戦らしい試合展開となった。最後は延長11回の攻防の末、早大が1対0で勝利し慶大から2季ぶりの勝ち点を挙げた。「2人とも大し…

 既に秋春連覇を決めている慶大と、早慶戦で勝ち点を挙げて秋に弾みをつけた早大との3回戦は、両校の意地が張り合う伝統の一戦らしい試合展開となった。最後は延長11回の攻防の末、早大が1対0で勝利し慶大から2季ぶりの勝ち点を挙げた。

「2人とも大したもんです」と早大・高橋広監督は、慶大打線を11回完封した殊勲の1年生右腕2人を賞賛した。
 前日の2回戦で、主将・小島和哉投手(4年・浦和学院)の志願の先発連投でなんとか1勝1敗のタイに戻した早大は、昨春のセンバツ甲子園優勝右腕の徳山壮磨投手(1年・大阪桐蔭)を先発のマウンドに送った。
 その徳山は140km/h台中盤のストレートと変化球を制球良く各コーナーや低めに集めて慶大打線を8回6安打無失点に抑えた。7回表には1死一、二塁で打席が回ったが高橋監督は続投を決断。「小島に代えようかと思いましたが、ボールに力があったので」と託した指揮官の期待に応えた。
 そして同点の9回裏からは、昨春のセンバツ甲子園で4強入りした右腕・西垣雅矢投手(1年・報徳学園)を投入。その西垣も力強いストレートやキレのある変化球を織り交ぜて、慶大打線にサヨナラ打を与えず。すると前日にも本塁打を放っている小太刀緒飛外野手(4年・日本文理)が、11回表に逆方向のレフトスタンドに飛び込む値千金の決勝本塁打を放った。
 この1点の援護を西垣が最後は満塁のピンチを招きながらも、なんとか空振り三振を奪って渾身のガッツポーズ。秋に向けた頼もしい新戦力の活躍で、早大が春季リーグを締めた。

◎早大・高橋広監督
「慶應を2試合続けて完封したのですから、投手陣は大したものです。野手も途中出場の三木が何度もファインプレーをしましたし、代走の黒岩もよく盗塁を決めました。今の早稲田に足りないものを4年生が出してくれました」

 

 

対法政大2回戦の好投が買われ、大事な場面で抜擢された西垣が3回1安打無失点と期待に応え、最後は渾身のガッツポーズで雄叫びを挙げた

 

★早稲田大vs慶應義塾大3回戦
早大 00000000001=1
慶大 00000000000=0
(延長11回)
【慶】高橋亮、●石井—郡司
【早】徳山、○西垣—岸本
本塁打:早大・小太刀《11回ソロ》

文・写真=高木遊