「全仏オープン」(フランス・パリ/5月27日~6月10日/クレーコート)の2回戦に出場した、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、試合中に、一からやり直しているかのように見えた。試合が始まってからの30分強、筋肉痛の苦しみからか、気合いも欠け…

「全仏オープン」(フランス・パリ/5月27日~6月10日/クレーコート)の2回戦に出場した、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、試合中に、一からやり直しているかのように見えた。

試合が始まってからの30分強、筋肉痛の苦しみからか、気合いも欠け、あまりにも多くのミスを犯していた。

しかし、バックハンドの強烈なリターンがウィナーになって雄叫びを上げると、突然、セレナが戻って来た。

セレナは生き生きとして決意に満ち、試合を支配し始めた。9ヵ月前の出産以来、初のグランドスラムで、腕のさび付きをいくらか落としたセレナは、ショットを再修正。1セットを落とし、1ゲームリードを許してからの挽回で、第17シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)を3-6、6-3、6-4で破った。

第1セット、セレナはあらゆる問題を抱えて、12本のアンフォーストエラーを重ねた。第2セット第1ゲームの段階で、この日2度目となるラブゲームでのブレークを許し、女子テニス界で最も危険なサーブの持ち主らしからぬ、驚きの展開となっていた。

「第1セットを取られて、『もっとがんばらないと。とにかくがんばらないと』と思った」と、セレナは試合後に観衆を前にして語った。

セレナのコーチであるパトリック・ムラトグルー氏は、2カ月の休養を経て復帰後初めて出場した試合から48時間でプレーしたことが、いいプレーができなかった主な原因だったとした。

「彼女にはまったくエネルギーがなかった。動くのに苦労していた」とムラトグルー氏は言い、バーティとの試合が雨で順延されることを期待していたとつけ加えた。

さらに同氏は「試合を引っ繰り返して、突然スーパーヒーローみたいになるのは、基本的に彼女は普通の人間で、突然バーン!となにかが起きて、彼女は誰も手出しできないレベルに到達した人間へと変身する。いつもそうだった。本当に特別な能力で、だからこそ彼女は彼女なんだ」。

第1セットではわずか3本だったセレナのウィナーも、その後は25本を記録。サービング・フォー・ザ・マッチでバックハンドのダウンザラインをウィナーにした時、セレナは両手を突き上げ、ムラトグルー氏も観客席でガッツポーズを見せた。

セレナは復帰について振り返り「長い道のり、長い旅だったように感じたし、今もまだ旅の途中。ほんとうに長い時間、一生懸命トレーニングしてきた。毎日コートへ出るごとに、試合に出るごとに...噛み合ってくることを願っている」と語った。

セレナは3回戦では第11シードのドイツのユリア・ゲルゲスと対戦する予定で、勝利すればメジャー大会5度制覇のマリア・シャラポワか、2016に「全米オープン」で準優勝を果たしたカロリーナ・プリスコバと対戦する見通しだ。

バーティはセレナについて「追い込まれた、ピンチに立たされた時に、本当のセレナが出てくる。それが長所の一つ。それが第2セットのはじめと、第3セット早々に起きた」と話した。

バーティによれば、セレナはまだ絶好調の時のレベルまでは戻っていないが普通のことで、絶好調ではなくとも「とんでもなくいい」レベルだという。(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真はキャットスーツでサインの求めに応じるセレナ

(Photo by Jean Catuffe/Getty Images)